============================================================ フーリエ変換はある種のπ/2回転と見れること ============================================================ 最近、フーリエ変換は回転の様なものだと別の二人の方からお聞きしました。 最初、何を言っているか分からなかったのですが、 流石に何度も聞くと「ちょっと考えてみるか」と言う気分になり考えてみて、 やっといい具体例が見つかったので記事にします。 あんまり説明は要らないと思うので、もっぱら数式を書いていきます。 フーリエ変換を何度も行う ======================================== フーリエ変換を次の様に定めます。 \hat{f}(k) = \dfrac{1}{\sqrt{2 \pi}} \int_{-\infty}^\infty f(x) e^{ikx} dx \tag{##} ここで f_1(x) = e^{ik_0 x} \tag{##} と置くと、 \hat{f}_2(k) &= \dfrac{1}{\sqrt{2 \pi}} \int_{-\infty}^\infty f_1(x) e^{ikx} dx \\ &= \dfrac{1}{\sqrt{2 \pi}} \int_{-\infty}^\infty e^{i(k_0+k)x} dx \\ &= \dfrac{1}{\sqrt{2 \pi}} 2 \pi \delta(k_0+k) dx \\ &= \sqrt{2 \pi} \delta(k_0+k) \tag{##} これで一回目です。次に変数の $k \to x$ の置き換えをしてフーリエ変換すれば、 f_2(x) = \sqrt{2 \pi} \delta(x_0+x) \tag{##} \hat{f}_3(k) &= \dfrac{1}{\sqrt{2 \pi}} \int_{-\infty}^\infty f_2(x) e^{ikx} dx \\ &= \dfrac{1}{\sqrt{2 \pi}} \int_{-\infty}^\infty \sqrt{2 \pi} \delta(x+x_0) e^{ikx} dx \\ &= e^{-ikx_0} \tag{##} となります。次に行きましょう! f_3(x) = e^{-i k_0 x} \tag{##} \hat{f}_4(k) &= \dfrac{1}{\sqrt{2 \pi}} \int_{-\infty}^\infty f_3(x) e^{ikx} dx \\ &= \dfrac{1}{\sqrt{2 \pi}} \int_{-\infty}^\infty e^{i(k-k_0)x} dx \\ &= \sqrt{2 \pi} \delta(k-k_0) \tag{##} ここで、敢えて $f_4$ ではなく $f_0$ とします。理由は後で分かります。すると、 f_0(x) = \sqrt{2 \pi} \delta(x-x_0) \tag{##} \hat{f}_1(k) &= \dfrac{1}{\sqrt{2 \pi}} \int_{-\infty}^\infty f_0(x) e^{ikx} dx \\ &= \dfrac{1}{\sqrt{2 \pi}} \int_{-\infty}^\infty \sqrt{2 \pi} \delta(x-x_0) e^{ikx} dx \\ &= e^{ikx_0} \tag{##} つまり、 f_1(x) = e^{ik_0x} \tag{##} となり、これは式 $(2)$ ですね! つまり、フーリエ変換は線形ですから、 任意の関数 $f(x)$ は積分核 $f_i(x) \ \ (i=0,1,2,3)$ のどれか一つの $i$ に属する関数だけの重ね合わせで書けます。 それぞれの積分核が4回で元に戻るので、これは $x$ と $k$ の入れ替えを除いて、 \mathcal{F}^4[f(x)] = \mathcal{F}[\mathcal{F}[\mathcal{F}[\mathcal{F}[f(x)]]]] = f(x) \tag{##} であることを示しています。さらに言えば、二回のフーリエ変換では \mathcal{F}^2[f(x)] = \mathcal{F}[\mathcal{F}[f(x)]] = f(-x) \tag{##} が言えます。しかし、だからといって、 \mathcal{F}[f(x)] \neq f(ix) \tag{##} であることにはご注意ください。この事により、確かにフーリエ変換というものは、虚数単位 $i$ の様に四回行うと元に戻るので $\pi/2$ 回転と似ていますね。 この話には続きがあって、整数回のフーリエ変換を実数回に拡張した話が 赤げふさんのページ_ に書いてあるので、興味がある方はご覧になられるといいと思います。今日はここまで、お疲れさまでした! .. _赤げふさんのページ: http://akaghef.hateblo.jp/entry/2019/09/28/230643 @@author:クロメル@@ @@accept:2020-03-29@@ @@category:フーリエ解析@@ @@id:fourierAnotherPerspective@@