============================================================ リー微分のイメージ(ベクトルによるベクトルのリー微分) ============================================================ この記事では、ベクトルによるベクトルのリー微分を説明します。 \mathcal{L}_X Y = [X,Y] \tag{##} と書かれても、よく分からず途方に暮れた人は多いのではないでしょうか? リー微分は分かってしまえば簡単です。 二つの流れを用意する ============================ 二次元平面上の二つの流れを用意します。 まず、 微分幾何学における流れの具体例_ で取り扱った放物線状のベクトル場 $ Y = \partial_x + x \partial_y $ と、 $X = \partial_x$ と言う、 $x$ 軸の正の方向に単位量だけ流れている流れを用意します。 ここで、 \mathcal{L}_X Y &= [X,Y] \\ &= \dfrac{\partial}{\partial x} \left( \dfrac{\partial}{\partial x} + x \dfrac{\partial}{\partial y} \right) - \left( \dfrac{\partial}{\partial x} + x \dfrac{\partial}{\partial y} \right) \left( \dfrac{\partial}{\partial x} \right) \\ &= \left( \dfrac{\partial^2}{\partial x^2} + \dfrac{\partial}{\partial y} + x \dfrac{\partial^2}{\partial x \partial y} \right) -\left( \dfrac{\partial^2}{\partial x^2} + x \dfrac{\partial^2}{\partial x \partial y} \right) \\ &= \dfrac{\partial}{\partial y} \tag{##} となりました。これは、何を表しているかと言うと、 $X$ の流れに単位量だけ乗った後 $Y$ の流れに単位量だけ乗った結果から、 $Y$ の流れに単位量だけ乗った後 $X$ の流れに単位量だけ乗った結果を引いたベクトルを表しています。 図を見れば明らかでしょう。 .. image :: chromel-whatMeansLieDerivative-01.png これは、参考文献にもある通りです。 $XY$ も $YX$ も二階の微分を含むのでベクトルではないのですが、 $XY-YX$ はうまく相殺して一階の微分となっていることに注意して下さい。実はこの記事はリー微分の全てではなくて、多様体上のリー微分になると、基底である $\partial_x,\partial_y$ 等の変換も扱わねばならないようです。僕が理解した時には追って報告しようと思います。今日はここまで、お疲れさまでした。 .. _微分幾何学における流れの具体例: http://hooktail.sub.jp/mathInPhys/flow/ @@reference: 中原幹夫 佐久間一浩,理論物理学のための幾何学とトポロジーI,ピアソン・エデュケーション社,2000,p148-p152,4894711656@@ @@reference: 中原幹夫 佐久間一浩,理論物理学のための幾何学とトポロジーI(第二版),ピアソン・エデュケーション社,2018,p----,4535788065@@ @@author:クロメル@@ @@accept:2019-07-31@@ @@category:微分・位相幾何学@@ @@id:whatMeansLieDerivative@@