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2024-05-23
2023-12-12
2023-11-11
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記事ソース/続×4ベクトルの回転†これはrst2hooktailの記事ソース保存・変換用です(詳細). コンバート公開・更新メニュー ▼▲記事ソースの内容============================================================ 続×4ベクトルの回転 ============================================================ 我々は、 続々ベクトルの回転_ で行列の指数関数がうまく行列の回転を 表すことを見ました。それはなぜかを説明できたので、 解釈の仕方を書こうと思います。 回転を表す微分方程式 =========================== Joh氏は ベクトルの回転_ に於いて、微小回転について触れています。 それは次のような式です。 <tex> d \bm{r} = (\bm{n} \times \bm{r}) d \phi \tag{##} </tex> ここで、この微小量を時間 $dt$ での微分と考えて、 $\dfrac{d \phi}{dt} \bm{n} \equiv \bm{\omega} $ と置くと、 <tex> \dfrac{d \bm{r}}{dt} &= (\bm{n} \times \bm{r}) \dfrac{d \phi}{dt} \\ &= (\bm{\omega} \times \bm{r}) \tag{##} </tex> とします。これは単位時間に回転軸 $\bm{n}$ と回転の対象である位置ベクトル $\bm{r}$ の両方に直交する 方向に $\omega \equiv |\bm{\omega}|=\dfrac{d \phi}{dt}$ だけ動く系であることを示しています。 つまり、その解 $\bm{r}$ は回転を行った後の位置ベクトルを記述します。 ここで 続ベクトルの回転_ で書いた行列での記法で、式 $ (2) $ を書き直します。 すると、 <tex> N = \begin{pmatrix} 0 & -n & m \\ n & 0 & -l \\ -m & l & 0 \end{pmatrix} \tag{##} </tex> と行列で表現できますから、式 $(2)$ は、 <tex> \dfrac{d \bm{r}}{dt} &= (\bm{n} \times \bm{r}) \dfrac{d \phi}{dt} \\ &= \omega N \bm{r} \tag{##} </tex> となります。すると、 ジョルダン標準形の指数関数の応用_ と同じ論法で、解は <tex> \bm{r} = \exp (t \omega N) \bm{r}_0 \tag{##} </tex> だと分かります。なぜこうなるかは、次の話が厳密ではありませんが参考にはなるでしょう。 <tex> \lim_{n \to \infty }(1+\dfrac{x}{n})^{n} = e^x \tag{##} </tex> がネイピア数の定義だったと思います。 ここで微小回転を $\bm{r}$ に施すということは、 <tex> \bm{r} = (1+t \omega N) \bm{r}_0 \tag{##} </tex> ということでした。これを二ステップに分けて考えると、 <tex> \bm{r} = (1+\dfrac{t \omega N}{2})^2 \bm{r}_0 \tag{##} </tex> となり、三ステップだと、 <tex> \bm{r} = (1+\dfrac{t \omega N}{3})^3 \bm{r}_0 \tag{##} </tex> ですね?つまり、 それを何回も分けて繰り返すと、 <tex> \bm{r} =\lim_{n \to \infty } (1+\dfrac{t \omega N}{n})^{n} \bm{r}_0 \tag{##} </tex> と書いてよいでしょう。つまり、これは <tex> \lim_{n \to \infty } (1+\dfrac{t \omega N}{n})^{n} = \exp(t\omega N) \tag{##} </tex> ということです。 Nの指数関数の計算 ============================ これから、もうすでに 続々ベクトルの回転_ で求めましたが、 別の方法で行列 $N$ の指数関数を求めたいと思います。まず、 $N$ を対角化して $\Lambda$ とし、 $N$ の $n$ 乗を求めます。 <tex> \Lambda &= \omega P^{-1} N P \\ &= \begin{pmatrix} i \omega & 0& 0 \\ 0 & -i\omega & 0 \\ 0 & 0 & 0 \end{pmatrix} \tag{##} </tex> で、この固有値の順番に対応する固有ベクトルからなる行列 $P$ は、 <tex> P = \begin{pmatrix} ln+im & ln-im & l \\ mn-il & mn+il & m \\ n^2-1 & n^2-1 & n \end{pmatrix} \tag{##} </tex> となります。 $i$ は虚数単位です。 よって、この行列の指数関数は、 <tex> \exp(t \Lambda) &=\exp( t \omega P^{-1} N P ) \\ &= \begin{pmatrix} e^{i \omega t} & 0& 0 \\ 0 & e^{-i \omega t} & 0 \\ 0 & 0 & e^{0} \end{pmatrix} \\ &= \begin{pmatrix} e^{i \omega t} & 0& 0 \\ 0 & e^{-i \omega t} & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \tag{##} </tex> となります。 ここで後の議論に便利なように、 $P$ をユニタリー化して $U$ としておきます。 なぜなら、そうすると逆行列が共役転置(随伴作用)で求まるからです。 簡単の為、三次元極座標 <tex> \begin{pmatrix} l \\ m \\ n \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \sin \theta \cos \phi \\ \sin \theta \sin \phi \\ \cos \theta \end{pmatrix} \tag{##} </tex> を導入すると、 <tex> U = \dfrac{1}{\sqrt{2}} \begin{pmatrix} \cos \theta \cos \phi + i \sin \phi & \cos \theta \cos \phi - i \sin \phi & \sqrt{2} \sin \theta \cos \phi \\ \cos \theta \sin \phi - i \cos \phi & \cos \theta \sin \phi + i \cos \phi & \sqrt{2} \sin \theta \sin \phi \\ -\sin \theta & -\sin \theta & \sqrt{2} \cos \theta \end{pmatrix} \tag{##} </tex> であり、この共役転置行列 $U^{\dagger}=U^{-1}$ は、 <tex> U^{-1} = \dfrac{1}{\sqrt{2}} \begin{pmatrix} \cos \theta \cos \phi - i \sin \phi & \cos \theta \sin \phi + i \cos \phi & -\sin \theta \\ \cos \theta \cos \phi + i \sin \phi & \cos \theta \sin \phi - i \cos \phi & -\sin \theta \\ \sqrt{2} \sin \theta \cos \phi & \sqrt{2} \sin \theta \sin \phi & \sqrt{2} \cos \theta \end{pmatrix} \tag{##} </tex> です。よって、ダイアド積 $\bm{n}\bm{n}$ を用いて、 <tex> \bm{n}\bm{n}= \begin{pmatrix} ll & lm & ln \\ lm & mm & mn \\ ln & mn & nn \end{pmatrix} \tag{##} </tex> と書き、三次単位行列を $I$ と書くことにすると、 正方行列の三連続積の展開_ の方法を用いて、 <tex> \exp(t \omega N) &= UU^{-1} \exp(t \omega N) UU^{-1} \\ &= U \exp(t \omega U^{-1}NU) U^{-1} \\ &= U \exp(t \Lambda) U^{-1} \\ &= U \begin{pmatrix} e^{i \omega t} & 0& 0 \\ 0 & e^{-i \omega t} & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} U^{-1} \\ &= \dfrac{e^{i \omega t}}{2} (I-iN-\bm{n}\bm{n}) +\dfrac{e^{-i \omega t}}{2} (I+iN-\bm{n}\bm{n}) +\bm{n}\bm{n} \tag{##} </tex> ここで、 <tex> N^2= \begin{pmatrix} -m^2-n^2 & lm & ln \\ lm & -l^2-n^2 & mn \\ ln & mn & -l^2-m^2 \end{pmatrix} \tag{##} </tex> なので、 <tex> \bm{n}\bm{n} = I + N^2 \tag{##} </tex> の関係を使うと、 <tex> \exp(t \omega N) &= \dfrac{e^{i \omega t}}{2} (I-iN-\bm{n}\bm{n}) +\dfrac{e^{-i \omega t}}{2} (I+iN-\bm{n}\bm{n}) + \bm{n}\bm{n}\\ &= \bm{n}\bm{n} - N^2 \cos \omega t + N \sin \omega t \tag{##} </tex> となり、 続々ベクトルの回転_ の結果と一致します。 つまり、これは位置ベクトルが回転軸 $\bm{n}$ の周りを角速度 $\omega$ で回転する様子を 記述している式だったのです。めでたしめでたし。 2023.11.11追記 この議論は $\ell^2+m^2+n^2=1$ の議論に引きずられていて、最後の結論がおかしいです。 <tex> \exp(t \omega N) = I+\dfrac{N^2}{\omega^2} - \dfrac{N^2}{\omega^2} \cos \omega t +\dfrac{N}{\omega} \sin \omega t </tex> となるはずです。原因が分かりませんが、ご注意だけ、すみません。 それでは、今日はこの辺で、お疲れ様でした。 .. _ベクトルの回転: http://hooktail.sub.jp/vectoranalysis/vectorRot/ .. _続ベクトルの回転: http://hooktail.sub.jp/vectoranalysis/vectorRot2/ .. _続々ベクトルの回転: http://hooktail.sub.jp/vectoranalysis/vectorRot3/ .. _正方行列の三連続積の展開: http://hooktail.sub.jp/mathInPhys/3MatricesProduct/ .. _ジョルダン標準形の指数関数の応用: http://hooktail.sub.jp/mathInPhys/simDifEqu/ @@author:クロメル@@ @@accept:2013-03-13@@ @@category:ベクトル解析@@ @@id:vectorRot5@@ |