最近のLinuxアプリケーションにはGTK+2.0以上がつかわれているものが多いです.ところがVine Linux 2.6のGTK+のバージョンは1.2なので,最新のアプリケーションが使えない(コンパイルできない)場合があります.もうすぐリリースされるVine Linux 3.0では, GTK+のバージョンも上がるので大丈夫なようです. ここではVine Linux 2.6でGTK+のバージョンを2.0に上げる方法を紹介します. #contents * GTK+とは [#kb0deca7] GTK+はフォトレタッチソフトGIMPを作るため,その開発者が作ったGUIツールキットです. GTKはGIMP tool kitの略.GTK+を利用しているプログラムをコンパイルするときに必要です. GTK+はMozillaやGNOMEなどでも採用されているそうです. Vine Linux 2.6でGTK+-2.0をソースから入れるには,以下の順番で行います. - pkgconfig(コンパイラに渡す引数列を生成するソフトウエア) - glib(リストやハッシュ等の汎用 C ライブラリ) - atk(GTKで使用するグラフィックライブラリ) - pango(テキストをレイアウト,レンダリングするためのフレームワーク) - GTK+(GIMP tool kit) * pkgconfig-0.15.0 のインストール [#q3f3cf74] ソースファイルの入手 http://www.freedesktop.org/software/pkgconfig/releases/pkgconfig-0.15.0.tar.gz 展開 $ tar zxvf pkgconfig-0.15.0.tar.gz コンパイル・インストール $ cd pkgconfig-0.15.0 $ ./configure --prefix=/usr $ make $ su # make install # exit * glib-2.0.7 のインストール [#vb17a199] ソースファイルの入手 ftp://ftp.gtk.org/pub/gtk/v2.0/glib-2.0.7.tar.gz 展開 $ tar zxvf glib-2.0.7.tar.gz コンパイル・インストール $ cd glib-2.0.7 $ ./configure --prefix=/usr $ make $ su # make install # exit * atk-1.0.3 のインストール [#k673e16b] ソースファイルの入手 ftp://ftp.gtk.org/pub/gtk/v2.0/atk-1.0.3.tar.gz 展開 $ tar zxvf atk-1.0.3.tar.gz コンパイル・インストール $ cd atk-1.0.3 $ ./configure --prefix=/usr --enable-shared --disable-static $ make $ su # make install # exit * pango-1.0.5.tar.gz のインストール [#fcc91afd] ソースファイルの入手 ftp://ftp.gtk.org/pub/gtk/v2.0/pango-1.0.5.tar.gz 展開 $ tar -zxvf pango-1.0.5.tar.gz コンパイル・インストール $ cd pango-1.0.5 $ ./configure --prefix=/usr $ make $ su # make install # exit * gtk+-2.0.9 のインストール [#c83e202e] ソースファイルの入手 ftp://ftp.gtk.org/pub/gtk/v2.0/gtk+-2.0.9.tar.gz 展開 $ tar -zxvf gtk+-2.0.9.tar.gz コンパイル・インストール $ cd gtk+-2.0.9 $ ./configure --prefix=/usr $ make $ su # make install # exit * .gtkrc-2.0,XFTの設定 [#dacdd6f3] ここまでの手順が上手くいったらGTK+-2.0がインストールされているはずです.そして,GTK+のバージョン2.0以上が必要なアプリケーションもコンパイルできるようになります.たとえば,グラフィカルなftpクライアントの - [[gFTP:http://www.gftp.org/]] の最新版(2004年6月30日現在では2.0.17)をコンパイル,インストールして利用することができますが,このままだと #ref(fig1.png,nolink) のように文字のバランスが悪く,使いづらいです. ** ~/.gtkrc-2.0の設定 [#q48dd53c] これを修正するには, ~/.gtkrc-2.0 というGTK+-2.0の設定ファイル(~/はホームディレクトリの意味)を作成して, style "mystyle" { font_name = "Kochi Gothic 13" } class "*" style "mystyle" を書き込みます.font_name = の部分でフォントを指定しています. gFTPを再起動すると #ref(fig1.png,nolink) #ref(fig2.png,nolink) となって見やすくなります. ** XFTの設定 [#c49adde1] さらに,XFTによるフォントのアンチエイリアスを有効にするには, ~/.bashrc に export GDK_USE_XFT=1 と書いて環境変数GDK_USE_XFTを1に設定します. ~/.bashrcを編集したらログアウトして,Xを再起動します.すると #ref(fig1.png,nolink) #ref(fig3.png,nolink) のようにフォントがなめらかに表示されるようになります(~/.gtkrc-2.0を設定しないままXFTを有効にすると文字化けしてしまいます).他のGTK+2.0以上を使用したアプリケーションも同様です. Vineに最初から入っているMozillaなど, 2.0より下のバージョンのGTKアプリケーションはこの影響を受けません. ** 関連リンク [#df233abd] - [[GTK+ The GIMP Toolkit(本家):http://www.gtk.org/]] - [[GTK+ リファレンスマニュアル:http://www.gnome.gr.jp/docs/gtk+-1.2.x-refs/gtk/]] - [[GNOME ライブラリを使ったアプリケーション・プログラミング:http://www.gnome.gr.jp/docs/gnome-libs-tutorial/]]