================== 正方行列の基本性質 ================== 行と列が一致している行列 ( $n \times n$ 行列) のことを正方行列と呼びます.正方行列は - 行列式を定義できる - 逆行列を定義できる という特徴を持っています(ただし,これらが定義できない特別な場合もあります). 単位行列 ======== 左上から右下への対角線が全て 1 で, 他の成分が全て 0 の正方行列を単位行列といいます. 単位行列は普通, $E$ という記号で表します.例えば $2 \times 2$ 正方行列の単位行列は \begin{pmatrix}1 & 0 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} で, $3 \times 3$ 正方行列の単位行列は \begin{pmatrix}1 & 0 & 0\\ 0 & 1 & 0\\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} となります. また,どんな $n \times n$ 正方行列に $n \times n$ 単位行列を掛けても変化しません. つまり,正方行列を $A$ とすると AE=EA=A がいえます.この性質は数字の 1 と同じです.どんな数に 1 を掛けても,変化しませんよね. 逆行列 ====== 行列の逆数に相当するのが逆行列です.正方行列 $A$ の逆行列を $P$ とすると AP=E が満たされます.ここで $E$ はさきほどの単位行列です.普通の数字で例えるなら 7 \times 7^{-1} = 1 ということと同じようなものです. $2 \times 2$ 正方行列 A=\begin{pmatrix}a & b\\ c & d \end{pmatrix} の逆行列は以下の公式から求められます. A^{-1}=\frac{1}{ad-bc}\begin{pmatrix}d & -b \\ -c & a \end{pmatrix} このように $A$ の逆行列は $A^{-1}$ と書きます.読み方は「えーいんばーす」が一般的です. @@author: 崎間@@ @@accept: 2003-08-04@@ @@category: 物理数学@@ @@id:squareMatrix@@