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どのような公式集&ハンドブックをつくるべきか †当たり前ですが,物理学とは公式を暗記するものではありません.しかし、たとえばかけ算をするときには,事前に九九を“覚えて”おかなければ素早く計算することはできません.もちろん原理的には導出することはできるのですが,いちいちそんなことをしていたら日が暮れてしまいます.問題を解く際にあたっては、“0からスタート”することは実用的ではないのです。 つまり,よりレベルの高い学習や問題に取組む際には,その基礎となる事項について,知識を整理してコンパクトに引き出せるようにした"要点"を記憶しておく(あるいはすぐに参照できるようにしておく)必要があるのです.そういったものを“公式”と呼ぶならば,それは価値のあるものだと僕は思います.知識のピラミッドとでも言いますか.もちろん,自分ですぐに導出できるものを“公式”として丸覚えする必要はなく,自分が当面使わないようなことを“公式”として覚えておく必要もありません.覚えることは最小限に留めたいものです. 高校受験,大学受験の頃と違い,僕は大学レベル以降の学習で“公式集”や“要点整理”と呼ばれるものをあまり見たことがありません。なぜでしょうか.
では、"公式集"とか"要点整理"が要らないかと言うと、僕はそうは思いません.要点を整理しながら理解していくのは大切なことです.特にテスト前の総復習にはそういったものがあればどんなに助かるでしょうか.「なら自分で作れ」と言われるかもしれませんが,なかなか時間がかかります.もし“公式集"とか"要点整理"を人から提供されて自分にとっても良いものだったら,使いたくなるに違いありません.昔ならそのようなものがあったとしても大学内で内輪に共有する程度にとどまったのでしょうが,インターネットがあるこの時代,そんなコンテンツがあってもよいのではないでしょうか. しかし,人の作った公式集のたぐいは一般に見づらいものです.なぜでしょうか.
などが考えられます. そこで解決策を考えてみました.かつてない"公式集"や"要点整理集(ハンドブック)"のために,このようなものを目指せばよいのではないかという自分なりの指針です. _
公式だけを並べるような公式集では十分な余白が必要でしょう.個人個人で好きに書き足せるものがいいのではないでしょうか.理想をいえば,自分に必要なものを選択できるといいですね.栄○ゼミナールで塾講師をやっていました頃,パソコンに出題範囲と難易度を入力すると勝手に問題プリントを出力してくれるシステムがありましたが,そんな感じで自分に必要な部分だけを選べると便利かもしれません.そして,'自分の好きな記号を選択できる'とより馴染めると思います.実際はそのようなコンテンツを作るのはなかなか難しく,「作る側がそこまでしなくても」という気がしますが..
一般に公式集と呼ばれるものは,図やイラストを省きます.その結果,式の羅列でかえってわかりづらくなり,殺風景で取っ付きづらくなるのではないでしょうか.むしろ図やイラストはたくさん載せるべきだと思います.テスト直前にサッとチェックすることも多いはずなので,ヴィジュアルに訴えることも大切だと思います.そして,文章をだらだら綴るよりは,整理した表を多用して整理して載せるのがよいかと思います.
ただ公式を羅列するだけではつまらないはずですし,もしわからないことがあれば各自で教科書に戻って調べなければなりません.そういったものよりは,むしろ新たな発見があるぐらいのものがよいのではないでしょうか.ちょっとしたTipsを盛り込むといいのではないでしょうか.お勧めの覚え方、語源,大切な照明,鍵となる考え,テストには関係なさそうだけど「へぇー」と思うまめ知識、問題での使いどころetc. 箇条書き等でさらっと書けばそれほどスペースを取らないはずです.
思い切って簡単な事項も復習として載せると意外に役にたつはずです.たとえばSI単位、ギリシャ文字、定数、中学や高校レベルの知識など,たまに忘れてそうなことも収録できればいいのではないでしょうか.理科年表もあるんですが,あれは微妙に使えなかったりするんで..
大学院に進むような人は論文等で英語は必須となります.最低でも専門用語+人名ぐらいは英語表記も知らないといろいろ困るのではないでしょうか.そのための基礎として,用語や人名については英語を併記しておくのがよいのではないでしょうか.人名ですが,個人的にはカタカナは嫌いで,「その人への敬意を込めてなるべくその人の言語で表記する」ためにアルファベットで表記したいところです.
現在の物理学/物理数学ハンドブックでは文章形式ですが,個人的には文章は要点箇条書きや注釈に留めるべきだと思います.「ハンドブック」というのは「いつでも手元に置いて参照できる」という意味だと思いますので,なるべく多くの事項を含めたいところです.そしておそらく文章を読みたい人は記事や参考書をあたると思うので,差別化のために省くのがよいのではないかと思います.しかし「あれ,この用語はどういう意味だっけ?」という需要に応えるために,用語についてはしっかり説明するのが良いと思います.“用語集”を兼ねると使いやすいと思います. |