============================================================ 三角関数の微分1 ============================================================ 三角関数を続けて微分して行くと, $\sin$ や $\cos$ の繰り返しになりますよね. たとえば, $\sin(x)$ の微分は \frac{d}{dx}\sin(x) = \cos(x) ですし, $\cos(x)$ の微分は \frac{d}{dx}\cos(x) = -\sin(x) です.2階微分,3階微分となると,これがどんどん繰り返されていくわけです. 使っているうちに公式として覚えてしまいますが, そもそも三角関数の微分とは何を意味しているのでしょうか. ここでは,できるだけ視覚的なイメージから,三角関数の微分の意味をとらえて行きたいと思います. sin(x) の接線の傾き =================== $f(x)=\sin(x)$ のグラフはつぎのようなものです. .. image:: fig1.png 縦軸に $\sin(x)$ ,横軸に $x$ をとっています.微分とはそもそも,接線の傾き(の関数)を求める操作です. このグラフに,接線の傾きを書き込みますと .. image:: fig2.png というふうになります.この接線の傾きに注目しましょう. $\sin(x)$ のグラフ自体が $x$ 軸と交わる部分,すなわち $x=0, \pi, 2\pi$ で, 接線の傾きが最大もしくは最小になることが分かります. 傾きが最大,というのは最も急に右上に傾いている部分,ということです. .. image:: fig3.png また,接線の傾きがゼロになるのは $x=\frac{\pi}{2},\, \frac{3\pi}{2}$ の点です. .. image:: fig4.png sin(x) の微分のグラフ ===================== 微分のグラフとは,この接線の傾きのグラフです. 縦軸のスケールは気にしないでおいて,接線の傾きの情報をグラフにてみます. 横軸は先ほどと同じ,縦軸には $\frac{df(x)}{dx}$ ,つまり接線の傾きをとります. 傾きの最大,最小,ゼロの情報から,つぎのように点を打てます. .. image:: fig5.png さらに,それぞれの点の間の中途半端な部分も点で埋めます. 最初に $\sin(x)$ のグラフの接線の傾きを描いてみましたから, なんとなくつぎのようになることが分かると思います. .. image:: fig6.png さらに点をたくさん打ちまして,滑らかにつなぐと .. image:: fig7.png というものになります.これは見たことありますね. $\cos(x)$ のグラフです. これで, $\sin(x)$ の微分が $\cos(x)$ になるということが, グラフの直感的イメージから導かれたことになります. cos(x) の微分のグラフ ===================== $f(x)=\cos(x)$ のグラフに対して,同様のことを行ってみます. すると最終的にはつぎのグラフが得られます. .. image:: fig8.png これは $\sin(x)$ のグラフと比べて上下が正反対ですから, $-\sin(x)$ のグラフである, と言うことができます.したがって, $\cos(x)$ の微分は $-\sin(x)$ であるということも分かりました. 「微分とは接線の傾きである」というイメージさえつかんでいれば, このように三角関数の微分も,図形から直感的に理解することが可能です. @@author: 崎間@@ @@accept: 2004-07-14@@ @@category: 物理数学@@ @@id:trifuncDiff1@@