物理のかぎしっぽ 査読/準静過程(トミー著)/2 のバックアップソース(No.7)
* 熱さまシート [#j7b44fc5]

|~ページ|[[査読/準静過程(トミー著)]]|
|~投稿者|[[Joh]]|
|~状態|#listbox3(感想,査読2,state)|
|~投稿日|2006-08-25 (金) 21:55:48|

** メッセージ [#re61ce37]
執筆お疲れ様です。このペースでばしばし熱力学を進めてください!

さて、査読です。

1. 表題は、準静的過程では?

2. リード文に重大な誤りがあるように思います。準静的過程では、あくまで「変化中」の状態は記述できないと思います。状態A1からA2への熱力学的準静的変化があったとして、確かに、その二つの状態の間を「変化」したわけですが、途中のどこでその過程を見てみても、常に「平衡状態に釣り合っている」というのが準静的過程です。物理で、何かが変化中といえば、変数の時間微分項が零ではないという意味ですね。時間微分項の入った基礎方程式は出てきますか?

3. 「有限の変化を起こすのに無限大の時間がかかる変化」このメッセージが赤字になっているのは、大変良いと思います。準静的過程の心ですね。

4. しかし、その次の絵の下「このピストンを非常にゆっくり引っ張れば,容器内の気体を熱平衡状態に保ったまま膨張させることができます」は不正確だと思います。たとえどんなにゆっくりでも、有限時間内に平衡状態を保ったまま膨張させることは出来ないと思います。私ならむしろ、準静的過程というものは、現実には決して実現できない変化方法なのだということを強調すると思います。トミーさんは、どう思いますか?

5. 「何か一つでも  (イコール)で繋ぐことができる値が存在する」これも、時間項を含む微分方程式で基礎方程式を記述すれば等式を書けますよね。「等式を書きたいから準静的過程を仮定する」のでありません。状態量の比較だけで話を済ませられるから、準静的過程を考えると簡単なんだと思います。

6. 最後のコラムの内容について質問です。これは、平衡状態にある系が、不連続的にジャンプしても良いということですか?こういう場合にも、準静的過程という言葉が使えるとは知りませんでした。


** 返答 [#q876dc6f]
- 査読、ありがとうございます :) では、順に。1.ですが、mNejiさんからも同様のご指摘をいただきました。が、私の参考文献には「準静過程」と表記されています。よってどちらでも別に構わないと判断して、一般的な方に合わせようと思います。熱力においてはどちらが普通、用いられていますか?2.ですが、なるほど、非常にわかりやすいご指摘です。微分方程式と日本語を対応させた時に、矛盾が生じているのですね。確かに、私の意図するところは「ある状態からある状態へ変化した」ということを表すことだったのですが、「変化中」としたのがよろしくありませんでしたね。改訂します。4.ですが、これも改訂いたします。私としては熱力の視点に立って「無限大の時間をかけてピストンを引っ張れば熱平衡のまま膨張させられる」という意味で書いたつもりで、これすなわち「実現不可能」ということなのですよね。当たり前のことだと思い込みすぎて全く言葉足らずでした。熱力学視点で「準静的な変化存在する」等、そのあたりのことを書いていたのでした。申し上げたいのは、高校物理の時の物体の運動のように、本来ならば考慮しなければならない空気抵抗や摩擦力を、問題を解く時は完全無視することを自明としている部分がありますよね。その状態に私はいたと思います。「強調すべきかどうか」…強調すべきでしょうね。この熱力初歩の記事で強調しておかなければならないと思います。表現を変えます。しばしお待ちください。5.はよくわかりません。ご指摘の意味は分かります。この部分、何と書けば良いのか分からなくて苦し紛れに書いた文章でした。「熱力学を勉強する前に」の査読コメントの返答にも書かせていただきましたが、こういうことに触れている文献が読みたいです。Johさん、よろしければご教示ください。重ねてお願い申し上げます。さて、最後。6.ですが、これはここで議論をしたくて敢えて書きました。参考文献に載っていて、興味をもったので書いてみました。Johさんはどういう解釈をなさって「不連続的にジャンプ」と書かれたのですか? -- [[トミー]] &new{2006-08-26 (土) 01:07:11};
- おそらく、理解の仕方の違いに根ざす相違だと思いますので、私なりの考えを書きます。準静的過程によれば、ピストンをたった1mm動かすのにも無限の時間がかかるわけですから、こんなのは実現できる過程でもないし、式の上で意味が分かったところで腑に落ちる物理的過程ではありません。これを、無理に理解しようとするのは人間の感覚に反していると思います。むしろ、どうして最初の人はそんな変な概念を導入しようとしたのか、という動機を探れば、そんな無理な概念を使いたい気持ちを察することは出来るでしょう。説明するなら、そっちの説明(釈明?)が大事だと思っています。さて、準静的過程を導入したい動機は、そうすることで「状態量の差だけで系の変化を記述できる」からではないでしょうか。私なら、準静的過程とは、計算を楽するために捻り出した、非現実的な過程だと断言してしまいます。 -- [[Joh]] &new{2006-08-27 (日) 00:58:24};
- 5.に関してですが、以前、第一法則についてnemoさんも含めて議論になったことと同じことです。状態量の変化を閉じた系で考える場合、増減は無いわけだから、プラスマイナスゼロという式を等式の形で書けるわけです。しかし、この(等式の形に式を書きたいという)都合のために、自由エネルギーという正体不明の量を導入しました。(自由エネルギーが無ければ、不等式になるのかな?) 状態量に関する等式は巨視的な量の収支を示すものです。一方、微分方程式は局所的な増減を表わします。全然違う式なわけですが、「等式で書けるか?」といえば、どっちも等式の形に書けます。何が素晴らしいかと言えば、状態量の等式の方がずっと簡単だという点だと思います。 -- [[Joh]] &new{2006-08-27 (日) 01:03:09};
- 6の解釈ですが、お書きになった話は、系の時間スケールに対して十分に無視できる時間内に変化が終了している、という意味ですね。ということは、状態の変化に要した時間は零と考え(零と考えられないなら、「変化中の状態」を記述する式が必要です)、その前後は、熱力学的平衡状態にあるということです。これは、状態のジャンプではないですか? -- [[Joh]] &new{2006-08-27 (日) 01:05:23};
- 数学的には、不連続点が高々有限個なら良いと思うのですが、熱力学ではどういう取り扱いをするのか興味があります。似た状況で思いつくのは、一つは流体力学の衝撃波です。衝撃波の前後は一様な流体ですが、衝撃波面は不連続なジャンプ面となります。気体分子運動論では衝撃波の幅を考えますが、古典流体力学では厚さ0と仮定します。力学でも似た例があります。風車は流入流と揚力と空気抵抗が釣り合った角速度で回っていますが、流入流に擾乱があると角速度が変わります。この変化を一瞬だとするのがquasi-steady近似です。 -- [[Joh]] &new{2006-08-27 (日) 01:54:58};

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