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==================================
コンデンサーの過渡現象
==================================
コンデンサを充電すると電荷 $Q = CV$ が蓄えられるというの...
しかし、充電される途中で何が起こっているかについては詳し...
このような充電中のできごとを *過渡現象* (かとげんしょう)...
ここでは、コンデンサーの過渡現象について考えていきます。
------------------------
回路方程式
------------------------
次のような、抵抗値 $R$ の抵抗と、静電容量 $C$ のコンデン...
.. image:: co-circuit-01.png
まずは回路方程式をたててみましょう。時刻 $t$ においてコン...
電流と電荷量の関係は $I(t) = \frac{dQ(t)}{dt}$ で表される...
キルヒホッフの法則から回路方程式は
<tex>
E = R \frac{dQ(t)}{dt} + \frac{Q(t)}{C} \tag{1}
</tex>
となります。
.. [1] 電池の起電力 - 電池に電流が流れていないときの、そ...
------------------------
回路方程式を解く
------------------------
では回路方程式 (1) を、初期条件 $Q(t=0) = 0$ のもとに解い...
これは変数分離型の一階線形微分方程式ですので、以下のよう...
<tex>
E = R \frac{dQ(t)}{dt} + \frac{Q(t)}{C}\\
\left( E - \frac{Q(t)}{C} \right)^{-1} dQ = \frac{1}{R} dt
</tex>
これを積分すると、
<tex>
\ln \left( E - \frac{Q(t)}{C} \right) = - \frac{1}{RC} t ...
</tex>
となります。ここで $\ln K$ は積分定数です。
$Q(t)$ について解くと、
<tex>
E - \frac{Q(t)}{C} & = K e^{-\frac{1}{RC}t}
</tex>
より、
<tex>
Q(t) = CE - KC e^{-\frac{1}{RC}t} \tag{2}
</tex>
となります。
初期条件 $Q(t=0) = 0$ から、積分定数 $K$ を決めてやると、...
したがって、コンデンサにたまる電荷量 $Q(t)$ は
<tex>
Q(t) = CE\left( 1 - e^{-\frac{1}{RC}t} \right) \tag{3}
</tex>
となります。グラフに描くと次のようになります。
.. image:: co-circuit-graph-01.png
また、(3)式を微分して電流 $I(t)$ も求めておきましょう。
<tex>
I(t) = \frac{dQ(t)}{dt} = \frac{E}{R} e^{-\frac{1}{RC} t}...
</tex>
電流のグラフも描くと次のようになります。
.. image:: co-circuit-graph-02.png
--------------------------
消えたエネルギー
--------------------------
.. image:: co-circuit-01.png
ところで私たちは高校の授業で、上のような回路を考えたとき...
いっぽう、コンデンサーが充電されて、電荷 $Q$ がたまったと...
$U = \frac{1}{2}QE$ であると習っています。
電池がした仕事が $QE$ 、コンデンサーに蓄えられたエネルギ...
全エネルギーは保存するはずです。あれ?残りの $\frac{1}{2}...
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
謎解き
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さて、この謎を解くために、電池のする仕事について詳しく考...
起電力 $E$ を持つ電池は、電荷を電位差 $E$ だけ汲み上げる...
この電池が微少時間 $dt$ に電荷量 $dQ$ だけ電荷を汲み上げ...
<tex>
dW = E dQ \tag{5}
</tex>
です。(4)式の両辺を単純に積分すると
<tex>
W = E Q \tag{6}
</tex>
という関係が得られます。
したがって、電池が $I(t) = \frac{dQ(t)}{dt}$ の電流を流す...
<tex>
P = \frac{dW}{dt} & = E \frac{dQ(t)}{dt}\\
& = E I(t) \tag{7}
</tex>
となります。
さて、電池のした仕事がどうなったのかを、回路方程式 (1) を...
回路方程式 (1)式の両辺に、電流 $\frac{dQ}{dt} = I(t)$ を...
<tex>
E \frac{dQ}{dt} & = R \left( \frac{dQ(t)}{dt} \right)^2 +...
E I(t) & = R {I(t)}^2 + \frac{d}{dt} \left( \fra...
</tex>
左辺が(6)式の仕事率の形になりました。
両辺を時間 $t$ で $0$ から $t$ まで積分します。初期条件は...
<tex>
\int_0^t E I dt & = \int_0^t I(t)R^2 dt + \int_0^t...
\int_0^t \frac{dW}{dt} & = \int_0^t I(t) R^2 dt + \frac{{...
W(t) & = \int_0^t I(t) R^2 dt + \frac{{...
</tex>
となります。この式は、左辺が *電池のした仕事* 、右辺の第...
(7)式において $t \rightarrow \infty$ の極限を考えると、電...
<tex>
W_{\text{battery}} = \int_0^{\infty} I(t) R^2 dt + \frac{...
</tex>
と書けます。過渡的状態を経て平衡状態になると、コンデンサ...
<tex>
W_{\text{battery}} = W_{\text{Joule}} + U_{\text{C}} \tag...
</tex>
となります。ここで $U_{\text{C}} = \frac{1}{2}CE^2$ は静...
<tex>
W_{\text{Joule}} = \int_0^{\infty} I(t) R^2 dt \tag{11}
</tex>
です。(11)式に先ほど求めた(4)式の電流 $I(t)$ を代入すると、
<tex>
W_{\text{Joule}} & = \int_0^{\infty} \frac{E^2}{R} e^{-\f...
& = \frac{E^2}{R} \left[ - \frac{RC}{2} ...
& = \frac{1}{2} CE^2 \tag{12}
</tex>
となります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
結局どういうことか?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<tex>
W_{\text{battery}} = W_{\text{Joule}} + U_{\text{C}} \tag...
</tex>
上の謎解きから、電池のした仕事 $W_{\text{battery}} = Q E ...
コンデンサに蓄えられたエネルギー $U_{\text{C}} = \frac{1}...
つまりエネルギー保存則はきちんと成り立っていたわけです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
注意点
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ここで一つ注意したいことがあります。
(12)式によれば、ジュール熱 $W_{\text{Joule}}$ は抵抗の大...
つまり過渡状態から平衡状態になるまでに、 **必ず** 電池が...
図の抵抗 $R$ を取り去ったとしても、回路には導線自身がもつ...
したがって、最初に示した回路図に抵抗がない場合でも、現実...
.. [2] 普通は $R >> r$ なので $r$ は無視して考えます。こ...
@@author: CO@@
@@accept: 2005-02-20@@
@@category: 電磁気学@@
@@reference: 山本義隆, 新・物理入門, 駿台文庫, 1987, 189-...
@@reference: 宮島龍興, 三省堂 物理小事典 第四版, 三省堂, ...
@@id:RCtransient@@
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#rst2hooktail_source
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コンデンサーの過渡現象
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コンデンサを充電すると電荷 $Q = CV$ が蓄えられるというの...
しかし、充電される途中で何が起こっているかについては詳し...
このような充電中のできごとを *過渡現象* (かとげんしょう)...
ここでは、コンデンサーの過渡現象について考えていきます。
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回路方程式
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次のような、抵抗値 $R$ の抵抗と、静電容量 $C$ のコンデン...
.. image:: co-circuit-01.png
まずは回路方程式をたててみましょう。時刻 $t$ においてコン...
電流と電荷量の関係は $I(t) = \frac{dQ(t)}{dt}$ で表される...
キルヒホッフの法則から回路方程式は
<tex>
E = R \frac{dQ(t)}{dt} + \frac{Q(t)}{C} \tag{1}
</tex>
となります。
.. [1] 電池の起電力 - 電池に電流が流れていないときの、そ...
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回路方程式を解く
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では回路方程式 (1) を、初期条件 $Q(t=0) = 0$ のもとに解い...
これは変数分離型の一階線形微分方程式ですので、以下のよう...
<tex>
E = R \frac{dQ(t)}{dt} + \frac{Q(t)}{C}\\
\left( E - \frac{Q(t)}{C} \right)^{-1} dQ = \frac{1}{R} dt
</tex>
これを積分すると、
<tex>
\ln \left( E - \frac{Q(t)}{C} \right) = - \frac{1}{RC} t ...
</tex>
となります。ここで $\ln K$ は積分定数です。
$Q(t)$ について解くと、
<tex>
E - \frac{Q(t)}{C} & = K e^{-\frac{1}{RC}t}
</tex>
より、
<tex>
Q(t) = CE - KC e^{-\frac{1}{RC}t} \tag{2}
</tex>
となります。
初期条件 $Q(t=0) = 0$ から、積分定数 $K$ を決めてやると、...
したがって、コンデンサにたまる電荷量 $Q(t)$ は
<tex>
Q(t) = CE\left( 1 - e^{-\frac{1}{RC}t} \right) \tag{3}
</tex>
となります。グラフに描くと次のようになります。
.. image:: co-circuit-graph-01.png
また、(3)式を微分して電流 $I(t)$ も求めておきましょう。
<tex>
I(t) = \frac{dQ(t)}{dt} = \frac{E}{R} e^{-\frac{1}{RC} t}...
</tex>
電流のグラフも描くと次のようになります。
.. image:: co-circuit-graph-02.png
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消えたエネルギー
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.. image:: co-circuit-01.png
ところで私たちは高校の授業で、上のような回路を考えたとき...
いっぽう、コンデンサーが充電されて、電荷 $Q$ がたまったと...
$U = \frac{1}{2}QE$ であると習っています。
電池がした仕事が $QE$ 、コンデンサーに蓄えられたエネルギ...
全エネルギーは保存するはずです。あれ?残りの $\frac{1}{2}...
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謎解き
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さて、この謎を解くために、電池のする仕事について詳しく考...
起電力 $E$ を持つ電池は、電荷を電位差 $E$ だけ汲み上げる...
この電池が微少時間 $dt$ に電荷量 $dQ$ だけ電荷を汲み上げ...
<tex>
dW = E dQ \tag{5}
</tex>
です。(4)式の両辺を単純に積分すると
<tex>
W = E Q \tag{6}
</tex>
という関係が得られます。
したがって、電池が $I(t) = \frac{dQ(t)}{dt}$ の電流を流す...
<tex>
P = \frac{dW}{dt} & = E \frac{dQ(t)}{dt}\\
& = E I(t) \tag{7}
</tex>
となります。
さて、電池のした仕事がどうなったのかを、回路方程式 (1) を...
回路方程式 (1)式の両辺に、電流 $\frac{dQ}{dt} = I(t)$ を...
<tex>
E \frac{dQ}{dt} & = R \left( \frac{dQ(t)}{dt} \right)^2 +...
E I(t) & = R {I(t)}^2 + \frac{d}{dt} \left( \fra...
</tex>
左辺が(6)式の仕事率の形になりました。
両辺を時間 $t$ で $0$ から $t$ まで積分します。初期条件は...
<tex>
\int_0^t E I dt & = \int_0^t I(t)R^2 dt + \int_0^t...
\int_0^t \frac{dW}{dt} & = \int_0^t I(t) R^2 dt + \frac{{...
W(t) & = \int_0^t I(t) R^2 dt + \frac{{...
</tex>
となります。この式は、左辺が *電池のした仕事* 、右辺の第...
(7)式において $t \rightarrow \infty$ の極限を考えると、電...
<tex>
W_{\text{battery}} = \int_0^{\infty} I(t) R^2 dt + \frac{...
</tex>
と書けます。過渡的状態を経て平衡状態になると、コンデンサ...
<tex>
W_{\text{battery}} = W_{\text{Joule}} + U_{\text{C}} \tag...
</tex>
となります。ここで $U_{\text{C}} = \frac{1}{2}CE^2$ は静...
<tex>
W_{\text{Joule}} = \int_0^{\infty} I(t) R^2 dt \tag{11}
</tex>
です。(11)式に先ほど求めた(4)式の電流 $I(t)$ を代入すると、
<tex>
W_{\text{Joule}} & = \int_0^{\infty} \frac{E^2}{R} e^{-\f...
& = \frac{E^2}{R} \left[ - \frac{RC}{2} ...
& = \frac{1}{2} CE^2 \tag{12}
</tex>
となります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
結局どういうことか?
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<tex>
W_{\text{battery}} = W_{\text{Joule}} + U_{\text{C}} \tag...
</tex>
上の謎解きから、電池のした仕事 $W_{\text{battery}} = Q E ...
コンデンサに蓄えられたエネルギー $U_{\text{C}} = \frac{1}...
つまりエネルギー保存則はきちんと成り立っていたわけです。
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注意点
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ここで一つ注意したいことがあります。
(12)式によれば、ジュール熱 $W_{\text{Joule}}$ は抵抗の大...
つまり過渡状態から平衡状態になるまでに、 **必ず** 電池が...
図の抵抗 $R$ を取り去ったとしても、回路には導線自身がもつ...
したがって、最初に示した回路図に抵抗がない場合でも、現実...
.. [2] 普通は $R >> r$ なので $r$ は無視して考えます。こ...
@@author: CO@@
@@accept: 2005-02-20@@
@@category: 電磁気学@@
@@reference: 山本義隆, 新・物理入門, 駿台文庫, 1987, 189-...
@@reference: 宮島龍興, 三省堂 物理小事典 第四版, 三省堂, ...
@@id:RCtransient@@
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