#rst2hooktail_source ============================================================ 熱力学第2法則 ============================================================ 熱力学第二法則について書きます。 エネルギーとは、第一法則ででてきます。 温度は、熱力学的絶対温度というもので、統計力学 [*]_ とは別の定義として、 カルノーサイクルの効率から定義されるものです [*]_ 。 .. [*] 統計力学では温度を $\dfrac{dS}{dE}=\dfrac{1}{T}$ と定義するようです。どういうことかと言うと、熱力学では温度の定義をしてからエントロピーの定義をするのですが、統計力学ではエントロピーを先に定義してから、温度を定義します。 .. [*] 熱力学的絶対温度と理想気体温度計の示す温度は等しいです。 熱流とエントロピー =================== 系が熱流 $\mathrm{d}^\prime Q$ を受け取るとき [*]_ 、エントロピー $S$ は、 下の分だけ増加します。 .. [*] この微小量 $\mathrm{d}^\prime Q$ は状態量の微小変化ではないので、 $^\prime$ をつけて区別し、不完全微分といいます。 <tex> \mathrm{d}S=\frac{\mathrm{d}^\prime Q}{T} \tag{##} </tex> これが、エントロピーの定義です。 エントロピーと温度 ========================= 上の式は次のように変形できます。 両辺を $\mathrm{d}^\prime Q$ で 割って、 $\mathrm{d}^\prime Q$ をエネルギー $\mathrm{d}E$ で置き換えるのです。 添え字の $V$ は系の体積を表し、 系が外部からされる仕事 $\mathrm{d}^\prime W=- p \mathrm{d} V$ をされないし、外に仕事もしない 変化に関する微分を表します。つまり、等積変形です。仕事 $\mathrm{d}^\prime W=- p \mathrm{d} V$ に 於いて $\mathrm{d} V = 0$ から $\mathrm{d}^\prime W = 0$ であり,熱力学第一法則に 依れば $\mathrm{d} E = \mathrm{d}^\prime Q + \mathrm{d}^\prime W$ であるから $\mathrm{d} E = \mathrm{d}^\prime Q$ です。 <tex> {\left(\frac{\mathrm{d}S}{\mathrm{d}E}\right)}_{V}=\frac{1}{T} \tag{##} </tex> 基本的な仮定として、熱(エネルギー)は温度が自発的には高いところから低いところに流れ、 逆は起こりません。 実はこれがあの有名な熱力学第二法則です。 系Aと系B ================== ここで、二つの系 $A,B$ が接触していて体積不変であり、 熱のやり取りができる以外は断熱されている系を考えます。 系の温度は以下のように $B$ より $A$ の方が高いとします。 <tex> \frac{1}{T_A} = {\left(\frac{\mathrm{d}S_A}{\mathrm{d}E}\right)}_{V} < \frac{1}{T_B} = {\left(\frac{\mathrm{d}S_B}{\mathrm{d}E}\right)}_{V} \tag{##} </tex> とすると、熱 $\mathrm{d}^\prime Q$ は温度 $T$ が高い $A$ から、低い $B$ へ 流れます。 すると、示量変数 [*]_ であるエントロピーは足すことができるので、 系全体のエントロピーは、以下のように増加します。ただし、 $\mathrm{d}^\prime Q>0$ です。 .. [*] 示量変数とは系の大きさが倍になったときに同様に倍になる変数を表し、 示強変数とは、系の大きさが倍になっても値が変わらない変数のことを言います。 前者の例は、体積 $V$ やエントロピー $S$ が、後者の例は、圧力 $P$ や温度 $T$ が あります。 <tex> \Delta S_{\mathrm{total}} &= {\left(\frac{\mathrm{d}S_B}{\mathrm{d}E}\right)}_{V} \mathrm{d}^\prime Q -{\left(\frac{\mathrm{d}S_A}{\mathrm{d}E}\right)}_{V} \mathrm{d}^\prime Q \\ &= (\frac{1}{T_B}-\frac{1}{T_A})\mathrm{d}^\prime Q \\ & > 0 \tag{##} </tex> これが有名なエントロピー増大の法則です。 孤立系 [*]_ において、熱は温度の高いところから低いところへ流れる不可逆変化をする時、全体としてのエントロピーが増大する ということを言っているのです。(下記参考URL参照) .. [*] 孤立系は断熱系に含まれる。:断熱系とは熱の出入りが起こらず、壁の移動による仕事のやり取りはある系。 孤立系は、その仕事のやり取りもしない系。 エントロピー増大の法則は、概念の広い法則で熱力学第二法則を含みます [*]_ 。 .. [*] 熱力学においては、例えば「混合」という不可逆変化のエントロピー増大則や化学反応によるエントロピー変化というものもあります。 それでは今日はこの辺で。 @@reference: ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E5%8A%9B%E5%AD%A6%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E6%B3%95%E5%89%87,熱力学第二法則(Wikipedia)@@ @@author:クロメル@@ @@accept:2010-06-24@@ @@category:熱力学@@ @@id:thermoSecondLaw@@