物理のかぎしっぽ わたなべ/エントロピー

わたなべ

  • Einstein が、どのようにして、光を量子化したのかを見る。 そのとき黒体内の電磁波は、分子のような局在(Einstein自身は、古典的な意味で局在していると想像) したものと想像して、理想気体と同じようにふるまうとする。 黒体内のエントロピーの体積依存性を計算し、理想気体のエントロピーの表式と比較する。 すると、エネルギーは離散化されるというもの。 こうして、黒体輻射に対する正しい結果が、光子の古典的な空間的局在という描像を除いては得られる。 感想としては、確率というものが、強い結果を出してくれるとともに、潰れてしまった情報もあって、 人々の勝手な解釈、想像を許してしまうということ。

個人的には、自由粒子を容器の中に閉じ込めると理想気体のようにふるまうことすら、納得できていない。 確かに、カノニカル分布を認めれば、理想気体に対する正しい、熱力学的関数が得られる。 しかし、systemを構成している物質がどのようにあるのか、ということは観測できないものだ。

別の系に対しても、適当な相互作用を入れれば、その系を特徴付ける正しい熱力学が得られる。 それで、僕達は「この系は、このように相互作用しているのだ」と解釈するのだが、それは カノニカル分布が正しいという前提がある。カノニカル分布は、もっともらしい仮定から、 導かれるのだけれども、それ自身が正しさを保証することはない。

それで、「自由粒子からなるsystemに、外場をかけた状態を考えて、それでも正しい結果 が得られることを見れば、もう少し納得できるかもしれない」という思いに至る。 なぜそう思うかというと、「外場の影響と同等な効果を、熱力学的に直接与える」ことはできると思っているからだ。

例えば、一様重力中の自由粒子からなるsystemを考える。統計力学的には、 それぞれの粒子は、下に力をうけて、十分に小さな温度から少しずつ温度を上げて行くと、 粒子が分布できる容器の高さは、段段と上がって行くはずだ。このとき、かかっている力 は一様な重力なので一定。これは、熱力学的には次のような操作に対応するものと想像できる。 それはまず、無重力中に理想気体をつめた容器を用意する。それで、定圧をかけるような、 力学的な仕掛けをつけて、systemを準静的に温度を上げる操作(電熱線でも用意し、温度を上げることは可能)。

このミクロとマクロの立場から計算した双方の量は、実際同じ結果を出してくれる。 それで、確かに「自由粒子は、理想気体を構成するんだ」という気がしきた。それでも、独りではそれが限界。 この論理展開にどれほどの穴があるかは、分からない。

僕が物理学というもので、自然をどのように理解するのが健全なのか、混乱があることだけはわかる。

これをネタに、記事を書いてみたいと思います。先ほど言ったように、独りでは何が妥当なのか、 はっきりしてこないし、混乱はいつまでも晴れないように思います。つまり、協力者を募集します。 ただし、今の僕のネット環境では記事の原稿ソースを書いて、ウェブ上に持って来る作業は困難 なので、とても遅い作業になると思います。この文章に対するコメントは、メールか、ここに書いてください。(06,11,10)


  • やはり、熱力学での外から与える力学効果は、境界条件の変化なので、「外場をかけて」などということで再現できそうにないなと思い始めました(少なくとも、はじめ考えていたような対応は無いようです。低温の一様重力の系は、確かに比熱が、熱力学の定圧比熱に一致するのですが、それは自由粒子のポテンシャルを上げるのに使われるからです。これは、ピストンのポテンシャルを上げるのに一部エネルギーが使われるという部分では、定圧比熱と定性的には同じであり、数値的にも一致しています。しかし、定圧比熱は、一定なのに対して、一様重力の系の比熱は、温度により変化します。結局、熱力学的効果が優位になるほど高温になると、比熱は定容比熱に一致するようになります)。一様重力のもとでの自由粒子からなる系の解析は、「重力の効果は、十分高温では無視できますよ。」という熱力学の時間のときに、たびたび聞く言葉が本当かどうか、明白に示すのには使えると思っています。もともと問題意識にあったものは、エントロピーの計算を追って、どれだけ当たり前でない結果なのかを評価するのが健全な方向に向かうような気がします。 -- わたなべ 2006-11-14 (火) 09:30:51
  • あれ、よく考えてみると、全く意味の無い結果になる。最初に考えた対応は、つけれないかもしれない。ともかく「理想気体が自由粒子の集まりからできていると言われているのはなぜでしょう?」という問題を、少し考えてみようという人、あるいはもうすでに正しい認識をもっておられて、更にこの記事を書くことに価値を感じられる方は、協力して頂きたいと思います。 -- わたなべ 2006-11-13 (月) 00:03:31
  • コメントありがとうございます。あれから少し、時間を見つけて計算したのですが、希薄な状態でないと、一様重力のもとで、上に書いたような推論はできないという結果がでてきました(十分低い温度と上で書いたのを、実際に計算してみて、実は粒子数と容器の底の面積の大きさとの比に制限がありそうだと気づいたわけです)。また、やはり一様重力だと高さに強く依存して、 粒子の密度が変化してしまいます。それで、はじめぼくが素朴に想像していた理想気体へのイメージは崩れたのですが、 それでも状態方程式に現れる結果は、「無重力中での理想気体に・・」と同じ結果が得られています。 もちろん、計算間違えかもしれません。手元には、そのような議論をしている本がありません。 -- わたなべ 2006-11-12 (日) 23:16:22
  • とても面白いと思います :) 私には全然ついていかれない内容なのですが、読ませていただくのを楽しみにしておきます。 -- Joh 2006-11-12 (日) 04:19:52
  • とても面白いことを考えていますね。今頭が眠っているのでちゃんとしたレスは後日したいと思います。僕ももっと考えなければ・・・。 -- nemo 2006-11-12 (日) 02:58:45
  • 非自明な、一致とは言ったものの、どれほど自明でないのだろう?量子統計から古典極限をとると、曖昧さ無しにエントロピーは出てくると記憶しているので、やはりこれが決定的な正しさを保証してくれているのだろうか? -- わたなべ 2006-11-11 (土) 01:34:36
  • コメントありがとうございます。文章が不要に長い上に、文章が下手なため、情報が伝わり難かったかもしれません。問題意識は非常に簡単で、「理想気体が自由粒子の集まりからできていると言われているのはなぜでしょう?」ということです。多くの人は、統計力学から得られたエントロピーの表式と、熱力学第3法則と実験データを使って求めたエントロピーとの非自明な一致からそれを認めるのだと想像します(ホントに想像しているだけで、多くの人がどう考えているのかは聞いたこともありません)。しかし、個人的にはどうもピンと来ないです。 -- わたなべ 2006-11-11 (土) 01:14:49
  • 上に書いてあることは、僕には難しすぎてよく分かりませんけども、面白い結論が得られるといいですね :) -- 崎間 2006-11-11 (土) 00:41:54
  • 「光が波だったなんて。非常に驚いた。光は光だと思っていた。」という話を聞く。 急に光ってそういえばなんだろうと思って、気になってしまう。 残念ながら,ぼくはこうした人とあんまり光に対する理解に違いは無い。 とりあえず、そのことを気にしておく。(06.6.10)
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