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エネルギーの定義とエネルギー保存則
=============================================
エネルギー保存則について考えてみましょう.そもそも,僕た...
エネルギーはニュートン力学で重要な概念でしたから,これを...
(そもそもラグランジアンは,単純な力学系では運動エネルギー...
解析力学にエネルギーの概念は必要不可欠なのです.)
そこで,この記事ではエネルギーの定義と保存則について考え...
エネルギー
=============
さて,エネルギーを定義するといっても,どのように定義した...
ニュートン力学のときとの類推から $H$ として次の条件を満た...
- $H$ の単位はSI単位系で $[m^2kgs^{-2}]$ となる.
- 非保存力が存在しない時には保存則が成立する.
- 単純な力学系においてラグランジアンが $L=T-V$ と書けると...
こんな量 $H$ をどうやって探していきましょうか?保存則が成...
可能性がありますね. [*]_
さらに, $H$ の次元が定まってますから,まずは次元解析をや...
.. [*] ここで少し注意を喚起しておきます.一般に作用(もし...
次元解析
============
次元解析は複数の物理量の間に成立する未知の関係式を求める...
ここでは,保存則の成立という観点からエネルギー $H$ に関す...
一般化運動量の保存則では,作用積分の変分が以下の式で表せ...
<tex>
\delta I=\sum_{k=1}^n\{p_k(t_2)\delta q_k(t_2)-p_k(t_1)\d...
</tex>
つまり,作用 $I$ の第1変分が(物理量 $\times$ 座標の微小変...
保存則が得られる,ということでした.
ここで,作用 $I$ の単位は定義より,SI単位系で $[m^2kgs^{-...
時間をかけたものと言うことができるでしょう.この結果から...
位置を表す座標ではなく時間ではないか,と想像されます.
これまで,作用積分の変分を考えるときは座標のみの変分を考...
微小にずらすことを考えていきましょう.
エネルギーの定義と保存則
==============================
今までと同じ質点系の運動を考えていきます.すなわち,自由...
を考えます.このとき,作用 $I$ はラグランジアン $L(q,\dot...
<tex>
I=\int_{t_1}^{t_2}L(q,\dot{q};t)\mathrm{d}t \tag{##}
</tex>
と表せます.保存則を得るための変分を考えるのですから ネー...
は分かっているものとしましょう.前のセクションでやった考...
ないものとして,運動を考える時刻を $t_1+\delta t_1$ から ...
次式で定義されます.
<tex>
\delta I=\int_{t_1+\delta t_1}^{t_2+\delta t_2}L(q+\delta...
-\int_{t_1}^{t_2}L(q,\dot{q};t)\mathrm{d}t \tag{##}
</tex>
ここで, $\delta q$ や $\delta\dot{q}$ は,時間の微小変化...
どういうことかというと,本来質点系に何の変化も加えず時間...
しかし,時間をずらしても運動の初めと終わりの位置座標はず...
満たすためには,座標や速度を微小量だけずらさなくてはなら...
次のように考えると分かりやすいでしょう.本来時間 $\delta ...
時刻をそれだけ遅らせたのだから,その分だけ運動は遅れてい...
質点の速度の変化は無視できるでしょう.よって,
<tex>
\delta q_k(t_1)=-\dot{q}_k(t_1) \delta t_1 \tag{##}
</tex>
となります.マイナスになっているのは遅れていることを表す...
<tex>
\delta q_k(t_2)=-\dot{q}_k(t_2) \delta t_2 \tag{##}
</tex>
となります.
では,式(2)を計算していきます.微小量について2次以上の項...
<tex>
\delta I=\int_{t_1+\delta t_1}^{t_2+\delta t_2}\left\{L(q...
\delta q_k+{\partial L\over\partial\dot{q}_k}\delta\dot{q...
\mathrm{d}t \tag{##}
</tex>
次に,微小量を表す項については積分区間を微小に変化させて...
無視します.
<tex>
\delta I=\left(\int_{t_1+\delta t_1}^{t_2+\delta t_2}L\ma...
\sum_{k=1}^{n}\left({\partial L\over\partial q_k}\delta q...
\mathrm{d}t \tag{##}
</tex>
では,これを計算していきましょう.第1項では,積分区間をう...
<tex>
\int_{t_1+\delta t_1}^{t_2+\delta t_2}L\mathrm{d}t-\int_{...
\left(\int_{t_1+\delta t_1}^{t_1}L\mathrm{d}t+
\int_{t_1}^{t_2}L\mathrm{d}t+\int_{t_2}^{t_2+\delta t_2}L...
&=\int_{t_2}^{t_2+\delta t_2}L\mathrm{d}t-\int_{t_1}^{t_1...
</tex>
このようにすれば,微小区間での積分は
<tex>
\int_{t_0}^{t_0+\delta t}L(t)\mathrm{d}t=L(t_0)\delta t
</tex>
という式を使って展開することが出来ます.
また,運動の両端の変分は式(3),(4)で表せることと,ラグラ...
注意してください.これで $\delta I$ が次のように計算でき...
<tex>\displaystyle
\delta I&=\left(\int_{t_2}^{t_2+\delta t_2}L\mathrm{d}t-\...
{\partial L\over\partial\dot{q}_k}\delta q_k\right]_{t_1}...
\partial q_k}-{\mathrm{d}\over\mathrm{d}t}{\partial L\ove...
&=\{L(t_2)\delta t_2-L(t_1)\delta t_1\}+\sum_{k=1}^{n}\{p...
&=L(t_2)\delta t_2-L(t_1)\delta t_1+\sum_{k=1}^{n}\{-p_k(...
&=\left\{\sum_{k=1}^{n}p_k(t_1)\dot{q}_k(t_1)-L(t_1)\righ...
L(t_2)\right\}\delta t_2 \tag{##}
</tex>
なんだか, ネーターの定理_ と同じような形になりましたね....
ここで,エネルギーの関数 $H(q,\dot{q};t)$ を次のように定...
<tex>
H(q,\dot{q};t)=\sum_{k=1}^{n}p_k\dot{q}_k-L \tag{##}
</tex>
このとき, $\delta I$ は $H(t)$ を使って次のようにかけま...
<tex>
\delta I=H(t_1)\delta t_1-H(t_2)\delta t_2 \tag{##}
</tex>
これは,時間の並進移動について作用 $I$ が不変のとき, $\d...
微小な定数)として $\delta I=0$ だから
<tex>
H(t_1)=H(t_2) \tag{##}
</tex>
となります.つまり,式(8)で定義されるエネルギーは作用 $I$...
りました.
さて,最初に私たちはエネルギーの性質として,単純な力学系...
エネルギー $H$ はこの性質を満たすのでしょうか?
とにかく確認してみましょう.ラグランジアンを $L=T-V$ と定...
すいでしょう.単純な力学系では運動エネルギー $T$ は $\sum...
ポテンシャル $V$ は位置のみの関数であったことを思い出して...
<tex>
H&=\sum_{k=1}^{n}p_k\dot{x}_k-(T-V)\\
&=\sum_{k=1}^{n}{\partial (T-V)\over\partial \dot{x_k}}\d...
&=\sum_{k=1}^{n}m_k(\dot{x}_k)^2-T+V\\
&=2T-T+V\\
&=T+V
</tex>
こうして,初めに考えた条件をすべて満たす物理量としてエネ...
が $L=T-V$ と表せないときにはどうなるのでしょうか?
このときはニュートンの運動方程式を基礎とする立場から一般...
問題については物体に働く力を積分して求められることはあり...
基礎とする立場からは式(8)によってエネルギーを定義すること...
それにしても,求める過程にせよ,作用の変分の形にせよ,エ...
実際に相対性理論では,運動量の時間成分はエネルギーになり...
相対論や量子論とは一見関係なさそうな分野を学んでいるのに...
とても面白いですよね!
.. _ネーターの定理: http://www12.plala.or.jp/ksp/analyti...
@@author:佑弥@@
@@category:解析力学@@
@@accept:2007-09-30@@
@@id:energyDefinitionConservation@@
終了行:
#rst2hooktail_source
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エネルギーの定義とエネルギー保存則
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エネルギー保存則について考えてみましょう.そもそも,僕た...
エネルギーはニュートン力学で重要な概念でしたから,これを...
(そもそもラグランジアンは,単純な力学系では運動エネルギー...
解析力学にエネルギーの概念は必要不可欠なのです.)
そこで,この記事ではエネルギーの定義と保存則について考え...
エネルギー
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さて,エネルギーを定義するといっても,どのように定義した...
ニュートン力学のときとの類推から $H$ として次の条件を満た...
- $H$ の単位はSI単位系で $[m^2kgs^{-2}]$ となる.
- 非保存力が存在しない時には保存則が成立する.
- 単純な力学系においてラグランジアンが $L=T-V$ と書けると...
こんな量 $H$ をどうやって探していきましょうか?保存則が成...
可能性がありますね. [*]_
さらに, $H$ の次元が定まってますから,まずは次元解析をや...
.. [*] ここで少し注意を喚起しておきます.一般に作用(もし...
次元解析
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次元解析は複数の物理量の間に成立する未知の関係式を求める...
ここでは,保存則の成立という観点からエネルギー $H$ に関す...
一般化運動量の保存則では,作用積分の変分が以下の式で表せ...
<tex>
\delta I=\sum_{k=1}^n\{p_k(t_2)\delta q_k(t_2)-p_k(t_1)\d...
</tex>
つまり,作用 $I$ の第1変分が(物理量 $\times$ 座標の微小変...
保存則が得られる,ということでした.
ここで,作用 $I$ の単位は定義より,SI単位系で $[m^2kgs^{-...
時間をかけたものと言うことができるでしょう.この結果から...
位置を表す座標ではなく時間ではないか,と想像されます.
これまで,作用積分の変分を考えるときは座標のみの変分を考...
微小にずらすことを考えていきましょう.
エネルギーの定義と保存則
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今までと同じ質点系の運動を考えていきます.すなわち,自由...
を考えます.このとき,作用 $I$ はラグランジアン $L(q,\dot...
<tex>
I=\int_{t_1}^{t_2}L(q,\dot{q};t)\mathrm{d}t \tag{##}
</tex>
と表せます.保存則を得るための変分を考えるのですから ネー...
は分かっているものとしましょう.前のセクションでやった考...
ないものとして,運動を考える時刻を $t_1+\delta t_1$ から ...
次式で定義されます.
<tex>
\delta I=\int_{t_1+\delta t_1}^{t_2+\delta t_2}L(q+\delta...
-\int_{t_1}^{t_2}L(q,\dot{q};t)\mathrm{d}t \tag{##}
</tex>
ここで, $\delta q$ や $\delta\dot{q}$ は,時間の微小変化...
どういうことかというと,本来質点系に何の変化も加えず時間...
しかし,時間をずらしても運動の初めと終わりの位置座標はず...
満たすためには,座標や速度を微小量だけずらさなくてはなら...
次のように考えると分かりやすいでしょう.本来時間 $\delta ...
時刻をそれだけ遅らせたのだから,その分だけ運動は遅れてい...
質点の速度の変化は無視できるでしょう.よって,
<tex>
\delta q_k(t_1)=-\dot{q}_k(t_1) \delta t_1 \tag{##}
</tex>
となります.マイナスになっているのは遅れていることを表す...
<tex>
\delta q_k(t_2)=-\dot{q}_k(t_2) \delta t_2 \tag{##}
</tex>
となります.
では,式(2)を計算していきます.微小量について2次以上の項...
<tex>
\delta I=\int_{t_1+\delta t_1}^{t_2+\delta t_2}\left\{L(q...
\delta q_k+{\partial L\over\partial\dot{q}_k}\delta\dot{q...
\mathrm{d}t \tag{##}
</tex>
次に,微小量を表す項については積分区間を微小に変化させて...
無視します.
<tex>
\delta I=\left(\int_{t_1+\delta t_1}^{t_2+\delta t_2}L\ma...
\sum_{k=1}^{n}\left({\partial L\over\partial q_k}\delta q...
\mathrm{d}t \tag{##}
</tex>
では,これを計算していきましょう.第1項では,積分区間をう...
<tex>
\int_{t_1+\delta t_1}^{t_2+\delta t_2}L\mathrm{d}t-\int_{...
\left(\int_{t_1+\delta t_1}^{t_1}L\mathrm{d}t+
\int_{t_1}^{t_2}L\mathrm{d}t+\int_{t_2}^{t_2+\delta t_2}L...
&=\int_{t_2}^{t_2+\delta t_2}L\mathrm{d}t-\int_{t_1}^{t_1...
</tex>
このようにすれば,微小区間での積分は
<tex>
\int_{t_0}^{t_0+\delta t}L(t)\mathrm{d}t=L(t_0)\delta t
</tex>
という式を使って展開することが出来ます.
また,運動の両端の変分は式(3),(4)で表せることと,ラグラ...
注意してください.これで $\delta I$ が次のように計算でき...
<tex>\displaystyle
\delta I&=\left(\int_{t_2}^{t_2+\delta t_2}L\mathrm{d}t-\...
{\partial L\over\partial\dot{q}_k}\delta q_k\right]_{t_1}...
\partial q_k}-{\mathrm{d}\over\mathrm{d}t}{\partial L\ove...
&=\{L(t_2)\delta t_2-L(t_1)\delta t_1\}+\sum_{k=1}^{n}\{p...
&=L(t_2)\delta t_2-L(t_1)\delta t_1+\sum_{k=1}^{n}\{-p_k(...
&=\left\{\sum_{k=1}^{n}p_k(t_1)\dot{q}_k(t_1)-L(t_1)\righ...
L(t_2)\right\}\delta t_2 \tag{##}
</tex>
なんだか, ネーターの定理_ と同じような形になりましたね....
ここで,エネルギーの関数 $H(q,\dot{q};t)$ を次のように定...
<tex>
H(q,\dot{q};t)=\sum_{k=1}^{n}p_k\dot{q}_k-L \tag{##}
</tex>
このとき, $\delta I$ は $H(t)$ を使って次のようにかけま...
<tex>
\delta I=H(t_1)\delta t_1-H(t_2)\delta t_2 \tag{##}
</tex>
これは,時間の並進移動について作用 $I$ が不変のとき, $\d...
微小な定数)として $\delta I=0$ だから
<tex>
H(t_1)=H(t_2) \tag{##}
</tex>
となります.つまり,式(8)で定義されるエネルギーは作用 $I$...
りました.
さて,最初に私たちはエネルギーの性質として,単純な力学系...
エネルギー $H$ はこの性質を満たすのでしょうか?
とにかく確認してみましょう.ラグランジアンを $L=T-V$ と定...
すいでしょう.単純な力学系では運動エネルギー $T$ は $\sum...
ポテンシャル $V$ は位置のみの関数であったことを思い出して...
<tex>
H&=\sum_{k=1}^{n}p_k\dot{x}_k-(T-V)\\
&=\sum_{k=1}^{n}{\partial (T-V)\over\partial \dot{x_k}}\d...
&=\sum_{k=1}^{n}m_k(\dot{x}_k)^2-T+V\\
&=2T-T+V\\
&=T+V
</tex>
こうして,初めに考えた条件をすべて満たす物理量としてエネ...
が $L=T-V$ と表せないときにはどうなるのでしょうか?
このときはニュートンの運動方程式を基礎とする立場から一般...
問題については物体に働く力を積分して求められることはあり...
基礎とする立場からは式(8)によってエネルギーを定義すること...
それにしても,求める過程にせよ,作用の変分の形にせよ,エ...
実際に相対性理論では,運動量の時間成分はエネルギーになり...
相対論や量子論とは一見関係なさそうな分野を学んでいるのに...
とても面白いですよね!
.. _ネーターの定理: http://www12.plala.or.jp/ksp/analyti...
@@author:佑弥@@
@@category:解析力学@@
@@accept:2007-09-30@@
@@id:energyDefinitionConservation@@
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