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============================================================ 像と逆像による保存と劣化 ============================================================ この記事では、写像 $ f:A \to B $ がある時、 $A,B$ のそれぞれの部分集合を $P,Q$ として、 像 $f$ と逆像 $f^{-1}$ の <tex> f^{-1}(f(P)) \supseteq P \tag{##} \\ f(f^{-1}(Q)) \subseteq Q \tag{##} </tex> と言う性質を全射と単射を関連させて、調べます。参考文献は、松坂和夫先生の集合・位相入門です。 像と逆像 ======================== 写像 $f$ の定義は、集合 $A$ の元 $a$ に作用させると、集合 $B$ の元 $b$ に変わる対応のことを言います。 この時、 $f(a)$ はただ一つの元に対応します。行き先が無いものや、複数の要素に変わるものがが一つでもあったら、それは写像ではなく、対応と言います。 像 $f$ の定義は、 $A$ の部分集合 $P$ とし、 $P$ の全ての元 $a$ の写像先を集めてできた集合の事です。 引数が一つの元とは限らず、集合を取るところが写像と違います。 <tex> f(P) = \{f(a)| a \in P \} \tag{##} </tex> 逆像 $f^{-1}$ の定義は、 $B$ の部分集合 $Q$ について、 $Q$ の中に行き先 $b$ があるような $A$ の中の元 $a$ 全ての集合です。 <tex> f^{-1}(Q) = \{ a | f(a) \in Q \} \tag{##} </tex> となります。一つの元の逆像でも一般には複数の元からなる集合ですが、 $f^{-1}(b) = \{ a \}$ を $f^{-1}(b) = a$ と書くことが多いです。 全射と単射 ========================== 全射とは $A$ の像が $B$ に一致することを言います。つまり、写像の行き先 $B$ のどの要素をとっても、写像元の $a$ が少なくとも1つは存在することになります。式で書くと <tex> f(A) = B \tag{##} </tex> となります。 単射とは任意の $A$ の異なる元 $a$ と $a^\prime$ に対し、行き先が一致することは無いと言う事です。 <tex> a \neq a^\prime \Rightarrow f(a) \neq f(a^\prime) \tag{##} </tex> 同じことを言いかえると、 <tex> f(a) = f(a^\prime) \Rightarrow a = a^\prime \tag{##} </tex> とも書けます。 式(1)と単射 ======================== まず、式 $(1)$ を示しましょう。つまり、 .. admonition :: theorem $f^{-1}(f(P)) \supseteq P$ を示します。 【大まかな流れ】 ここでは、 $a \in P$ を見たす $a$ は必ず $a \in f^{-1}(f(P))$ を満たすことを示します。 【証明】 まず、 $P$ を $a$ の任意の元とし $a \in P$ とします。すると、 $f$ は写像なので唯一の行き先があり、 $f(a) = b$ で、 $\{ a \} \subseteq f^{-1}(\{ b \})$ となるような $B$ の元であり $f(P)$ の元でもある $b$ が存在します。 $b \in f(P)$ より、 $f^{-1}( \{ b \} ) \subseteq f^{-1}(f(P))$ が成立します。よって、$f^{-1}(f(P)) \supseteq f^{-1}(\{ b \}) \supseteq \{ a \}$ より、 $f^{-1}(f(P)) \ni a $ 。つまり、 $f^{-1}(f(P)) \supseteq P$ が言えました。■ さて、これだけでは $f^{-1}(f(P))$ が $P$ と同じ集合 $=$ なのか、それとも $P$ より真に小さい集合 $\supsetneq$ なのか区別がつきません。それを区別できるのが、 $f$ が単射かどうかなのです。 .. admonition:: theorem 写像 $f$ が単射 $\Rightarrow$ $f^{-1}(f(P)) = P$ 【証明】 「任意の $a,a^\prime$ に対し $f(a) = f(a^\prime) \Rightarrow a = a^\prime$ 」ならば、 「任意の $a$ に対し $f^{-1}(f(a)) = \{ a \}$ 」となり、つまり、 $f^{-1} \circ f$ は恒等写像です。■ .. admonition:: theorem 写像 $f$ が単射でない $\Rightarrow$ $f^{-1}(f(P)) \supsetneq P$ 【証明の前に】 「単射である」は「任意の $a,a^\prime$ に対して $a \neq a^\prime \Rightarrow f(a) \neq f(a^\prime)$ 」でした。この否定は何でしょうか?ここで「 $p \Rightarrow q$ 」とすると、下の表よりその否定は、 <tex> \begin{array} p & q & p \Rightarrow q & p \wedge \bar{q} \\ \hline T & T & T & F \\ T & F & F & T \\ F & T & T & F \\ F & F & T & F \end{array} </tex> 「 $ p \wedge \bar{q} $ 」つまり、 「ある $a,a^\prime$ に対して $a \neq a^\prime $ かつ $ f(a) = f(a^\prime)$ 」です。 .. image :: chromel-imageAndInverseImage-01.png 注 ============= 注は、この様に [*]_ 入れます。 .. [*] これも半角スペースに気をつけてください。 記事の中で改行したいときは、この様に半角スペースを入れてください。 @@reference: 松坂和夫,集合・位相入門,岩波書店,1968,p30-p34,4000054244@@ @@author:クロメル@@ @@accept:2020-03-22@@ @@category:集合・位相・測度@@ @@id:imageAndInverseImage@@