物理のかぎしっぽ 記事ソース/身の周りのものの運動

記事ソース/身の周りのものの運動

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身の周りのものの運動
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世の中は様々な運動で溢れています.「動いていないものなどない」と言ってもいいでしょう.鳥は空を飛んでいるし,風も吹いて天気は日々移り変わります.地球だって太陽の回りを動いています.止まっている車でも,車を構成している分子などは絶えず振動しています.

力学はものの運動を扱います.身の回りにはたくさんのものがありますが,一口に「身の周りのもの」と言っても,実に多種多様です.私たちに一番身近なものは自分の身体ですが,最先端技術の粋を集めたロボットがやっと二足歩行をはじめたことからも分かるように,私たちの身体は少々複雑すぎるようです.

消しゴムとか鉛筆とかはどうでしょうか.動かないし,身体に比べて小さいし,ずいぶん簡単になったように思えます.でも消しゴムは弾力があって曲げることができます.鉛筆は両手でぐっと力を入れるとポキッと折れます.まだまだ複雑そうな要素があります.

もっと簡単にして,重さのある点にしときしょう.これが質点という考え方です.

重さがある理由はなんとなく分かります.重さがない物,なんてあまりイメージできないですよね.点にする理由ですが,大きさがあるとへんなふうに回転したり曲ったりを考えないといけないからです.めんどくさそうなことは極力省き,単純化して考えてしまうんです.しばらくはこの質点を扱います.

とはいうものの,これではなんだか面白くなさそうです.だって質点なんて身の回りにないんですから.そんなもの考えても意味ないんじゃないかって気がします.ところが実際はそうでもなく,地球のような大きな天体だって質点として考えることができるんです.

地球が点だったらその上で生活している僕たちや動物,山や川や海はどうなるんだって話ですが,宇宙空間の中での地球の運動を考える場合にはそんなものどうでもよく「無視してよい」事になります.そうすると地球は大きい球ですから,その重心を取り扱えば質点になります(物体の塊の運動を,重心という点の運動として考えてよいことは後で述べる力学の法則から明らかになります).

「無視してよい」は力学のいろいろな場面で登場します.「空気抵抗は無視してよい」「摩擦は無視してよい」もう,無視しまくりです.ここが物理のいいところというか,要領のいいところなんです.そんな細かいこととりあえずおいといて,もっと大事なことを考えようよ,というわけです.もちろん,無視しっぱなしではありません.大事なところを見極めてから,無視したところも(そのぶん高度になりますが)考え直します.

力学の最初のほうで扱う運動は日常生活とはかけ離れていて,勉強したところで直接約に立ちそうにありません.しかし人間がジェット旅客機に乗って世界を飛び回ったり,何百メートルもの巨大なビルを建てたり,はては宇宙に衛星を飛ばしたりできるのは力学のたまものなのです.

物理学では本質に関わらない部分をどんどんはぎ取って,簡略化していくという基本方針があります.簡略化したものの運動の根本的な部分を探ることで,身の回りのものに広く応用できる知識を得ることができています.そのためには少し現実離れした対象を考えることになりますが,最終的には現実世界とリンクします.そのことを見失ってはいけません.


@@author: 崎間@@
@@accept: 2004-05-15@@
@@category: 力学@@
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