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Vine Linux 2.5をSONYのノートパソコンVAIO PCG-FX55G/BPへインストールしたときの記録です. 2002年の夏のことなので,内容は少し古くなってしまいました.インストールCDはLinux Magazineという雑誌の付録としてついていたものを使いました.
#contents
* インストール準備 [#c34f6f00]
購入したパソコンにはWindows Meがプレインストールされており,約半年後Windows XP Home editionにアップグレードしていました.当然,HDDの全ての容量はWindowsに割り当てられていました. LinuxをインストールするにはHDDの未使用領域が必要なので,HDDの領域を分けないといけません.この領域のことをパーティションといい,領域を分けることをパーティションを切る,といいます.
PCG-FX55G/BPはCドライブ約10GB,Dドライブ約20GBの計30GBという構成でした.つぎのような状態です.
◆初期状態◆
◆初期状態◆
+---------------------------+---------------------------------+
| C drive | D drive |
| (10GB) | (20GB) |
+---------------------------+---------------------------------+
プライマリパーティション 拡張パーティション理論ドライブ
Windows本体が入っているパーティションが独立していたので, Windowsを再インストールすることなしにLinux用のパーティションを切ることができました.プライマリパーティションのCドライブは残しておいて, Dドライブのパーティションサイズを減らし,未使用領域をつくることでLinuxをインストールすることが可能です.
パーティションを切って未使用領域をつくる操作は, Vine LinuxのインストーラDに付いているDisk Druidで行えます.ただ,Disk Druidでパーティションサイズを変更すると,変更したパーティションにあるデータはすべて消えてしまいます. DドライブのデータをCドライブにコピーするか, CD-Rなどのメディアに焼いてバックアップしておきます.
* インストール [#t0746b61]
Vine LinuxのインストールCDを内蔵CDドライブに入れてコンピュータを再起動させると,自動的にインストーラが立ち上がり背景が黒の画面が現れます.インストーラが起動しない場合はBIOSの設定でCDからの起動を優先させてください.
boot:と表示されたらEnterキーを押します.するとグラフィカルな画面でインストール作業を進めることができます.マウスが動かないなど,グラフィカルインストールが上手くいかない場合もあります.その場合,boot:と表示されたときにtextと入力してEnterキーを押します.グラフィカルでないインストール画面を使用することができます.
だいたいのことはインストーラが自動的にやってくれるので,指示に従えばそんなに難しくないと思います.
** ディスクパーティションの設定 [#y716b3a4]
ディスクパーティションの設定まで来たら, Disk Druidを使用してパーティションの手動設定をします.ここでDドライブのパーティションを切って未使用領域をつくります.インストールされているのがWindowsだけの状態なら,次のようなパーティションが表示されると思います.
◆Disk Druidで表示されるパーティション◆
デバイス
□─/dev/hda ←HDD全体
├/dev/hda1 ←Cドライブ
□─/dev/hda2 ←拡張パーティション
└/dev/hda3 ←Dドライブ
HDDの容量はWindowsの CドライブとDドライブ でいっぱいになっているので, LinuxをインストールするためにDドライブを削除します.
◆Disk Druidで表示されるパーティション(Dドライブ削除後)◆
デバイス
□─/dev/hda ←HDD全体
├/dev/hda1 ←Cドライブ
└空き
この空きの部分にLinuxを入れるためのパーティションを作成します. swapパーティションと/(ルート)パーティションをつくっておけば良いでしょう. swapはメモリの二倍程度,/はフルインストールで1.6GB以上必要なようです.僕はswapを500MB,/を10GBほど作りました.
◆Linux用パーティションをつくった状態◆
/dev/hda1 /dev/hda2 /dev/hda3
+------------+-----------+-----------+-----------+
| C drive | / | swap | none |
| (10GB) | (9.5GB) | (500MB) | (10GB) |
| Windows | Linux | Linux | |
+------------+-----------+-----------+-----------+
primary primary primary
簡単に整数で表示していますが,実際には指定した数値とは少しずれた容量になります
◆Disk Druidでの表示(Linux用パーティション作成後)◆
デバイス
□-+- /dev/hda HDD全体
+-- /dev/hda1 Cドライブ
+-- /dev/hda2 /
+-- /dev/hda3 swap
+-- 空き (後でWindowsのDドライブにする領域)
以上でLinuxをインストールするためのパーティションを確保でき,最初の難関はクリアできたことになります.後はインストーラの指示に従って設定を進めるだけです.次の難関はXの設定です.
Xの設定
インストーラの「グラフィカルインターフェース(X)の設定」という画面で,ビデオカードを設定します.自動検出されると思います. VAIO PCG-FX55G/BPの場合,Intel 815 が自動的に選択されているはずなので確認しておきます.
ここで「次」を押すとパッケージのインストールが始まります.もう後戻りはできません.この作業は15〜20分くらいかかります.ファイルのコピーが終わるとブートディスクの作成画面になります.うまく起動できない場合必要になるので,つくっておきます.
モニタの設定
起動ディスクの作成が終わると,「モニタの設定」画面になります.モニタは自動検出されなかったので,ノートパソコン用の一般的な generic LCD panel1024×768を手動で選択します.これで問題ないようです.色深度と画面解像度の設定もこのときに行えます.色深度は8bit, 16bit, 24bitの3つです.これらの設定は後で変更することもできます.解像度を複数選んだ場合は, Linux起動後に[Ctrl]+[Alt]+[Fn]+[;]をX上で押すことで変更できます.
インストールの終了
インストーラに従ってすべての作業を終えたら,コンピュータを再起動します.ブートローダのLiloの画面が現れるので,Linuxを撰択します.これでVine Linux 2.6が起動すると思います.だいぶ端折りましたが,うまくインストールできたでしょうか.
WindowsのDドライブをつくる
さて,Linuxのインストールが無事完了したら,パーティションを切ってサイズを変更したDドライブの残りをフォーマットします.そうすれば(Linuxをインストールした分)サイズは小さくなりますが,再びDドライブとして利用できます.
パーティションを切るもう一つの方法はWindowsXPに付属している
ドライブのフォーマットはWindows XPに付属している「コンピュータの管理」で行えます.これはグラフィカルにパーテションを削除したりできますが,フォーマットがNTFSなのでそのままではLinuxから使用できないようです.コンピュータの管理プログラムはコントロールパネル→管理ツール→ コンピュータの管理 とたどっていき,ディスクの管理タブでパーティションを表示できます.コンピュータの管理でLinuxのインストールCDを入れる前にあらかじめ Dドライブを削除して空き領域をつくっておくのもいいでしょう.
10GBの空きは再びWindowsでDドライブとして使っています.削除されたパーテションを再びDドライブとして使うには Windowsからフォーマットする必要があります.これはLinuxインストールが完了した後に,コンピュータの管理から行えます.
最終的なパーティション
/dev/hda1 /dev/hda2 /dev/hda3 /dev/hda4
+------------+-----------+-----------+-----------+
| C drive | / | swap | D drive |
| (10GB) | (9.5GB) | (500MB) | (10G) |
| Windows | Linux | Linux | Windows |
+------------+-----------+-----------+-----------+
primary primary primary extened logical
WindowsXPからみたLinuxパーテションは不明なパーテションと表示される
インストール後のLinuxの設定
WindowsXPからみたLinuxパーテションは不明なパーテションと表示されます.
* インストール後のLinuxの設定 [#c0eaadea]
インストールがうまくいったらいろいろ設定して,使いやすくしておきます.
ネットワーク
** ネットワーク [#gf6505de]
なにはともあれネットワーク(インターネット)に繋ぐ必要があります.自宅でのADSL,研究室のLANなどなんとかしてネットワークに繋ぎましょう. LANケーブルでネットワークに繋ぐには,まずネットワークインタフェースカード(NIC) の設定からはじまります.いろいろ困難があるかもしれませんが,みんなつまづく部分のようで,インターネットで検索すれば山ほど情報が集まります.あきらめずがんばればなんとかなります.
aptでアップグレード
** aptでアップグレード [#xdf6a9aa]
Vine Linux では apt という便利なコマンドが用意されています. Linux でのソフトウェアのインストールは,初めはなにかと繁雑だと思うことが多くて困ってしまいますが.この apt はその繁雑さを解決するコマンドで, Vine Plus にあるパッケージを検索,依存関係を解決して,欲しいものをインターネットから自動的にダウンロード,インストールしてくれます.
CD-ROM からパッケージをインストールすることもできますが,最新のものがあるインターネットのFTPサイトからインストールできるほうが便利です.ディストリビューションのバージョンアップまでできてしまいます.具体的な使いかたですが,まず
/etc/apt/sources.list
を編集します.このファイルには apt がどこから情報を集めるかが書いてあります. Vine Plus などの FTP サイトを書き込めばいいでしょう.どういうふうに書けば一番いいのかよくわかってませんが,僕は
を編集します.このファイルには apt がどこから情報を集めるかが書いてあります. Vine Plus などの FTP サイトを書き込めばいいでしょう.# ではじまる行はコメント行です.このコメントを,そのときどきに合わせて付けたり外したりして使います. sources.list を編集したら,最新の情報に更新します.
このように
# apt-get update
しています.# ではじまる行はコメントアウトされています.このコメントをそのときどきに合わせて付けたり外したりして使います. sources.list を編集したら,最新の情報に更新します.
# apt-get update
apt 本体を最新のものにアップデートしておきます.
# apt-get install apt
# apt-get install apt
ディストリビューションをアップグレードするには次のようにします.
# apt-get dist-upgrade
カーネルアップグレード
# apt-get dist-upgrade
** カーネルアップグレード [#t9825374]
カーネルは apt-get dist-upgrade では自動的にアップグレードできません.カーネルのバージョンを明示的に示す必要があります.例えばアップグレードしたいカーネルのバージョンが 2.4.19-0vl11 なら,
# apt-get install kernel#2.4.19-0vl11
# apt-get install kernel#2.4.19-0vl11
とします.アップグレードされたら,新しいカーネルで起動できるように LILO を書き換えます.
# vi /etc/lilo.conf
# vi /etc/lilo.conf
などとして LILO の設定をエディタで編集します.
default=Vine-Linux
default=Vine-Linux
(中略)
image=/boot/vmlinuz-2.4.19-0vl11
label=Vine-Linux
read-only
root=/dev/hda2
(中略)
僕は上の様に書き加えました.ファイルを保存したら,設定を有効にするために
image=/boot/vmlinuz-2.4.19-0vl11
label=Vine-Linux
read-only
root=/dev/hda2
# lilo -v
僕は上の様に書き加えました.ファイルを保存したら,設定を有効にするために
# lilo -v
とします.再起動後には新しいカーネルが立ち上がるはずです.
サウンド
** サウンド [#r25b79e3]
VineLinux 2.5 に標準でついているサウンド設定ツール sndconfig は,カーネル2.4に対応していないのでこのままでは音がなりません.対応版の sndconfig-0.68-2vl1.i386.rpm を FTPサイトの updates/RPMS/i386/ ディレクトリからダウンロードして
# rpm -Uhv sndconfig-0.68-2vl1.i386.rpm
# rpm -Uhv sndconfig-0.68-2vl1.i386.rpm
でアップグレード.または直接ダウンロードせずに apt で
# apt-get install sndconfig
# apt-get install sndconfig
としても同じです.こちらのほうが ダウンロード→保存 の手間が省けるので便利ですね.後は
# sndconfig
# sndconfig
で設定ツールが立ち上がり,Linuxがサウンドチップのドライバを持っていれば自動的に設定してくれます.うまくいくと最後になんか人の声みたいなサンプル音が出ます.このサンプル音は,かのLinus氏の話し声らしいです.
/usr/share/sndconfig/sample.au
というファイルなので,また聞きたい場合は
$ play /usr/share/sndconfig/sample.au
$ play /usr/share/sndconfig/sample.au
で音声が流れます.同じディレクトリにsample2.auもあります.
USB
** USB [#pe7ba6e2]
ハマりました.いろいろHPやメーリングリストの過去ログを検索してカーネルの再構築に何度も挑戦.しかし結局うまくUSBマウスを使うことはできませんでした.カーネルがPCG-FX55G/BPのチップセットに対応してないんだろうと思って,一旦あきらめていました.が,2002年11月ごろ,Vine Linux 2.6とkernel 2.4.19-0vl11がリリースされ,カーネルをアップグレードした結果あっさりUSBを使えるようになりました. USBマウスが使いたかっただけなので他の機器はあまり試していませんが, USBプリンタ(Canon BJS500)も一応使えました.スキャナ(Canon CanoScan)は認識だけはされました.
「カーネルを変えたらあっさり使えた」のはVine Linuxのカーネルの話なので, Red Hat LinuxなどではうまくUSBが使えないようです.パッチを当ててカーネルを再構築すればいいようです.それについては
- http://juljas.net/linux/vaiofx240/
が参考になると思います(英語).