============================================================ I want to see the sun ============================================================ 動物園の象は一頭しかいなくて、 錆びついた檻を横目に大きな耳をこちらへ向けた。 吹きすさぶ風に立ち向かっているような淋しい顔だった。 風邪をひいた日に席替えを行われたような気がした。 あたしは太陽がみたい…太陽がなくちゃ生きてゆけない。 象のミズレはそう私に訴えた。 I felt the same. 同感だった。 よく考えれば太陽は公転しない。 勝手に踊り続ける地球を前に私は立ち尽くしていた。 動物園ではお弁当を広げた家族連れが帰り、 暇を持て余した老夫婦が重い腰を上げた。 残されているのは鳩とミズレと私くらいのものだった。 ひとけのない動物園の中でミズレは啼いた。 世紀の真夜中という表現がぴったりくるいななきだった。 気づけば私にももうなにもなかった。 少なくとも明日までは… @@author:きり@@ @@accept:2019-12-12@@ @@category:現代詩@@ @@id:Iwanttoseethesun@@