==================== 自然対数の底 ==================== 数学や物理などの自然科学では, 自然対数の底という名前で $e$ という数が非常に広く使われています. $\log_e x$ や $e^{ix}$ など,いろいろなところで登場しますね. この $e$ は $e=2.78\dots$ という値をもつ無理数です. $e$ がどうしてそのような値になるのか, そしていったいどのような意味で重要なのかを, 少し考えてみたいと思います. 指数関数の微分 --------------------- 自然対数の底は,指数関数の微分から導かれる数です. そこで,一般の指数関数の微分を考えます. まず,微分の定義ですが,$f(x)$ という関数の場合 \begin{align*} \frac{df(x)}{dx} &= \lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h} \end{align*} というものでした.この定義をそのまま指数関数 $a^x$ に 適用すれば \begin{align*} \frac{da^x}{dx} &= \lim_{h\to0}\frac{a^{x+h}-a^x}{h} \tag{1} \end{align*} と書くことができます.ここで指数関数の重要な性質 $a^{x+h}=a^x a^h$ を用いると,上式は \begin{align*} \lim_{h\to0}\frac{a^{x+h}-a^x}{h} = \lim_{h\to0}\frac{a^x a^h-a^x}{h} \end{align*} となります.さらに,$a^x$ は極限とは関係ありませんので $\lim$ の外に出すことができて,結局式(1)は \begin{align*} \frac{da^x}{dx} &= \lim_{h\to0}\frac{a^x a^h-a^x}{h}\\ &= a^x \lim_{h\to0}\frac{a^h-1}{h} \tag{2} \end{align*} と変形できます.式(2)の言っていることは, 指数関数 $a^x$ を微分したものは,$a^x$ そのものに $\lim_{h\to0}(a^h-1)/h$ を掛けたものである,ということです. \subsection*{微分しても変わらないということ} @@author:崎間@@ @@accept:@@