物理のかぎしっぽ 記事ソース/絶対値等の取り扱いに関する諸注意(主に高校数学の範囲から)

記事ソース/絶対値等の取り扱いに関する諸注意(主に高校数学の範囲から)

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記事ソースの内容

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絶対値等の取り扱いに関する諸注意(主に高校数学の範囲から)
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ここでは雑多な問題に対して、私が「注意しなければならないな。」
と思ったことをいくつか書いていきます。

(1)対数関数の微分
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まずは、示すべき式を見てみましょう。

<tex>
\frac{d}{dx}(log_e|x|)= \frac{1}{x} \tag{##}
</tex>

です。

底がaの対数関数の微分
----------------------------

まずは、

<tex>
\frac{d}{dx}\log_a x = \frac{1}{x}log_a e \tag{##}
</tex>

を示します。 $x>0$ の時、以下のようになります。

<tex>
\frac{d}{dx} \log_a x &= \lim_{h \to 0} \frac{\log_a (x+h)-\log_a x}{h} \\
&= \lim_{h \to 0} \frac{1}{h}\log_a(1+\frac{h}{x}) \\
&= \lim_{h \to 0} \frac{1}{x} \frac{x}{h} \log_a (1+\frac{h}{x}) \\
&= \lim_{h \to 0} \frac{1}{x} \log_a (1+\frac{h}{x})^{x/h} \tag{##}
</tex>

ここで、 $\frac{h}{x}=t$ とおくと、

<tex>
\frac{d}{dx} \log_a x = \lim_{t \to 0} \frac{1}{x} \log_a(1+t)^{1/t} \tag{##}
</tex>

となります。ここで、 $\lim_{t \to 0}(1+t)^{1/t}$ はある定数 $e=2.718...$ に [*]_ 収束します。

.. [*] この $e$ のことを、自然対数の底とか、ネイピア数と呼びます。

よって、式 $(4)$ は、次のようになります。

<tex>
\frac{d}{dx} \log_a x &= \frac{1}{x} \log_a e \\ 
&= \frac{1}{x \log_e a} \tag{##}
</tex>

これで、式 $(2)$ が示せました。
特に、底がネイピア数 $e$ の時の微分は簡単になり、

<tex>
\frac{d}{dx} \log_e x = \frac{1}{x} \tag{##}
</tex>

となります。だんだん式 $(1)$ に近づいてきましたね。

式(1)の導出
--------------------------

次に、 $\log_e|x|$ の微分に範囲を拡張します。今までで $x>0$ の時は考えたので、 $x<0$ の時を考えます。この時、

<tex>
\frac{d}{dx} \log_e |x| &= \frac{d}{dx} \log_e (-x) \\
&= \frac{1}{-x} \cdot \frac{d}{dx}(-x) \\
&= \frac{1}{x} \tag{##}
</tex>

よって、式 $(1)$ が示せました。

(2)ルートの問題
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まずは基本の一変数から、虚数単位を $i$ とおくと、

<tex>
\sqrt{x} = \begin{cases}
\sqrt{x} \ \ (\mathrm{when}\ \  x \geq 0) \\
i \sqrt{-x} \ \ (\mathrm{when}\ \  x < 0)
\end{cases} \tag{##}
</tex>

です [*]_ 。ここで、左辺は負を含む実数値をとるルート関数、右辺は非負の実数値をとるルート関数
(普段私たちが使っているルート関数)です。以降、二変数の時も同様の約束をします。

.. [*] 大学で複素関数論を習うときには、ルート、つまり、1/2乗という関数は、二価の関数(一つの変数に対して、二つの値を持つ 関数)です。だから、本当は $\sqrt{x}= \pm \sqrt{x} (x \geq 0) or = \pm i \sqrt{-x} (x<0)$ となります。しかし、実際に特  定の物理的問題に取り組むときは、それぞれのプラスの符号を取った関数として考えた方がよいと思われるので、プラスだけを書き  ました。

ここで、変数が二つある時は注意すべきことが起こります。

<tex>
\sqrt{xy} = \begin{cases}
\sqrt{xy}  \ \ (\mathrm{when} \ \ x>0 \ \ \mathrm{and} \ \ y>0) \\
i \sqrt{xy} \ \  (\mathrm{when}\ \  xy \leq 0) \\
- \sqrt{xy} \ \  (\mathrm{when} \ \ x<0 \ \ \mathrm{and}\ \  y<0)
\end{cases} \tag{##}
</tex>

最後の行に気をつけてください。 $x<0$ かつ $y<0$ の時は、
次のような式変形をすれば、理解できるでしょう。

<tex>
\sqrt{xy} &= i \sqrt{-x} \cdot i \sqrt{-y} \\
&= i^2 \sqrt{(-x)(-y)} \\
&= - \sqrt{xy} \tag{##}
</tex>

であって、

<tex>
-1 &= i \cdot i \\ 
&= \sqrt{-1} \sqrt{-1} \\
&\neq \sqrt{(-1)^2} \\
&= 1
</tex>

なのです。

(3)Excelでの注意
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Excelで、関数を計算するのは便利ですが、
一つ注意を要することを見つけました。

それは、 $-3^2= 9$ となることです。
なぜかというと、以上のように書いたとき、
コンピューターは、二乗の計算、 $3^2$ よりも、先に $-3$ という負の値をとる作業を
優先してしまうからです。よって、
Excelに置いては、 $-3^2= (-3)^2 = 9$ という計算が行われます。

よって、 $-3^2=-9$ としたい時は、 $-(3^2)=-9$ とする必要があります。


最後に
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今のところ、これくらいの事を要注意事項として上げることができました。
これからもすこしずつ増やす予定なので、よろしくお願いします。
今日はこれまで。お疲れ様でした^^

@@author:クロメル@@
@@accept:2010-06-05@@
@@category:物理数学@@
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