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記事ソース/定数係数1階線形微分方程式†これはrst2hooktailの記事ソース保存・変換用です(詳細). コンバート公開・更新メニュー ▼▲記事ソースの内容================================ 定数係数1階線形微分方程式 ================================ 微分方程式というのは,その名の通り方程式に微分が入っている, つまり導関数が入っている方程式のことです. いろいろな形( 変数分離形_ など)があるのですが,ここではつぎのようなものを学びます. $a$ を定数, $Q(x)$ をある連続な関数とするとき, $x$ の関数である未知関数 $y$ と,その導関数 $dy/dx$ に関して1次式である, <tex> \frac{dy}{dx}+ay=Q(x) \tag{1} </tex> のうな形で表される微分方程式です. これを,定数係数1階線形微分方程式といいます. この形の微分方程式について,これからお話します (え,なぜかって?そりゃあ,よく使うからですよ♪). 定数係数1階線形微分方程式の解の公式 -------------------------------------- いきなりですが,いま考えている微分方程式の解の公式を示します.式 (1) <tex> \frac{dy}{dx}+ay=Q(x) </tex> の一般解は <tex> y=e^{-ax}\left\{\int e^{ax}Q(x)\,dx + C\right\} \tag{2} </tex> で与えられます.ここで $C$ は任意定数です. 未知関数 $y$ についての微分方程式を「解く」とは, おおざっぱに言うと $y=$ の形に持って行く,ということです. ですから,式 (1) が式 (2) に変形できることが分かっていれば, これはもう,いつでも解けるわけです. といっても,こんな公式を丸暗記していたら大変です. 手順を理解し,いつでも導出できるようにすることが重要です. 導出 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ ではここで,式 (2) を導出してみます. まず,積分を簡単にするために式 (1) の左辺 <tex> \frac{dy}{dx}+ay </tex> を <tex> \frac{d}{dx}F(x) </tex> のような,「ある一つの関数 $F(x)$ の微分」の形に変形することを考えます. そのために,式 (1) の両辺に $e^{ax}$ をかけますと <tex> e^{ax}\frac{dy}{dx}+ae^{ax}y=e^{ax}Q(x) </tex> となります.ここで, $e^{ax}$ の微分が $ae^{ax}$ となる性質を思い出します. すなわち上式は <tex> e^{ax}\frac{dy}{dx}+\left(\frac{d}{dx}e^{ax}\right)y=e^{ax}Q(x) \tag{3} </tex> と変形できることになります.ここまで,よろしいでしょうか. さらにもう一つ,積の微分公式 <tex> \frac{d}{dx}f(x)g(x)=\frac{df(x)}{dx}g(x)+f(x)\frac{dg(x)}{dx} </tex> を式 (3) の左辺に適用します.すると <tex> e^{ax}\frac{dy}{dx}+\left(\frac{d}{dx}e^{ax}\right)y=\frac{d}{dx}\left(e^{ax}y\right) </tex> がいえます.これは最初目指していた形です.ですから結局,式 (3) は <tex> \frac{d}{dx}\left(e^{ax}y\right)=e^{ax}Q(x) </tex> という形になるのです.ここまでくれば簡単,あとは両辺を $x$ で積分して <tex> e^{ax}y=\int e^{ax}Q(x)\,dx+C \tag{4} </tex> が得られます.ここで $C$ は任意定数です. 左辺を「ある一つの関数 $F(x)$ の微分」という形に 変形したかった理由は,このように両辺を一気に積分したかったからです. この方法は一般的に良く使うテクニックですので,憶えていておいて損はないでしょう. 最後に,式 (4) の両辺に $e^{-ax}$ をかけますと, <tex> y=e^{-ax}\left\{\int e^{ax}Q(x)\,dx + C\right\} </tex> という,最初に示した式 (2) が得られるのです. 解の解釈 ^^^^^^^^^^^^^ 補足です. $\frac{dy}{dx}+ay=Q(x)$ において $Q(x)=0$ の場合,すなわち <tex> \frac{dy}{dx}+ay=0 </tex> の場合があります.これは同次方程式と呼ばれ, 変数分離形_ になります. 他方, $Q(x)\ne0$ の場合は非同次方程式と呼ばれます. 同次方程式の一般解 $Ce^{-ax}$ ( $Q(x)$ の形と独立な解)と, 非同次方程式の特殊解 $e^{-ax}\int e^{ax}Q(x)\,dx$ ( $Q(x)$ の形に依存する解) の線形結合が,式 (2) の一般解になっています. 例題 ------------------------- それでは,簡単な例題を示しておきます. 例題1 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^ つぎの定数係数1階線形微分方程式(長い名前だ…) <tex> \frac{dy}{dx}+5y=6e^x </tex> の一般解を求めます.まず,さきほどの導出の手順にしたがって, 両辺に $e^{5x}$ をかけます.すると <tex> \frac{d}{dx}\left(e^{5x}y\right)=6e^{6x} </tex> となります(ここで一気に積の微分公式による変形も行っています). 上式の両辺を $x$ で積分して <tex> e^{5x}y=\int 6e^{6x}\,dx+C </tex> となり( $C$ は任意定数),さらに両辺に $e^{-5x}$ をかけると <tex> y&=e^{-5x}\left\{\int 6e^{6x}\,dx+C\right\}\\ &=e^{-5x}\left\{e^{6x}+C\right\}\\ &=e^x+Ce^{-5x} </tex> という一般解を得ます. 例題2 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ 速さ $v$ に比例する抵抗が働くとき,質点の鉛直方向の運動方程式は <tex> m\frac{dv}{dt}=-\kappa v+mg </tex> と表せます.ここで $m$ を質点の質量, $g$ を重力加速度としています. この運動方程式は 変数分離形_ として解くこともできますが, 定数係数1階線形微分方程式であるとも言えますので,これまでの方法で解いてみます. 式を少し変形して <tex> \frac{dv}{dt}+\frac{\kappa v}{m}=g </tex> 両辺に $e^{\kappa t/m}$ をかけ,積の微分公式から整理すると <tex> \frac{d}{dt}\left(e^{\kappa t/m}v\right)=ge^{\kappa t/m} </tex> 両辺を $t$ で積分して <tex> e^{\kappa t/m}v=\int e^{\kappa t/m}g\,dt+C </tex> を得,両辺に $e^{-\kappa t/m}$ をかけると <tex> v&=e^{-\kappa t/m}\left\{\int e^{\kappa t/m}g\,dt+C\right\}\\ &=Ce^{-\kappa t/m}+\frac{mg}{\kappa} </tex> という速度の一般解を得ます.ここで $C$ は任意定数です. ちなみにこういった任意定数は,初期条件に依って決まります. この例題について詳しくは, 抵抗力のある落下運動_ をご覧ください. .. _変数分離形: http://www12.plala.or.jp/ksp/mathInPhys/separatVariables/ .. _抵抗力のある落下運動: http://www12.plala.or.jp/ksp/mechanics/resistdown/ @@author:おこめ・崎間@@ @@accept:2005-01-01@@ @@category:物理数学@@ @@id:constOneLinearDiffEq@@ |