物理のかぎしっぽ 記事ソース/ガウスの法則-積分形

記事ソース/ガウスの法則-積分形

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記事ソースの内容

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ガウスの法則-積分形
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マクスウェル方程式の中に、ガウスの法則というものがあります。式で書くと $div \textbf{D}= \rho $ ですが、これはどのようなことを示しているのでしょうか?

この記事では、ガウスの法則の物理的意味を解説します。まずは、直感的に分かりやすい積分形から見てみることにしましょう。

まずは式を眺めてみよう
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微分形のガウスの法則は
<tex>
div \textbf{D}= \rho 
</tex>
ですが、これを積分形に直すと、このようになります。
<tex>
\oint _S \textbf{D} \cdot d\textbf{s} = Q
</tex>
ここで、 $S$ はある体積を囲む曲面、 $\textbf{D}$ は電束密度、 $Q$ は体積内にある総電荷を示します。
なぜこのように書き直せるのかは、別の記事で解説することにして、今はとりあえずこのようになると信じておきましょう。

図的イメージ
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式の中に、 $\oint _S$ という変な記号が出てきます。
これは、「ある体積を考えた場合に、その周りの曲面 $S$ 全体について積分を計算しなさい」という意味です。

電束密度に微小面積をかけるとその面積から出てくる電束となります。つまり、ガウスの法則が意味するのは、「ある体積の表面 $S$ から出てくる電束を全部数えると、その体積の中に入っている総電荷 $Q$ と一致する」ということです。 [*]_ 

.. [*]
実際に電束密度や電束は1本、2本・・・と数えられる訳ではありません。あくまでも比喩的な表現です。
ちなみに、電束密度の単位は $[\rm{C/m^2}]$ なので、面積で積分すると電荷量の次元になることが分かりますね。

下の図を見てください。

.. image:: shino-GaussIntFig1.png

この図の緑の矢印を電束密度 $\textbf{D}$ とします。今、青で示した体積の表面から20本の電束が出てきているなら、この青い体積の中には、20本分の電荷量が入っている、といったイメージです。 [*]_ 

.. [*]
繰り返しますが、電束密度が1本、2本と数えられる訳ではありません。あくまでも比喩的な表現です。

もう一度式を眺めてみよう
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繰り返して書きますが、積分形のガウスの法則は、
<tex>
\oint _S \textbf{D} \cdot d\textbf{s} = Q
</tex>
という式で表されましたね。

この式を良く見てみると、 $ds$ ではなく、わざわざ $d\textbf{s}$ と書いてあったり、 $\textbf{D}$ と $d\textbf{s}$ の間に点( $\cdot$ )があったり、なんだか普通の積分と少し違うと思いませんか?
これらの記号はちゃんと理由があってこのような書き方がされています。

実は、 $d\textbf{s}$ は、ベクトル量で、その間の点( $\cdot$ )は内積を示しています。

下の図を見てください。

.. image:: shino-GaussIntFig3.png

緑の矢印を電束密度 $\textbf{D}$ 、その大きさを $D$ とします。
左の図は電束密度が面に対して垂直に出てきている場合、右の図は電束密度が面の法線に対して $\theta$ だけ傾いて出てきている場合を示し、それぞれの電束密度の大きさは等しいとします。

簡単のために、電束密度を取り囲むように、断面積 $S$ の円柱を考えます。このとき、円柱を通り抜ける電束は $DS$ となることが分かります。

このとき、左の図の場合、円柱と平面が接した領域にわたって電束密度の大きさ $D$ を積分すると、すなわち、
<tex>
\int _S D ds = DS
</tex>
となります。一方、右の図の場合、円柱を平面に投影した領域(オレンジの領域)において、同様の積分を行うと、
<tex>
\int _{S/\cos \theta} D ds = \frac{DS}{\cos \theta}
</tex>
となり、同じ量の電束が出てきているのに、違う積分結果になってしまいます。このため、積分する際にその電束密度が面の法線に対して傾いている分を考慮して計算する必要があります。この場合、積分範囲が $S$ から $S/\cos \theta$ と変化した分、両辺に $\cos \theta$ をかけてやれば正しい値が得られることがわかります。すなわち、
<tex>
\int _{S/\cos \theta} D \cos \theta ds = DS
</tex>
となります。

どうですか? $\oint _S \textbf{D} \cdot d\textbf{s}$ と書いてあった理由が分かってきませんか?これは、面に対して垂直に電束密度が出てきていなくても、その分をちゃんと考慮して計算するためにこのような積分をしているのです。もう少し具体的に見てみましょう。

下の図を見てください。

.. image:: shino-GaussIntFig2.png

曲面のある微小面積を $ds$ とします。また、大きさ $ds$ で面に対して垂直方向のベクトルを $d\textbf{s}$ とします。
$d\textbf{s}$ に対して $\theta $ だけ傾いた方向に電束密度 $\textbf{D}$ が $ds$ の領域から出てきているとき、図に示したように
<tex>
\textbf{D} \cdot d\textbf{s} = Dds\cos \theta
</tex>
となることが分かります。このとき、 $D\cos \theta$ は $\textbf{D}$ の面 $ds$ に対しての法線方向成分だということが分かります。つまり、 $\textbf{D}$ の面 $ds$ に対する法線方向成分を $D_n =D\cos \theta$ と表した場合、ガウスの法則は次のように書き直すこともできます。
<tex>
\oint _S D_n ds =Q
</tex>

まとめ
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.. important ::
ガウスの法則は、ある体積の表面から出てくる電束の総量がその内部の電荷量と等しくなることを示している。

@@author: 篠原@@
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