よく使う数式

米国数学会の標準組版システムになっているTeX,数式をとてもきれいに書くことができます.ただ,コマンドを打ち込んで数式を表現するので,最初は思うように数式を書くのが難しいことがあります.そこで,物理でよく使うであろう数式表現をリストアップしてみました.

注意

使える数式命令を増やすため

\usepackage{amsmath,amssymb,bm}

をプリアンブルに書いて AMSmath,AMSsymb,bm パッケージを読み込んでおいてください.

テキストスタイル(本文中の数式)

本文中で数式モードにするには $数式$ のように $ $ で括ります.

なんとか乗

2乗や3乗などのべき乗は x^y のように,肩に乗せたいものの前に ^ を付けます.肩に乗せるものが複数文字の場合は { } で括ります.

$y=x^{-2}$

の出力は↓

sup1.png

ルート

\sqrt{} 命令を使います.

$\sqrt{x}$

の出力は↓

sqrt1.png

log や sin など

対数 log や三角関数 sin ,極限 lim などの記号は,そのままアルファベットで書けそうです.しかし,数式モード中でのアルファベットは自動的にイタリック体になるので \log のような命令を使います.三角関数記号などはだいたい用意されています.

$\log_{10} x$, $\ln x$, $\sin x$

の出力は↓

log1.png

化学式

元素記号はローマン字体なので $ $ では括らず,下付き文字がある場合だけ $ $ の中に入れます.

硝酸ナトリウム(NaNO$_3$)

の出力は↓

chem1.png

元素記号

左上付きや左下付き文字はそれぞれ {}^x,{}_x などとします.

重水素(${}^2_1$H)は水素の同位元素である.

の出力は↓

chem2.png

摂氏温度

摂氏何度の単位は C の左上付き \circ で表します.

標準状態での水の融点は $0\ {}^\circ\mathrm{C}$ である.

の出力は↓

circ1.png

オングストローム

オングストロームは \AA です.これは数式モード中には書かず,通常の文章中に書きます.

$1$ \AA は $10^{-10}$ mである.

の出力は↓

aa1.png

数式モード中で使いたい場合は \mathrm{\AA} とします.ただ,これだとコンパイル時に,

LaTeX Warning: Command \r invalid in math mode

という警告が出るので,気になる場合は \mathrm{\mathring{A}} とします.しかしこれは \AA 命令のものと少し形が異なります.

ディスプレイスタイル(別行立の数式)

数式を別行立てにするには,数式を \begin{equation} \end{equation} や \[ \] で括って書きます.使える命令などは本文中の数式とほぼ同じです.

分数

\frac 命令をつかいます.最初の引数が分子,後の引数が分母です.

\[
 \frac{3}{2}
\]

の出力は↓

eq-frac1.png

微分

分数に d を付けるだけです.

\[
 \frac{d}{dx}x^2=2x
\]

の出力は↓

eq-frac2.png

数式中のローマン体

数式中のアルファベットは自動的にイタリック対になります.添字や単位を表す場合など,ローマン体にしたいときには \mathrm{ } を使います.

\[
 F=ma\ [\mathrm{N}]
\]

の出力は↓

eq-mathrm1.png

微分のdをローマン体にする

微分記号の d は変数ではないので,イタリック体にせずローマン体で書くほうが正式だ,とする流儀もあります.このように書きたい場合, \mathrm{} で d をローマン体にすればいいです.

\[
 F=-\frac{\mathrm{d}E}{\mathrm{d}x}
\]

の出力は↓

eq-diff1.png

しかし微分記号はよく使うので,これではめんどくさすぎます.プリアンブルで

\newcommand{\diff}{\mathrm{d}}

というマクロを定義しておくと

\[
 F=-\frac{\diff E}{\diff x}
\]

と書けるようになるので少しは楽です.

偏微分

偏微分記号は \partial 命令を使います.

\[
 \frac{\partial^2 T}{\partial y^2}=0
\]

の出力は↓

eq-partial1.png

総和

\sum 命令を使います.総和記号の下側は _ を,上側は ^ を付けて記入します.

\[
 \sum_{i=1}^N m_ip_i
\]

の出力は↓

eq-sum1.png

積分

積分記号は \int 命令を使います.定積分の下限と上限はそれぞれ _ と ^ で表します.

\[
 V=2\pi\int_0^ry^2\,dx
\]

の出力は↓

eq-int1.png

場合分け

\begin{cases} 命令を使います.

\[
 V(x)=
  \begin{cases}
   0 & (x<x_0)\\
   V_0(>0) & (x\ge 0)
  \end{cases}
\]

の出力は↓

eq-cases1.png

太字のベクトル

\bm{} 命令を使います.

\[
 \bm{A}\cdot\bm{B}=A_xB_x+A_yB_y+A_zB_z
\]

の出力は↓

eq-bm1.png

行列

\begin{pmatrix} 命令を使います.

\[
 A=
  \begin{pmatrix}
   a & b \\
   c & d
  \end{pmatrix}
\]

の出力は↓

eq-pmatrix1.png

行列式

\begin{vmatrix} 命令を使います.

\[
 \det A=
  \begin{vmatrix}
   a & b \\
   c & d
  \end{vmatrix}
  =ad-bc
\]

の出力は↓

eq-vmatrix1.png

小さい分数

分数のサイズを変えるには, \frac の拡張命令である \tfrac および \dfrac を使うのが簡単です. \tfrac は,つねにテキストスタイルで分数を表示する命令ですから,ディスプレイスタイルで用いると相対的に小さくなります.

\[
 \sin(x+\tfrac{\pi}{2})=\cos x
\]

の出力は↓

eq-tfrac1.png

適度な大きさの括弧

括弧の記号 ( ),{ },[ ] などを \left( \right) というふうに \left, \right を付けると,分数などで背の高い数式になっても括弧の高さが自動的に調整されます.

\[
 \left(\frac{1}{\pi}\right)
\]

の出力は↓

eq-leftright1.png

片側だけの括弧

\left. とすると左側が消え, \right. とすると右側が消えます.

\[
 q''=-k\left.\frac{\partial T}{\partial y}\right|_{y=0}
\]

の出力は↓

eq-leftright2.png

分数の / を大きく

\[
 n = p \bigg/\left(\frac{\Delta l}{l}\right)
\]

の出力は↓

biggfrac.png

組み立て単位

数式モード中で単位を表すためには \mathrm{} をつかえばローマン体で書けるのですが,これだと複合単位の場合 \cdot の前後に余分な空白が入ってしまいます.

\[
 G_\mathrm{N}=6.67\times10^{-11}\ [\mathrm{N\cdot m^2\cdot kg^{-2}}]
\]

の出力は↓

eq-text1.png

この空白をなくすには \text{} 命令をつかって書きます.

\[
 G_\mathrm{N}=6.67\times10^{-11}\ [\text{N$\cdot$m$^2\cdot$kg$^{-2}$}]
\]

の出力は↓

eq-text2.png

\text{} の中は通常文章モードなので,数学記号は $ $ で括る必要があります.

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