================= ガウス積分の公式 ================= 物理を学んでいると、頻繁に出てくる積分というのがあります。 その一つが *ガウス積分* です。 ------------------ ガウス積分 ------------------ ガウス積分とは、つぎのような式で書かれる積分のことです。 I = \int_{-\infty}^{\infty} e^{-a x^2} dx \tag{1} ここで $x$ は実数、 $a$ は正の定数です。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ガウス積分の公式 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ふつうガウス積分は、公式として扱われることが多いです。 ガウス積分の公式はつぎのようなものです。 \int_{-\infty}^{\infty} e^{-a x^2} dx = \sqrt{\frac{\pi}{a}} \tag{2} ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ガウス積分の公式の証明 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ いくら公式だとはいっても、一度は本当にそうなることを確認しておきたいものです。 この公式の証明は院試で頻出ですので、その道を目指す方は覚えておくと良いでしょう。 まず、左辺の積分値を $I$ とします。 $I$ は被積分関数の関数形から、定義域が $I > 0$ であることがわかります。 $I$ は、 I = \int_{-\infty}^{\infty} e^{-a x^2} dx と書いても、 I = \int_{-\infty}^{\infty} e^{-a y^2} dy と書いても、積分値に変わりはありませんね。 したがって、 I^2 & = \left( \int_{-\infty}^{\infty} e^{-a x^2} dx \right)^2 \\ & = \left( \int_{-\infty}^{\infty} e^{-a x^2} dx \right) \cdot \left( \int_{-\infty}^{\infty} e^{-a y^2} dy \right) \\ & = \int_{-\infty}^{\infty} dx \int_{-\infty}^{\infty} dy \ e^{- a (x^2 + y^2)} \tag{3} と変形していくことができます。 ここで $x = r \sin \theta$ 、 $y = r \cos \theta$ と変数変換をします。また、無限遠で積分領域を矩形から円形へと変形します。被積分関数が無限遠で速やかに0に収束することから、このようにしても積分値は変わりません。すると (3) 式は、 I^2 & = \int_0^{\infty} r dr \int_0^{2\pi} d\theta \ e^{-a r^2} \tag{4} と書けます。 $\theta$ については積分を実行することができて、さらに式変形をしていくと I^2 & = 2 \pi \int_0^{\infty} r dr \ e^{-a r^2} \\ & = 2 \pi \int_0^{\infty} d\left( \frac{r^2}{2} \right) \ e^{-a r^2} \\ & = \pi \left[ -\frac{1}{a} e^{-a t} \right]_{t = 0}^{t = \infty} \\ & = \frac{\pi}{a} \tag{5} となります。ただし 2行目から 3行目で見やすいように、積分変数 $r^2$ を $t$ に置換しています。 $I > 0$ なので、正の値のみをとって I = \int_{-\infty}^{\infty} e^{-a x^2} dx = \sqrt{\frac{\pi}{a}} \tag{6} となり、ガウス積分の公式を得ることができました。 @@author: CO@@ @@accept: 2004-12-12@@