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ここでは「どのようにすればわかりやすい文章が書けるか」について記します.
私たちが記事を書くのは,他人に読んでもらうためです. 記事を他人に読んでもらうには,わかりやすい文章を書かなければなりません. でも,わかりやすい文章を書くというのは意外に難しいものです.
その理由は,自分の書きたい内容を自分自身では分かっていることにあります. 書く人自身は,予備知識というか,バックグラウンドを持っているわけです. しかし,自分の文章を読む人にそれがあるとは限らない. そのギャップが,「分かる」か「分からないか」を分けてしまうことになります.
ですが,分かりやすい文章を書く,ということは 特別な才能を要するものではありません. 常に読む人の思考過程をシミュレートし, いくつかの定石を守りさえすれば,きっと誰にでもできることだと思います.
分かりやすいかそうでないかは,文章そのものの構造に決定的に左右されます. たとえば,いきなり専門用語だらけの詳解な説明をされても, なかなか分かるものではありません. まずはじめにこう,つぎにこう,だから最終的にこうなるんだよ,と順をおって行く. そういう説明の方が分かりやすいことに,異論はないと思われます.
文章は,できる限りつぎの手順で組み立てるべきです.
このなかで,大まかな説明,という部分が一番難しいです. ですから,執筆の時点では詳細からはじめ, 最後に大まかな部分を書くのも一つの手です.
もちろんこの一連の流れは,論理的に矛盾がないことが必要です. いわゆる「すじが通った」文章は,論理的整合性が保たれています.
説明の詳しさ,だけでなく,説明の目的に着目すれば
という流れになります.二つの流れを同時に実現するよう心がけると良いと思います.
文書はいくつか節で構成されます.その節は段落で構成されます. さらに段落は文から,文は文節から,文節は単語と助詞から構成されます. 意味をもつ最小単位は文ですので,文をうまく組み立てることが, うまく文書を構成するポイントとなります.そのポイントとして
が挙げられます.これに気を使うとかなり良くなります. 無闇に「,」を多用して多くの意味を含ませると, 読んでいる方は話の流れについて行けなくなってしまうからです. 「が」や「しかし」で分けるときには,文も分けた方が無難です.
段落においても,できるだけ
という方針が良いでしょう.さらに,段落の最初の一文に,
ようにすれば,より分かりやすくなります.このチェックとしては,できあがった文章を通して「段落の最初だけ拾ってよむ」方法が有効です.この方法で読んで意味が通っていれば,それはかなり良い構造を持っていると言えます.
文章がある程度完成したら,その後の作業のほとんどを,推敲に費します.「推敲」とは「字句を練り上げること」です.ある程度流れを組み立てた文章を読み返し,「ここは分かりにくいかもしれない,もっと良い表現はないだろうか」などを考え,加筆修正する作業です.
この作業で,読む人の思考仮定をシミュレートしながら,ちょっとでも疑問が湧きそうな部分を読み取り,適宜修正します.句読点,「てにおは」にも注意を払います.一通り書いてから一晩以上寝かせると,客観的な評価がそこそこできるようになります.
以上で書いたポイントでは不十分ですので,参考書籍を紹介します.
これから卒業論文などを書かなければならない予定の人は,読んでおいて損はありません.そしてこのような「文書作成法」の内容を自分のものにするためには
ことが有効です.文章の構造を意識しながら読むだけで,大変良い訓練になります.