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#rst2hooktail_source
====================================
持ち上げるのに必要な力の大きさ
====================================
こんなことを考えてみてください。
いま重力加速度を $g$ $\mathrm{[m/s^2]}$ と書くことにし...
そして質量 $m$ [kg] の物体を手で持って、ある高さに静止さ...
さてこのとき、手が物体に加えている力の大きさはどれだけで...
考えていただけましたか?
はい。答えは $mg$ [N] ですね。
それではもう1問。
その物体を、その位置からさらに少しだけ持ち上げることにし...
そのとき手が物体に加える力の大きさは、どれだけでしょうか?
ええ。
これも答えは、 $mg$ [N] です。
ちょっと待ってよ! *静止させておくときの力* の大きさと、 *...
結論から
------------------
なにか矛盾したものを感じるかも知れませんが、矛盾はありま...
質量 $m$ [kg] の物体を持ち上げるのに必要な力 $F$ [N] は、
<tex>
F=mg
</tex>
です。
もちろん、この値より大きければ物体の位置を上昇させること...
<tex>
F\geq mg
</tex>
と書いても構いません。
だけど $ F>mg $ は必ず要るってわけじゃない。
持ち上げるのに *必要最小限の力* というのは $F=mg$ なので...
まず持ち上げるときの仕事について考えてみよう
---------------------------------------------------------
持ち上げる必要最小限の力について考えるために、まずはある...
**(力)×(移動距離)**
と計算するのでしたね。
答えを先に書いてしまえば、質量 $m$ [kg] の物体を $h$ [m] ...
<tex>
W=mgh
</tex>
です。
これまた $W>mgh$ ではありません。
このことをじっくり確認してみましょう。
行き過ぎないように、持ち上げる
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
物体には $mg$ [N]の重力が働いているので、上向きの速度を持...
.. image:: yama-raise-v2-2.png
:align: center
.. image:: yama-raise-v2-3.png
:align: center
ここでは具体的に、上向きに加える力を $mg+1$ [N]だとしまし...
上向きの力が $mg+1$ [N]であれば、下向きの重力 $mg$ [N]と...
そのまま力を加え続けると、どんどん速さが増していって、 $h...
だけどいまは *必要最小限の労力で、この物体を動かす* こと...
だから $h$ [m] *持ち上がった位置で、ちょうど静止してほし...
となると、持ち上げたい距離 $h$ [m]の半分だけ持ち上げたと...
そうすれば重力と差し引きして上向きに $-1$ [N]、つまり下向...
そうやればちょうど $h$ [m]だけ上がった位置で静止すること...
このとき、それぞれの位置でどれだけの力を加えていたのかを...
.. image:: yama-raise-fig1v2.png
:align: center
仕事というのはさっきも書きましたが、
**(力)×(移動距離)**
でしたね。つまり上の図で、 *力の大きさと持ち上げた距離で...
計算するために、ちょっと形を整理しましょう。
.. image:: yama-raise-fig2.png
:align: center
.. image:: yama-raise-fig3.png
:align: center
これで計算は楽になりますね。長方形の面積なので、
(面積) $=mgh$ 。つまり持ち上げるのに必要な最小限の仕事 $W...
<tex>
W=mgh
</tex>
となるのです。
持ち上げ方によって仕事は変化する??
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
上で書いたような持ち上げ方をしたときは、確かに $W=mgh$ だ...
だけど、 $h$ [m] *持ち上げた位置で静止* させるならば、力...
もう少し具体的に考えてみましょう。
さっきは半分の距離を進むまでずっと $mg+1$ [N]の力を加えて...
短い時間だけ $mg+1$ [N]の力を加えて、続いて $mg$ [N]の力...
そうしたら物体はどう動くでしょうか?
上向きの力が $mg+1$ [N]から $mg$ [N]に減ったから、上向き...
はじめの短い時間に加速された速度のまま、上に進み続けます。
そのままの速度で進み続けたらまた目的の $h$ [m]を通り過ぎ...
そうやって、ちょうど $h$ [m]持ち上げた位置で静止させます。
.. image:: yama-raise-fig4v2.png
:align: center
このときの仕事は?
.. image:: yama-raise-fig5.png
:align: center
やはり
<tex>
W=mgh
</tex>
ですね。
加えている力の大きさや、力を加えている時間を調整すれば、...
例えば最初に $mg+2$ [N]の力を加えて、最後に $mg-1$ [N]の...
.. image:: yama-raise-fig6.png
:align: center
これでもやはり、
.. image:: yama-raise-fig7.png
:align: center
必要な仕事は $mgh$ [J]となります [*]_ 。
.. [*] 仕事がエネルギーに変わるという視点でも考えてみまし...
ここで遠目に見てみると…
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
仕事の計算結果で大事なことは、
**力を加えている時間や力の大きさには関わりなく、仕事は同...
ということ。
ではごく短い時間にだけ、 $mg$ [N]より大きな力を加えていた...
それを図にすると次のような感じです。
.. image:: yama-raise-fig8.png
:align: center
これを遠目にみると、どの瞬間でもいつも $mg$ [N]の力を加え...
この辺が、持ち上げる時に必要な力の大きさは $mg$ [N]だとい...
持ち上げるのに必要最小限の力の値は…
-------------------------------------
ここまでは持ち上げる際に行う仕事について考えてきました。...
それでは持ち上げるのに必要な力の大きさの話に戻りましょう。
ある瞬間の力の値を求めるには…
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
力というのはNewtonの運動方程式に現れる量ですね。
その瞬間に速度がどれだけ変化したかという量(加速度)に物体...
そう“瞬間の”力の大きさといっても、それは速度の **変化を考...
.. [*] 要するに「力は微分で定義されている」ということです...
仕事の値から力を求める
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
力は速度の変化だと説明した直後に申し訳ないのですが、今回...
仕事の値というのは、(力の大きさ)×(移動距離) でした。
そこで、 *仕事の値を移動距離で割り算して、そのときに掛か...
ここでも“瞬間の”力の値を求めるために、わずかに“動かしたと...
あまりにたくさん動かしたらもう瞬間の値ではありませんので...
.. [*] 再び数学が得意な方へ。ここでは力 $F$ を求めるため...
仕事の値が (力の大きさ)×(移動距離) となるのは、Newt...
では実際に計算してみましょう
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
それでは、ごくごく短い距離 $\delta$ [m] だけ持ち上げたと...
力は仕事の値を移動距離で割り算するのでしたから、
力 $F$ [N] はこの値を移動距離 $\delta$ [m] で割り算して、
<tex>
F=\frac{mg\delta}{\delta}=mg
</tex>
ということになります。ここの $\delta$ は充分に小さい値で...
どんな持ち上げ方をしているのか?
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
さて、この持ち上げる最小限の力の値、 $F=mg$ で持ち上げて...
これは「どんなに短い距離であっても、行き過ぎることなく、静...
つまり *いつでも止れるし、いつでも動き出せる* ような力の...
“瞬間の”値ってどの瞬間??
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
それでもまだ「動き出す瞬間は $mg$ [N] より大きな力が必要...
それは“瞬間”という言葉の使い方の問題でしょう。
動かすために、力の値がつり合いの $mg$ [N] から少し大きく...
そのとき大きくなった後の値ではなく、大きくなる直前の値を“...
.. image:: yama-raise-v2-1.png
:align: center
.. [*] 三たび数学が得意な方へ。微分の定義を思い出してくだ...
まとめ
----------------------------
力がつり合っている状態というのは、静止しているものは静止...
そして、止まっているものを静かに(いつでも静止できるくらい...
@@author: 山本明@@
@@information: イラスト:篠原・山本明@@
@@accept: 2006-04-30@@
@@category: 力学@@
@@id: raise@@
終了行:
#rst2hooktail_source
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持ち上げるのに必要な力の大きさ
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こんなことを考えてみてください。
いま重力加速度を $g$ $\mathrm{[m/s^2]}$ と書くことにし...
そして質量 $m$ [kg] の物体を手で持って、ある高さに静止さ...
さてこのとき、手が物体に加えている力の大きさはどれだけで...
考えていただけましたか?
はい。答えは $mg$ [N] ですね。
それではもう1問。
その物体を、その位置からさらに少しだけ持ち上げることにし...
そのとき手が物体に加える力の大きさは、どれだけでしょうか?
ええ。
これも答えは、 $mg$ [N] です。
ちょっと待ってよ! *静止させておくときの力* の大きさと、 *...
結論から
------------------
なにか矛盾したものを感じるかも知れませんが、矛盾はありま...
質量 $m$ [kg] の物体を持ち上げるのに必要な力 $F$ [N] は、
<tex>
F=mg
</tex>
です。
もちろん、この値より大きければ物体の位置を上昇させること...
<tex>
F\geq mg
</tex>
と書いても構いません。
だけど $ F>mg $ は必ず要るってわけじゃない。
持ち上げるのに *必要最小限の力* というのは $F=mg$ なので...
まず持ち上げるときの仕事について考えてみよう
---------------------------------------------------------
持ち上げる必要最小限の力について考えるために、まずはある...
**(力)×(移動距離)**
と計算するのでしたね。
答えを先に書いてしまえば、質量 $m$ [kg] の物体を $h$ [m] ...
<tex>
W=mgh
</tex>
です。
これまた $W>mgh$ ではありません。
このことをじっくり確認してみましょう。
行き過ぎないように、持ち上げる
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物体には $mg$ [N]の重力が働いているので、上向きの速度を持...
.. image:: yama-raise-v2-2.png
:align: center
.. image:: yama-raise-v2-3.png
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ここでは具体的に、上向きに加える力を $mg+1$ [N]だとしまし...
上向きの力が $mg+1$ [N]であれば、下向きの重力 $mg$ [N]と...
そのまま力を加え続けると、どんどん速さが増していって、 $h...
だけどいまは *必要最小限の労力で、この物体を動かす* こと...
だから $h$ [m] *持ち上がった位置で、ちょうど静止してほし...
となると、持ち上げたい距離 $h$ [m]の半分だけ持ち上げたと...
そうすれば重力と差し引きして上向きに $-1$ [N]、つまり下向...
そうやればちょうど $h$ [m]だけ上がった位置で静止すること...
このとき、それぞれの位置でどれだけの力を加えていたのかを...
.. image:: yama-raise-fig1v2.png
:align: center
仕事というのはさっきも書きましたが、
**(力)×(移動距離)**
でしたね。つまり上の図で、 *力の大きさと持ち上げた距離で...
計算するために、ちょっと形を整理しましょう。
.. image:: yama-raise-fig2.png
:align: center
.. image:: yama-raise-fig3.png
:align: center
これで計算は楽になりますね。長方形の面積なので、
(面積) $=mgh$ 。つまり持ち上げるのに必要な最小限の仕事 $W...
<tex>
W=mgh
</tex>
となるのです。
持ち上げ方によって仕事は変化する??
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
上で書いたような持ち上げ方をしたときは、確かに $W=mgh$ だ...
だけど、 $h$ [m] *持ち上げた位置で静止* させるならば、力...
もう少し具体的に考えてみましょう。
さっきは半分の距離を進むまでずっと $mg+1$ [N]の力を加えて...
短い時間だけ $mg+1$ [N]の力を加えて、続いて $mg$ [N]の力...
そうしたら物体はどう動くでしょうか?
上向きの力が $mg+1$ [N]から $mg$ [N]に減ったから、上向き...
はじめの短い時間に加速された速度のまま、上に進み続けます。
そのままの速度で進み続けたらまた目的の $h$ [m]を通り過ぎ...
そうやって、ちょうど $h$ [m]持ち上げた位置で静止させます。
.. image:: yama-raise-fig4v2.png
:align: center
このときの仕事は?
.. image:: yama-raise-fig5.png
:align: center
やはり
<tex>
W=mgh
</tex>
ですね。
加えている力の大きさや、力を加えている時間を調整すれば、...
例えば最初に $mg+2$ [N]の力を加えて、最後に $mg-1$ [N]の...
.. image:: yama-raise-fig6.png
:align: center
これでもやはり、
.. image:: yama-raise-fig7.png
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必要な仕事は $mgh$ [J]となります [*]_ 。
.. [*] 仕事がエネルギーに変わるという視点でも考えてみまし...
ここで遠目に見てみると…
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
仕事の計算結果で大事なことは、
**力を加えている時間や力の大きさには関わりなく、仕事は同...
ということ。
ではごく短い時間にだけ、 $mg$ [N]より大きな力を加えていた...
それを図にすると次のような感じです。
.. image:: yama-raise-fig8.png
:align: center
これを遠目にみると、どの瞬間でもいつも $mg$ [N]の力を加え...
この辺が、持ち上げる時に必要な力の大きさは $mg$ [N]だとい...
持ち上げるのに必要最小限の力の値は…
-------------------------------------
ここまでは持ち上げる際に行う仕事について考えてきました。...
それでは持ち上げるのに必要な力の大きさの話に戻りましょう。
ある瞬間の力の値を求めるには…
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
力というのはNewtonの運動方程式に現れる量ですね。
その瞬間に速度がどれだけ変化したかという量(加速度)に物体...
そう“瞬間の”力の大きさといっても、それは速度の **変化を考...
.. [*] 要するに「力は微分で定義されている」ということです...
仕事の値から力を求める
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
力は速度の変化だと説明した直後に申し訳ないのですが、今回...
仕事の値というのは、(力の大きさ)×(移動距離) でした。
そこで、 *仕事の値を移動距離で割り算して、そのときに掛か...
ここでも“瞬間の”力の値を求めるために、わずかに“動かしたと...
あまりにたくさん動かしたらもう瞬間の値ではありませんので...
.. [*] 再び数学が得意な方へ。ここでは力 $F$ を求めるため...
仕事の値が (力の大きさ)×(移動距離) となるのは、Newt...
では実際に計算してみましょう
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
それでは、ごくごく短い距離 $\delta$ [m] だけ持ち上げたと...
力は仕事の値を移動距離で割り算するのでしたから、
力 $F$ [N] はこの値を移動距離 $\delta$ [m] で割り算して、
<tex>
F=\frac{mg\delta}{\delta}=mg
</tex>
ということになります。ここの $\delta$ は充分に小さい値で...
どんな持ち上げ方をしているのか?
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
さて、この持ち上げる最小限の力の値、 $F=mg$ で持ち上げて...
これは「どんなに短い距離であっても、行き過ぎることなく、静...
つまり *いつでも止れるし、いつでも動き出せる* ような力の...
“瞬間の”値ってどの瞬間??
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
それでもまだ「動き出す瞬間は $mg$ [N] より大きな力が必要...
それは“瞬間”という言葉の使い方の問題でしょう。
動かすために、力の値がつり合いの $mg$ [N] から少し大きく...
そのとき大きくなった後の値ではなく、大きくなる直前の値を“...
.. image:: yama-raise-v2-1.png
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.. [*] 三たび数学が得意な方へ。微分の定義を思い出してくだ...
まとめ
----------------------------
力がつり合っている状態というのは、静止しているものは静止...
そして、止まっているものを静かに(いつでも静止できるくらい...
@@author: 山本明@@
@@information: イラスト:篠原・山本明@@
@@accept: 2006-04-30@@
@@category: 力学@@
@@id: raise@@
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物理のかぎプロジェクト
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