============================================================ 新たな積分の形式 ============================================================ 小ネタです。あらたな積分の形式を考えてみました。 でも残念なことに、応用には向かなさそうです。 復習(高校でならう積分) ======================== 高校でならう積分の復習をしてみます。 リーマン積分ってやつですね。 ちょっとおおざっぱですが、お許しください。 関数f(x)のaからbまでの定積分を定義するには、 まず区間 $[a,b]$ をn等分してできる、n+1個の分割点に $x_i\ \ (i=0,1,\cdots,n)$ と名前をつけます。 [*]_ そして、その間隔を $\Delta x = x_{i+1} - x_i = \frac{b-a}{n}$ とします。 .. [*] 具体的な書くと $x_i = a + \frac{(b-a)i}{n}$ です。 そこで、定積分を以下のように定義するのでした。 \int_0^x f(x) dx &\equiv \lim_{n \to \infty} \sum_{i=1}^n f(x_i) \Delta x \\ &= (b-a) \lim_{n \to \infty} \sum_{i=1}^n f(x_i) \frac{1}{n} ここで、 $b-a$ を前に出したのは、今後の布石です。 最後の行をよく見てみると、(b-a)×(n個の点でのf(x)の値の平均)になっていますよね。 つまり、すべての点の平均値に区間の長さをかければ、曲線の下の面積になるわけです。 新たな積分 ======================== ここで、今回のメインコンテンツは、 さっき出てきた平均を、相加平均じゃなくて相乗平均にしてしまおうというのが、 基本のアイディアです。では、さっそく変えてみましょう。 簡単のため、区間 $[a,b]$ ではなく、区間 $[0,1]$ にしておきます。 汎関数の一種なので、 $\pi(f)|_0^1$ とでも、表現しましょうか。 \pi(f)|_0^1 &\equiv \lim_{n \to \infty} \left( \prod_{i=1}^n f(x_i) \right)^{1/n} \\ &= \lim_{n \to \infty} e^{\log \left( \prod_{i=1}^n f(x_i) \right)^{1/n}} \\ &= \lim_{n \to \infty} e^{\frac{1}{n} \sum_{i=1}^n \log f(x_i) } \\ &= \lim_{n \to \infty} e^{\Delta x \sum_{i=1}^n \log f(x_i)} \\ &= e^{\int_0^1 \log f(x) dx} なんだ、結局既存の計算手法で表現できるものでしたね。 拡張するには、出てきた定積分の区間を $[a,b]$ とするのが、自然だと思います。 以下に、一般の形を書きます。 新たな積分のまとめ ======================== 関数 $f(x)$ の区間 $[a,b]$ での新たな定積分は、 \pi(f)|_a^b \equiv e^{\int_a^b \log f(x) dx} となります。 $f(x)$ がゼロになる区間を含んでいると、すべて1になってしまうので、 いまいち使い勝手が悪いなぁというのが正直な感想です。 新たな積分の応用 ======================== 元にあるのは、相乗平均ですから、連続変数であって、 大域的には指数関数的変動をする変数の単位時間当たりの 変動倍率をもとめる時なんかに使えるかなぁ? それは、 \frac{\pi(f)|_a^b}{e^{b-a}} = e^{\frac{\int_a^b \log f(x) dx}{\int_a^b dx}} で求められます。 積分の他の拡張 ======================== 平均を調和平均にした場合、詳しくは書きませんが同様に、 \eta(f)_0^1 &\equiv \lim_{n \to \infty} n \times \left( \sum_{i=1}^n \frac{1}{f(x_i)} \right)^{-1} \\ &= \lim_{n \to \infty} \left( \sum_{i=1}^n \frac{1}{f(x_i)n} \right)^{-1} \\ &= \lim_{n \to \infty} \left( \sum_{i=1}^n \frac{\Delta x}{f(x_i)} \right)^{-1} \\ &= \left( \int_0^1 \frac{1}{f(x)} dx \right)^{-1} 同様に区間を一般化して、 \eta(f)_a^b \equiv \left( \int_a^b \frac{1}{f(x)} dx \right)^{-1} となります。 これは、例えば無限に細い単位長さあたりの抵抗の異なる抵抗を束ねた時、 全体の抵抗はどうなるか計算できます。 最後に幾何平均と調和平均が定義できるためには、区間[a,b]に於いて、f(x)>0が必要であることを付け加えておきます。 それでは、今日はこの辺で。 ごきげんよう(^o^)/~ @@author:クロメル@@ @@accept:2010-04-21@@ @@category:物理数学@@ @@id:newIntegral@@