============================================================ ホログラフィ技術 ============================================================ ホログラフィって何? ==================== ホログラフィーとは、3次元像を平面に記録・再生する技法のことです。言い換えれば、立体的な写真を撮ったり、観たりするための技術です。 そして、その"立体的写真"のことをホログラム(hologram)といいます。 ホログラフィの原理 ================== ホログラフィとは、ではどうやって作るのか? これを分かれば、もっとホログラフィがどんなものなのかを理解してもらえると思います。 ホログラムには色々と種類があり、記録方法も再生方法もいくつか存在するのですが、ここでは一番基本となる方法を書きます。 ホログラムの作り方 ---------------------- ホログラフィは、3次元の像を記録し、再生する技法です。 では、3次元の像を記録するとは、どういうことでしょうか? 私たちは、ある物体から反射される光が目に入ることによって、その物体を見ることができます。 そして、そのときは物体はもちろん立体的に見えます。 つまり、この物体からの光を情報として記録することが、3次元の像を記録するということにつながります。 (ここで、光の情報とは「どのくらい強い光かという情報(光の振幅)」と「どの方向から光がやってきたのかという情報(光の位相)」になります。) では、具体的に図で見てみましょう。 図1:ホログラムの記録 を貼り付けます 記録に使うのは干渉性のよい、コヒーレントなレーザー光です。 このレーザー光を図のように、ビームスプリッターで二手に分け、それぞれを対物レンズで広げます。 一つは物体に照射して反射光を生じさせ、ひとつは記憶材料に照射させます [*]_. すると、二つの光の波は干渉し、記録材料上では干渉縞が発生します。 この干渉縞を記録材料に記録すれば、ホログラムの完成です [*]_. 図を載せます。 この干渉縞は、先ほど述べた光の情報に相当するものです。 記録材料には、物体からの光の情報が干渉縞として記録されているんですね。 そして、この干渉縞を記録した記録材料は一種の回折格子になっています。 .. [*] 物体からの反射光を「物体光」、記録材料を照射する光を「参照光」といいます。 .. [*] 1mmに1000〜7000本の縞模様の回折格子になっています。 ホログラムの再生 ----------------- 上で作ったホログラムは、そのまま見たのでは干渉縞しか見えない上に、レンズを使わないピンぼけの写真状態です。 そんなホログラムから、どうやって3次元の像を見るのでしょうか? 思い出してください。記録材料は回折格子になっています。 つまり、この記録材料に光を当てれば、光は直進するほかに回折して進むものがあるはずです。 では、どんな光を当ててやれば、どんな回折光が現れるのでしょうか? ホログラムを再生するためには、記録したときの参照光と同じ光をホログラムに当ててやります。 すると、ホログラムは参照光と物体光が干渉してできた干渉縞を記録しているので、回折光は物体光とまったく同じ形をしたものになります。 つまり、物体からの光の情報が再生されるので、物体がまさに同じ場所に見えるのです。 図を載せます。 ホログラムに参照光と同じ光を当ててやれば、物体からの反射光がまったくそのままの形で再生される。 このために、ホログラムでは見る角度を変えても、その角度から見た物体が見えるのです。 (その角度からの反射光の情報も、もちろん記録されているからですね。) まとめ ---------- -ホログラムは物体からの光の情報を記録したもの。 -光の情報は、参照光との干渉縞として記録されている。 -記録材料は干渉縞を記録した回折格子となる。 -光の情報を再生するには、参照光と同じ光を記録材料に当ててやればよい。 ホログラフィは何に使うの? ========================== 上でも述べたように、立体的な写真を作成できることから、テレビやパソコンなどのディスプレイに応用する研究が進んでいます。また、情報処理においても期待されているのです(ホログラフィの特徴で詳しく説明します)。 現在、このホログラフィが応用されている分野は物理的測定や、セキュリティの分野、そしてCDなどの産業分野です。 ホログラフィが結構、身近にあることがお分かりでしょう! 一番確かめやすいものとして、お札があります。5千円札や1万円札の左下のキラキラと虹色に輝く部分をご覧ください(手元にない方、すいません)。 見る角度を変えると、見える絵も見える色も変わります。これはまさに回折格子であり、すなわちホログラムと言えます。 実はまだまだ他にも、紹介しきれないほどたくさんあるんです。 @@reference:久保田敏弘,ホログラフィ入門,朝倉書店,2004,1-92,4254200862@@ @@author:黒子@@ @@accept:執筆中@@ @@category:波と振動@@