物理のかぎしっぽ どのような公式集&ハンドブックをつくるべきか の変更点

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 **どのような公式集&ハンドブックをつくるべきか [#scdf78c3]
 
 当たり前ですが,''物理学とは公式を暗記するものではありません''.しかし、たとえばかけ算をするときには,事前に九九を“覚えて”おかなければ素早く計算することはできません.もちろん原理的には導出することはできるのですが,いちいちそんなことをしていたら日が暮れてしまいます.問題を解く際にあたっては、“0からスタート”することは実用的ではないのです。
 
 つまり,''よりレベルの高い学習や問題に取組む際には,その基礎となる事項について,知識を整理してコンパクトに引き出せるようにした"要点"を記憶しておく(あるいはすぐに参照できるようにしておく)必要がある''のです.そういったものを“公式”と呼ぶならば,それは価値のあるものだと僕は思います.知識のピラミッドとでも言いますか.もちろん,自分ですぐに導出できるものを“公式”として丸覚えする必要はなく,自分が当面使わないようなことを“公式”として覚えておく必要もありません.覚えることは最小限に留めたいものです.
 
 
 高校受験,大学受験の頃と違い,僕は大学レベル以降の学習で“公式集”や“要点整理”と呼ばれるものをあまり見たことがありません。なぜでしょうか.
 
 --「甘ったれんてんじゃねーよ!高校生じゃねーんだから欲しけりゃてめえで作れ!」という雰囲気のため.高校生までは,多くの科目を(得てして受動的に)勉強しがちです.しかし大学以降では“好きでその学問をやっている”人の割合が多くなるため、わざわざ“公式集”や“要点整理”などのサービスを提供されなくても自分で出来る人、やろうとする人が多くなっているという状態であるはずです.そして大学以降は基本的に“テストのために学問する”という状態ではないので、「これはこうやって考えると整理できるよ」「これはテストに出るよ、出すよ」「これは大事」などとご丁寧に言われたり書いてあったりすることはあまりありません,知識を効率的に吸収し,自分にとっての“要点”を認識するのは各自の仕事となります。
 
 --公式集なんてわざわざ作らなくても、なんとかなるため。基本的には,日頃から勉強しているうちに、頭の中に必要な知識がしっかりと構築されれば、「公式集」や「要点整理」などというものは必要ありません。大学以降はそれでなんとかなってしまうからなのかもしれません.
 
 --人口が少ないので供給されないため.考えてみれば,大学受験に比べて大学院受験をする人数は非常に少なくなります.「そのようなサービスを欲しがっている人は実は多いが,学問人口?が少なくて作れる(作って公開しようと思い立つ)人も少ないので提供されない」のかもしれません.
 
 では、"公式集"とか"要点整理"が要らないかと言うと、僕はそうは思いません.''要点を整理しながら理解していくのは大切''なことです.特にテスト前の総復習にはそういったものがあればどんなに助かるでしょうか.「なら自分で作れ」と言われるかもしれませんが,なかなか時間がかかります.もし“公式集"とか"要点整理"を人から提供されて自分にとっても良いものだったら,使いたくなるに違いありません.昔ならそのようなものがあったとしても大学内で内輪に共有する程度にとどまったのでしょうが,インターネットがあるこの時代,そんなコンテンツがあってもよいのではないでしょうか.
 
 しかし,''人の作った公式集のたぐいは一般に見づらい''ものです.なぜでしょうか.
 
 --人によって"要点"や"来たるテストに向けて覚えておかなければいけない点"は違うので,「公式集」は最大公約数的なものとなり,そのうえ筆者の好みや主観が入ってしまうため.
 
 --人にはそれぞれ、好きな記号、できれば使いたくない記号、なじみのない表記、好きな説明の仕方、いやな説明の仕方、使いこなせないような公式などがあるので,他人にそれを「公式集」として押し付けられても馴染めないため.
 
 --殺風景で面白みに欠けるため.
 
 
 などが考えられます.
 
 
 そこで解決策を考えてみました.かつてない"公式集"や"要点整理集(ハンドブック)"のために,このようなものを目指せばよいのではないかという自分なりの指針です.
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 -個人でカスタマイズできる.
 
 公式だけを並べるような公式集では''十分な余白''が必要でしょう.個人個人で好きに書き足せるものがいいのではないでしょうか.理想をいえば,''自分に必要なものを選択できる''といいですね.栄○ゼミナールで塾講師をやっていました頃,パソコンに出題範囲と難易度を入力すると勝手に問題プリントを出力してくれるシステムがありましたが,そんな感じで自分に必要な部分だけを選べると便利かもしれません.そして,'自分の好きな記号を選択できる'とより馴染めると思います.実際はそのようなコンテンツを作るのはなかなか難しく,「作る側がそこまでしなくても」という気がしますが..
 
 -見やすい.視覚的に訴える.
 
 一般に公式集と呼ばれるものは,図やイラストを省きます.その結果,式の羅列でかえってわかりづらくなり,殺風景で取っ付きづらくなるのではないでしょうか.むしろ''図やイラストはたくさん載せる''べきだと思います.テスト直前にサッとチェックすることも多いはずなので,ヴィジュアルに訴えることも大切だと思います.そして,文章をだらだら綴るよりは,''整理した表を多用''して整理して載せるのがよいかと思います.
 
 -新たな発見がある.
 
 ただ公式を羅列するだけではつまらないはずですし,もしわからないことがあれば各自で教科書に戻って調べなければなりません.そういったものよりは,むしろ新たな発見があるぐらいのものがよいのではないでしょうか.ちょっとした''Tipsを盛り込む''といいのではないでしょうか.お勧めの覚え方、語源,大切な照明,鍵となる考え,テストには関係なさそうだけど「へぇー」と思うまめ知識、問題での使いどころetc. 箇条書き等でさらっと書けばそれほどスペースを取らないはずです.
 
 -かゆい所に手が届く.
 
 思い切って簡単な事項も復習として載せると意外に役にたつはずです.たとえばSI単位、ギリシャ文字、定数、中学や高校レベルの知識など,たまに忘れてそうなことも収録できればいいのではないでしょうか.理科年表もあるんですが,あれは微妙に使えなかったりするんで..
 
 -英語をふんだんに盛り込む.
 
 大学院に進むような人は論文等で英語は必須となります.最低でも専門用語+人名ぐらいは英語表記も知らないといろいろ困るのではないでしょうか.そのための基礎として,用語や人名については英語を併記しておくのがよいのではないでしょうか.人名ですが,個人的にはカタカナは嫌いで,「その人への敬意を込めてなるべくその人の言語で表記する」ためにアルファベットで表記したいところです.
 
 -文章は最小限に.しかし用語の定義はしっかりと.
 
 現在の物理学/物理数学ハンドブックでは文章形式ですが,個人的には文章は要点箇条書きや注釈に留めるべきだと思います.「ハンドブック」というのは「いつでも手元に置いて参照できる」という意味だと思いますので,なるべく多くの事項を含めたいところです.そしておそらく文章を読みたい人は記事や参考書をあたると思うので,差別化のために省くのがよいのではないかと思います.しかし「あれ,この用語はどういう意味だっけ?」という需要に応えるために,用語についてはしっかり説明するのが良いと思います.“用語集”を兼ねると使いやすいと思います.
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