物理のかぎしっぽ 査読/導体・絶縁体・半導体(篠原著)/12 のバックアップソース(No.24)
* パウリの排他律 [#t4be1069]
-ページ: [[査読/導体・絶縁体・半導体(篠原著)]]
-投稿者: [[NOBU]]
-カテゴリー: 質問です
-状態: 提案
-投稿日: 2005-10-05 (水) 21:50:19

** メッセージ [#nfb526a7]
もう一つだけ質問させて下さい。

パウリの排他律が効いて準位の分裂が起こるとありますが、パウリの排他律は「一つの準位には一つの電子しか入れませんよ」というただの規則であって、何か物理的な力を生み出すものではないと僕は思っています。そのため準位の分裂は軌道の重なりから出てくるものでパウリの排他律の効果によるものではないと考えます。例えば、クロニッヒ・ペニーの問題を解いてバンドの形成を調べる時に、シュレディンガー方程式を解きますが、その時に粒子がフェルミオンであるかボソンかというような効果は入ってないと思います。

そこで質問なのですがパウリの排他律が効いて準位が分裂するというのは物理的に正しいのでしょうか?

** 返答 [#ke9b34a2]
-ご指摘ありがとうございます。いつも的をついた質問をなされてますね。本当に尊敬いたします。実は、この質問に対して私は明確に解答することができません。と言いますのも、このことに関しては、私が外から取り入れた情報をそのままうのみにしているだけで、自分で確認することが出来なかったからです。だから、私は「講義でこのように習った」としか言いようがありません。もちろん、「人が言っているから正しい」とか、「本に書いてあるから正しい」と言うべきでないことは分かっているのですが、学部3回生の今の私にはこのことを信じるほかありません。明確にお答えできなくて、本当に申し訳ないです。参考までに、私の大学の更家先生の講義ノートから引用いたします。『固体では原子が高密度に集まっている。→原子間で相互作用が生じる。:最外殻の電子軌道上で電子の波動関数が重なりを生じる。(内郭の電子は化学的、電気的性質にほとんど無関係)→パウリの排他律を満たすように準位がわずかずつ異なるエネルギーを持つように分裂して、準位が帯状に広がる。この中では事実上連続的に分布している。→これをエネルギー帯という。』 -- [[篠原]] &new{2005-10-05 (水) 22:23:58};
-今回の査読に当たって僕も勉強し直していたところ、僕の持っている本(半導体物性:小長井誠著)の中にも「パウリの排他律によって準位が分裂すると解釈してもよい」と書いてあり、疑問をもちました。僕としては上に書いた理由で違うと思っているのですが、もし僕の知らない、「電子がフェルミオンである」という効果がシュレディンガー方程式に入っていて、粒子をボソンとして解いたら準位の分裂は出てこないというなら、今のままで問題は無いのだと思います。今回は確信が無かったので質問という形にしました。もう少し調べて真相がわかるまで少々お待ちを…。固体物理や半導体物理は前提とする知識がとても多いので勉強が大変ですね…、時間がかかるとは思いますが地道にお互い頑張って行きましょう。良い教科書なんかあったらぜひ教えてください。 -- [[NOBU]] &new{2005-10-05 (水) 22:46:18};
-こんにちは。今日、学校で講義をされていた先生にこの質問をしてきました。結論から言うと、あまり分かりませんでした。その先生は、量子力学やボース粒子について、あまり詳しくは知らないので、ちゃんと答えることが出来ないが、問題を解くときに使う、(通常私が知っている)シュレーディンガーの方程式自体がフェルミ粒子であることを考慮して作られているのではないか?つまり、ボース粒子に関しての波動方程式は別にあるのではないか?とのことでした。このことに関して私は合っているか間違っているか、分からないのですが、このような可能性はありませんでしょうか?? -- [[篠原]] &new{2005-10-06 (木) 19:08:55};
-クラインゴルドンの方程式とディラック方程式はそれぞれボソンとフェルミオンが満たす方程式だった気がするのですが、普通のシュレディンガー方程式にそのような粒子の効果が入っているか現在調査中です。 -- [[NOBU]] &new{2005-10-06 (木) 20:12:46};
-私には正確な理論議論はできないのですが、直感的にとらえるなら、一つ量子状態を二つ以上の電子がとり得ないというパウリの排他律から、二つ以上の電子が存在する場合には、エネルギー、量子状態が異なる二つの軌道へと分裂し、縮退した状態との釣り合いをとるととらえることができるのではないでしょうか。 -- [[nooon]] &new{2005-10-06 (木) 21:11:58};
-例えば、水素分子(ただし陽イオンで電子は一つ)の分子軌道を求めても順位は二つに分裂しますし、クローニッヒ・ペニーの問題でも解くのは一電子のシュレディンガー方程式です。なので二つ以上電子が存在する場合に分裂するというわけではありません。 -- [[NOBU]] &new{2005-10-06 (木) 21:25:51};
-確かにご指摘の通り一電子系でも軌道は分裂しますね。基本的なところを無視した乱暴な解釈でした。一電子系においても分裂が起こるのであれば、パウリの原理は軌道の分裂には本質的には関与していないということになりますね。あと、水素分子イオンの系での軌道の分裂は軌道の重なりによるものというよりも、原子核間の電子密度の増大と各原子の軌道の収縮による寄与が主だったような気がします。 -- [[nooon]] &new{2005-10-06 (木) 22:58:55};
-準位の分裂に何が本質的に効いていると解釈したら良いのか、現時点で僕はわかりません。ただ近づいたポテンシャル(井戸型やクーロン型)のシュレディンガー方程式を解くと出てくるので、そのことによる何かだと考えています。 -- [[NOBU]] &new{2005-10-07 (金) 13:57:32};
-noooonさん、水素分子は陽イオンとはいえ、二つの波動関数の線形結合を考えて問題を解くので、一電子系とも言いがたいようです。勘違いしてました。ただ井戸型ポテンシャルを二つ並べてシュレディンガー方程式を解くと、準位が分裂するようなので、やはりフェルミオンというのはあまり関係ないみたいです。 -- [[NOBU]] &new{2005-10-07 (金) 18:40:11};
-篠原さん、どうやらただのシュレディンガー方程式はフェルミオンかボソンかということを考慮していないようです。なので、この記事ではまず二つの原子が近づくと準位が二つ分裂し、N個の原子が集まった固体になるとN個に分裂する。という事実だけを説明し、その原理に関しては言及を避けるのはどうでしょうか。 -- [[NOBU]] &new{2005-10-07 (金) 18:42:14};
-自分の中で「これが正しい」と思ってても、よく考えると根拠がないもので、それが間違っていると言うことがあるんですね・・・。NOBUさんの指摘で、そのような先入観を持って解釈していたことに気づきました。本当に感謝です!!NOBUさん、ありがとうございます。私も、シュレーディンガー方程式がフェルミ粒子を考慮して作られていないことを確認できました。ただ、私の中でまだ納得できていない部分があり、もう少しだけ勉強させてください。私としては、初めてバンド理論を学んだとき、このような説明を受けて、「あぁ、なるほど!わかりやすい!」と感じていて、「出来ればこのことが誤りのないことであって欲しい」というのと、この記事を読む人が、「わかりやすい!」と私が初めて学んだときと同じ感動を味わって欲しい、というのがあり、出来ればこの説明を残したいと考えています。しかし、「これが間違いである」ということが分かっていたり、「合っているかどうか分からない」といった情報を読者に与えるわけにはいきませんから、もう少しだけ勉強して、自分で確認したいというのが、今の私の気持ちです。私に勉強する機会を与えてくださったNOBUさんやこのプロジェクト自体に、本当に感謝します。 -- [[篠原]] &new{2005-10-07 (金) 22:33:41};
-私も「パウリの排他律の効果」で良いと思います。ただ根拠は私の直感ですけど。(PHSからなので細切れコメントです) なぜそう感じるかというと、フェルミオンである電子を近づけていったら、同じエネルギー準位を取れないという性質のために合成されたポテンシャル中で結果的に -- [[山本明]] &new{2005-10-07 (金) 22:54:56};

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