========================= 毒学 ========================= 毒を学ぶ前に,そもそも「毒」って? 毒ってなんだろう? ==================== 毒と薬の定義は,実は「害虫」と「益虫」の定義と同じです. 化学物質において,人間にとって,好ましい作用があるものが「薬」,好ましくない作用があるほうが「毒」となります. ただ,ここで注意しなくてはならないのは,虫のそれとは違い,毒と薬は別々のものではないということ. 虫であれば,黒光りするアレは害虫でしかありえないですが,毒と薬はそうは行かないのです. 同じ化学物質でも,用法用量が異なれば毒と薬にわかれてしまうのです. 現存の生物活性を有する化学物質は全て「毒」であり, その毒の用法用量を人間に好ましいように加減して使用する場合の呼称が「薬」であると考えると良いでしょう. ですから,数ある化学物質を人間に好ましいように作用させられる人が必要となりました. それが可能な人々は,医師・薬剤師・毒物劇物取扱者などの資格を持つ人々です. また逆にいえば,それらの資格を持たない人々が「何となく」化学物質を扱うことは, 時に人間の生命に関わることになるのです. 毒の歴史を追いかけてみる ========================== 歴史を追いやすくするために,とりあえず,広辞苑にあるように,毒の定義を「生命または健康を害するもの」とします. すると,毒の歴史は人間の歴史とともにあることがわかります. まず,毒を自殺や刑罰を目的として用いた例は数多くあり, 例えば,古代の暗殺の多くは毒が用いられていました. また,現代でも毒による刑罰(主に死刑)が行われている国があります. その用法は,国によってガスであったり,毒杯であったりと様々です. 一方で,人間は毒を人間に好ましく使用する方法も発見してきました. 例えば,抗生物質という毒は医療に転用され化学療法となっています. また,毒矢や魚毒を狩猟に使用する民族もいます. 殺虫剤や除草剤も人間に好ましく使用されている例ですね(吸引などには十分な注意が必要となりますが). 毒との付き合い方 ================= 前述のように,毒は人間の歴史とともに変化を遂げました. 人間社会の科学の発展とともに,毒を有効利用する方法は増え,その威力も強力なものとなりました. しかし,それは悪用する場合にもあてはまり,悪用される機会は増え, ここ日本においても毒を悪用した犯罪が相次いでいます. また,犯罪だけに留まらず,数々の公害問題,近年のダイオキシンの問題などもあります. 毒に支配されるのではなく,私達人間が毒をコントロールしなくてはなりません. どうすれば良いの? ------------------- 何と付き合うにしても,上手く付き合っていくためには「相手(対象)を理解する」ということが必要となります. その面では,恋人との付き合いかたに似ていますね. 相手に依存するのではなく,お互いを理解し尊重していかなくては,ともに歩むことは不可能なのです. @@author:chick・まる@@ @@accept:2005-09-25 03:24:00@@ @@category:@@ @@id:@@