物理のかぎしっぽ 欲しい記事/50 のバックアップ(No.8)

水泳の脚運動で,「カルマン渦の放出による推力」が発生するか?

メッセージ

私はリハビリテーションで水泳に取り付かれた老人です.平泳ぎの脚の動きを観察していると,足の裏で水を押しのけた後,左右の脚が伸びながら閉じる時に推進力を感じます.これは良く知られた現象のようです.他方,クロールでも,脚に捻じりを加えながら脚を伸ばすと,左右の脚が合わさる時に推力を感じます.

平泳ぎでは「脚が閉じる時に水を押し出す」からだと言う説明が在りますが,私の感触では,カルマン渦の放出による反作用のようだと思います.

この問題は非定常な流体現象で難しそうですが,お若い方の馬力でブレーク願えませんか?

返答

返答

Johさん,論議を戴き感謝いたします.こちらに質問をした後,いろいろな解説を拝見しました.自分も,遠い昔,物理を専攻していたのですが,幾つかの解説に触れていて,懐かしいものの,大部分が忘却の彼方です(泣).でも,数学など別の世界の話と思っていましたが,楽しく見せて戴きました. -- mNeji? 2006-06-14 (水) 02:27:38

当然,流体力学も,一般物理の教科書のレベルしか知りませんでした.ところが水泳の解説が理解できなくて,簡単なモデル計算などを始めました.面白い事に,水泳の「伏し浮き」のバランスは,Johさんの「オートジャイロの静的安定性」と類似の話であるようです.

他方,最近は,工学部系の研究室が水泳の解析をされていますが,あまりにも計算がブラック・ボックス化されており,水泳をする側として,どのように考えて,体を動かせば良いのか理解できないという問題があいます.

  1. 東大
  2. 防衛大
  3. 東工大

他方,体育系の研究室では,実測により

  1. 体全体の抗力係数
  2. 手の部分の抗力係数・揚力係数

などがえられているようです.

同じスポーツの世界でも,ボート系の分野では,オールの動きと抗力・揚力の関係を検討されています.ところが,水泳では,Johさんのご指摘のように,

  1. 体が運動に伴い,水上と水中を行き来する
  2. 造波抵抗すらあり
  3. 非定常・非線形
  4. クロールではローリングが大きな回転角で発生する

と,悩みが深いわけですね.この際;

  1. 難しい数値計算に付いては,工学系の研究論文をステップ・バイ・ステップで勉強しながら
  2. 実測値について,流体力学的な解釈を明確にし,
  3. 渦放出過程を,大雑把な足の運動モデルでシミュレートできないか?

といった展開がありえないか,と思うのです.

他方,自分の脚動作を見ていると,脚が伸びきる寸前に,「足の甲」の面が回転するのです.その時に「渦が発生する」と感じています.

ひょっとすると和船の「櫓(ろ)」の動きに近いのかもしれません....

と,如何にも見たように申し上げているのは,先日テレビで「巨大な蛾の飛行」をシミュレートしたり実働モデルを作って実測したりする番組を拝見したのです.たしか千葉大・理研の話だったと思います.

その映像では,羽根が一回振り下ろす時に,羽根の根元から渦巻きが羽根の先端に成長しながら移動し,振り上げる時に羽から放出するようにみえました.

自分の足でも類似の現象が起きないか....と推測するわけです.例えば,足の断面を二等辺三角形としてその,並進・回転によって渦を生成し,放出できるかを算出してみる.当面は2次元近似で,十分水中とする.

飛行機の翼の計算では,複素関数の写像を使って翼形状を出すとおもいますが,渦のベクトル・ポテンシャルについて複素関数などを使えないでしょうかね.

いずれにしろ,定性的な話で申し訳ありません.気長な話なので,時間がとれたら遊んでみてくだされば,ありがたいです.


 
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