物理のかぎしっぽ 分かりやすい文章を目指しましょう のバックアップソース(No.11)
* わかりやすい文章を目指しましょう [#fd5e0e18]
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* 序文 [#qb99b0a8]

ここでは「どのようにすればわかりやすい文章が書けるか」について記します.

私たちが記事を書くのは,他人に読んでもらうためです.
記事を他人に読んでもらうには,わかりやすい文章を書かなければなりません.
でも,わかりやすい文章を書くというのは意外に難しいものです.

その理由は,自分の書きたい内容を自分自身では分かっていることにあります.
書く人自身は,予備知識というか,バックグラウンドを持っているわけです.
しかし,自分の文章を読む人にそれがあるとは限らない.
そのギャップが,「分かる」か「分からないか」を分けてしまうことになります.

ですが,分かりやすい文章を書く,ということは
特別な才能を要するものではありません.
常に読む人の思考過程をシミュレートし,
いくつかの定石を守りさえすれば,きっと誰にでもできることだと思います.


*文章の流れへの配慮 [#qdae4c59]

分かりやすいかそうでないかは,文章そのものの構造に決定的に左右されます.
たとえば,いきなり専門用語だらけの詳解な説明をされても,
なかなか分かるものではありません.
まずはじめにこう,つぎにこう,だから最終的にこうなるんだよ,と順をおって行く.
そういう説明の方が分かりやすいことに,異論はないと思われます.

**文章の構造 [#laa6c26a]

文章は,できる限りつぎの手順で組み立てるべきです.

+大まかな説明
+中間の説明
+詳細な説明

このなかで,大まかな説明,という部分が一番難しいです.
ですから,執筆の時点では詳細からはじめ,
最後に大まかな部分を書くのも一つの手です.

もちろんこの一連の流れは,論理的に矛盾がないことが必要です.
いわゆる「すじが通った」文章は,論理的整合性が保たれています.

説明の詳しさ,だけでなく,説明の目的に着目すれば

+最初に目的を書く
+そのための準備を書く
+最後に結論,その目的が達成されたかを書く

という流れになります.二つの流れを同時に実現するよう心がけると良いと思います.


**文の構造 [#t802e8dd]

文書はいくつか節で構成されます.その節は段落で構成されます.
さらに段落は文から,文は文節から,文節は単語と助詞から構成されます.
意味をもつ最小単位は文ですので,文をうまく組み立てることが,
うまく文書を構成するポイントとなります.そのポイントとして

-1文では一つのことしか言わない

が挙げられます.これに気を使うとかなり良くなります.
無闇に「,」を多用して多くの意味を含ませると,
読んでいる方は話の流れについて行けなくなってしまうからです.
「が」や「しかし」で分けるときには,文も分けた方が無難です.

**段落の構造 [#p5d06d04]

段落においても,できるだけ

-一つのまとまったことしか言わない

という方針が良いでしょう.さらに,段落の最初の一文に,

-その段落の概要になる文を持くる

ようにすれば,より分かりやすくなります.このチェックとしては,できあがった文章を通して「段落の最初だけ拾ってよむ」方法が有効です.この方法で読んで意味が通っていれば,それはかなり良い構造を持っていると言えます.

*推敲 [#w13f7f80]

文章がある程度完成したら,その後の作業のほとんどを,推敲に費します.「推敲」とは「字句を練り上げること」です.ある程度流れを組み立てた文章を読み返し,「ここは分かりにくいかもしれない,もっと良い表現はないだろうか」などを考え,加筆修正する作業です.

この作業で,読む人の思考仮定をシミュレートしながら,ちょっとでも疑問が湧きそうな部分を読み取り,適宜修正します.句読点,「てにおは」にも注意を払います.一通り書いてから一晩以上寝かせると,客観的な評価がそこそこできるようになります.


*参考書籍 [#aa47f5fd]

以上で書いたポイントでは不十分ですので,参考書籍を紹介します. :)

- [[「理科系の作文技術」 (木下是雄 / 中公新書):http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4121006240/qid%3D1102959478/250-4203965-0754651]]
- [[「分かりやすい文章」の技術 (藤沢晃治 / 講談社ブルーバックス):http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062574438/qid=1102959515/sr=1-1/ref=sr_1_2_1/250-4203965-0754651]]

これから卒業論文などを書かなければならない予定の人は,読んでおいて損はありません.そしてこのような「文書作成法」の内容を自分のものにするためには

-良い文書をたくさん読む
-悪い文書は頭のなかで直しながら読む

ことが有効です.文章の構造を意識しながら読むだけで,大変良い訓練になります.


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