物理のかぎしっぽ 査読/ガウスの法則-積分形(篠原著)/4 のバックアップ(No.36)

目指している読者は?

メッセージ

丁度,自分も始めての査読記事の準備中でしたのでコメントをつける暇がありませんでした.

改めて拝見しましたが,やはり「読者層を何処に置いていらっしゃるか」が判りかねる,と言うのが正直な感想です.

説明の方針

最初は,マクスウェルの方程式のガウスの法則「電束密度の発散が電荷密度に等しい」から説明を開始するのだから,中級以上の読者を対象にするのかと思いました.

ところが,ベクトルの発散の体積分を,そのベクトルの面積分に置き換える,いわゆるガウスの積分定理の説明は省き,積分形のガウスの法則に話が入りました.当然,積分形と微分形の関係の考察が出るだろうと思っているうちに終わってしまう.

これでは,クーロンの話は判って,マクスウェルの方程式中のガウスの法則がわかっても,其々の関係が判らないような初学者にとっては一体なんだろう?,となるように感じます.

さらに,電束密度の説明はかなり誘電体モデルのイメージの無いまま持ち込まれても,その物理的な意味が判らなければ,理解し難いと思います.

元に戻ると,次の2つの考え方:

  1. 中級者向け
    • マクスウェルの式や物性物理学の意味での問題意識を元に説明するのか,
  2. 初級者向け
    • 電場の遠隔論的なクーロンの式と近接論的なマクスウェルの式の電場と電荷密度の式(電場の発散が電荷密度/真空中の誘電率)との橋渡しをするのか

のどちらを目指した説明をするのかが,不明瞭な気がします.

場の強度の表し方

また「電界」よりは,電場が,磁場・重力場・流体場などと関連付けられて良いのでは無いかと思います.理化学辞典でも「電界=電場」だけです.

私は,電子工学系の方々との交流を経験して,「電界,磁界」の表し方があることも熟知しています.類似の話で,虚数単位の表現が「i,j」と違うことも経験しています.自分自身は,相手の論議に従って,自由に使い分けでします.しかし,このサイトでは,「物理の初心者」を強く意識した記事を目指しているので,正面切って,異なる用語を用いない方がいいとおもいます.

ところが,「電界」という使い方で,理解が促進するような場面があるなら,それを元に強く主張されるのもありだとおもいます.

私は,現在,「ベクトル」という用語が不満で,「ヴェクタ」という言い方を自分のページや回答の中で使っています.異論があるのも承知です.論議によっては,前面取り消しも,前面利用もありと思っています.

ベクトルの表記

最後に,式中,ベクトルを太い立体で書かれていますが,この記法は何を参考にされていますか? 出典をお教えくださるとありがたいです.すくなくとも太い斜体にされる方が無難だとおもいます.私自身の好みは,斜体の上に「→」を乗せる方式ですが,これには賛否両論があります.

最後に

かなり方向性が違う意見ですが,初心者にとって静電場をスムーズに理解させるのはとても重要だと思うからです.

もう一度,リラックスして,再検討するのもいいかもしれませんね.

返答




返答2

説明の方針

対象としている読者は初級者としているつもりです。
また、この記事はクーロンの法則などとの橋渡しをするつもりは一切ありません。
記事の冒頭で書いてありますように、「ガウスの法則の物理的意味を解説する」これがこの記事の方針です。
mNejiさんのご意見を拝見すると、「マクスウェルの方程式から出発すると中級者向けのやや難しい記事になる」と仰られているように感じられるのですが、なぜそのようにお考えですか?
初級者向けの「マクスウェルの方程式を解説する記事」があってもいいではないですか?
また、「クーロンの法則などとの橋渡し」とは、おそらく「ガウスの法則の導出」を意図されているかと思うのですが、これは先日NOBUさんが「書いてみようかと思います」と仰っておられました。NOBUさんのお時間の関係で、すぐにかけるかは分かりませんし、別に私が書いてもかまいません。いずれにせよ、「橋渡し」は別記事に任せようと思います。
すべてのことをひとつの記事に書かなくても、「導出をする記事」、「式の意味を解説する記事」、「それを元に実例を示す記事」など、さまざまな記事で少しづつ解説記事を増やしていけばよいと思います。

また、この記事では単に「ガウスの法則の積分形の意味を解説している」のみです。この記事の中で微分形との橋渡しをするつもりもありません。後に、微分形の解説記事を書く前後に、ガウスの積分定理に関して書こうと思っています。いずれにせよ、これも別記事に任せます。

さらに,電束密度の説明はかなり誘電体モデルのイメージの無いまま持ち込まれても,その物理的な意味が判らなければ,理解し難いと思います.

また、この記事において電束密度の解説はしていないつもりです。誘電体モデルが云々という件も良く分かりません。
もう少し具体的にどの点が理解しがたいと仰っておられるのか、教えていただけますか?

場の強度の表し方

私は工学屋さんなので、普段使う言葉としては「電界」派です。しかし、記事の中でそれほどこだわりを持って使っているわけではありません。
「物理の記事なので電場を使ったほうが良い!」と仰るのなら、そうしますが、この記事の中で「電界」という言葉は出てきません。別記事と間違っていませんか?

# 電界、電場、両方同じ言葉であることは存じておりますが、「絶縁破壊電界」という言葉があるのに対し、「絶縁破壊電場」という単語は聞いたことがありません。若干のニュアンスの違いがあるのかもしれませんね。

ベクトルの表記

ベクトルの表記に関しても、それほどこだわって立体にしていたわけではないのですが、斜体でないといけないのですか?
太字の立体では何か不都合なことが起こるのでしょうか?なぜ、「斜体のほうが無難」なのか、解説していただけるとありがたいです。(表記に関しては疎いもので・・・。) -- 篠原 2006-09-08 (金) 13:31:53





余談ですが・・・

やはり,絶縁破壊そのものが電界・電位の概念に入りきらない現象のようですね.

仰っている意味が良く分かりません。。。 :( (記事とは関係ないので、お答えにならなくても結構です。) -- 篠原 2006-09-09 (土) 15:07:07



返答3 「-- mNeji? 2006-09-10 (日) 00:12:31

査読について

査読について篠原さんよりかなり独特な解釈が提示されたので,私見を述べる事にします.

査読というものは,書いた人が創意工夫して最善とおもって提出した記事について,第三者がそれを見て意見を出すものです.普通の専門雑誌では,論文を提出する側と審査する側が共に専門家であることが多いです.特に権威のある雑誌では,エディタがキツイばあい,けんもほろろに返されて終わることも多々あります.また,雑誌の都合上,紙面に制限があり,必ずしも言いたいだけ掛けません.

専門書でも,最近は本の寿命が短い為に,丁寧な解説が端折られたり,推敲が足らない専門書が結構あります.

それに対して,こちらの物理かぎプロジェクトでは,外部にたいして高品位な情報を提供することで,より多くの人に,我々構成員の持つ物理・数学・プログラム等の領域の知識を,多くの学生さんに見てもらおうとの趣旨で「査読」システムがされていると思います.

この場合,商業ベースの専門誌や専門図書と違って,ページ制限とか内容制限は無いわけです.それゆえ,著者は自分の持てる知識やスキルを記事の作成に注入できるわけです.しかし,記事を書く人も,その記事を査読するひとも専門家でないので,論議が的を得ない場合もあると思います.その一方で,査読者が素人故に,著者が考えていない点を指摘することも多々あります.その質問や意見に,対抗する説明をするのが査読を動かす原動力になります.

だからといって,

また、もう査読をされるつもりが一切ないのなら、このページを削除してください。

篠原さんのご解説は,篠原さんの目指そうとされている方向と違うように思います.

私は私が目指しているものに沿って記事を書いています。出来上がった記事が私の納得いくものであれば、いいのではないですか?

ここまで,著者の一方的な判断で進まれるのは如何なものかと思います.

基本ルールは,著者に対して査読者が問いを投げかけたら,著者もその問いに付いて調べたり,考察したりして論議を進めるものでありたいと思います.同じことが掲示板でも言えます.質問者に回答者が答えても,意外とミスがあります.それはそれで,ミスした回答者もさらに知恵を絞って,説明と続けるわけです.

しかし,今回に限らす,篠原さんは他人の質問や意見に説明するのではなくて,自分のほかの意見を持ち出して正当性を主張するのです.以前も,フェルミ・レベルの意味を説明したらという問いに「半導体の動作の説明には不要だから」といったほかの言い訳で終わられました.自分もそんなに詳しいわけでもないし,恐らく意味が判らないからそんなこと調べるのは嫌なのだろうとおもって引き下がりました.

今回は,時間がたっぷりあるので,多角的な討論を出来ると思い査読に参加しました.とくに,マクスウェル方程式の「電束密度の発散」に付いては,私自身,高校時代の「クーロンの法則」と「ガウスの積分定理」そして「誘電分極」で解釈に悩んだからです.

これらは,何度か電磁気の回答をしている間に思い出しました.特に;

教えてください>< [物理のかぎしっぽ] http://hooktail.maxwell.jp/bbslog/11338.html

"mNeji さんのレス (2006/08/20(Sun) 10:59)"での回答に示しましたが,少なくとも私のばあい,マクスウェルの方程式から演繹的に解を得られると思っていたとこと,なかなか問題が解けなかったのです.砂川さんの「理論電磁気学」で,金属に付いての近似を仮定しないと,問題を解けない事に気づいてから,とても問題把握が楽になりました.

さらに,砂川さんの本では,誘電体の電磁気と真空の電磁気が綺麗に腑分けされていて,それまでグチャグチャだったのがとても楽に判るようになりました.当然,近年の参考書の進歩は激しくて,こんな問題はとうに解決しているとおもっていたら,上に紹介した質問で,「真空+金属」の問題がいまだ続いているのを実感しました.さらに現在も,それに類する質問が続いています.

どう転んでも,このような現状を見ると,「真空の問題だけでない」のは賛成ですが,「真空+金属」の問題も明確にとけなくて,なぜ物質中の電磁気が判るのかが,私には理解できるものではありません.

ただし,私は数十年以上物理の世界から離れており,現状の高校〜大学の教育内容も知りませんし,自分の理解が完全とも思えません.

従って,下手に私が異論を唱えても,論議が起こらず,言葉の言いかえだけならば,他の方々との論議に委ねた方が,有意義な論議ができると考えたので,査読を中止するべきかと思いました.

しかしながら「一方的にこのページを削除」という意見を出されるならば,あまりにも査読制度を冒涜していると思います.あまりこのような論議はしたくないのですが,本当の論議がされるまでは,逆にこのページは消さないつもりです.

このページの問題

少なくとも,応用数学とすると,このページは「ベクトルの面積分」がどのような形式で書かれるかのみしか書いてありません.

そのくせ,dsのベクトルsの説明は一言も在りません.ところ法線成分Dnといった形で,急に法線が出てきます.これだけなら,数学のベクトル解析で学生さんはなんども見ていると思います.

他方,積分形の方程式を身につけるために,どのようにこの方程式を考えていくかの論議が綺麗さっぱりにありません.おそらく「電束密度ベクトルの強度分布」と「電束密度の接線を連ねた線の密度分布」との関係を示したと仰るのでしょうが,それで問題理解が進むとは思えません.

そんなことだけなら電束密度であろうが電場であろうと,色々な方法で示すことが出来ます.むしろ本質敵なのは,電荷が作り出す電場はクーロンの法則に従って,逆自乗の法則の電場を作り出す.その電場を微視的な「電場の発散とみると,部分的な電荷密度」だけで決まり,その積分形としてみると,クーロンの法則が再現できる事にあります.

そして,金属と組み合わせて検討すると,先に述べた掲示板での解説みたいな不思議な現象をいとも簡単に理解できる.電磁気学ではじめにはまる快感だと思います.

それに,微分形式を適応して考えれば,「誘導電荷」とか「電場強度と電荷面密度」とか,色々な性質がポロポロ出てきます.何も解釈しずらい「電束密度の本数を考える」必要があるのかとても私には理解できません.

私の提案

私は,具体的な論議しかできません.見えないものや,どうして勘定すれば良いか判らないものを相手を考えることが出来ないからです.

ですから,他の多くの方々と論議されて,私にも判る説明をしていただけませんか?

でも,単純な分析から初めて下さい.哲学的な「物理量とはなにか」という問いかけからは何も出てこないと思います.



 
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