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抵抗力のある落下運動 2
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抵抗力のある落下運動_ では抵抗力が速度に比例する運動を考えました。
そこでは終端速度が $v_{\infty} = \frac{mg}{k}$ となることを学びました。
ここでは抵抗力が速度の二乗に比例する場合にどのような運動になるかを見ていきます。
.. _抵抗力のある落下運動: http://www12.plala.or.jp/ksp/mechanics/resistdown/
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落下運動
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落下時の様子を絵に描くと次図のようになります。
.. figure:: co_vsquare_fig01.png
運動方程式を書くと、
m\frac{dv}{dt} = mg - \kappa v^2 \ \ (\kappa > 0) \tag{#def(eq01)}
となります。ここで $m$ は落下物体の質量、 $g$ は重力加速度、 $\kappa$ は空気抵抗の比例係数になります。
速度の時間変化を求めてみることにしましょう。(#ref(eq01))の両辺を $m$ で割って、式を整理します。
\frac{dv}{dt} & = g - \frac{\kappa}{m} v^2 \\
\frac{dv}{dt} & = g(1-k^2 v^2) \ \ \left(\frac{\kappa}{mg} \equiv k^2 \right)
\frac{1}{1-k^2v^2} dv = g dt \tag{#def(eq02)}
(#ref(eq02))を積分すれば速度変化を求めることができます。
どうすれば積分を実行できるでしょうか。ここでは部分分数分解を利用することにします。
\frac{1}{1-k^2v^2} dv = g dt
\frac{1}{2}\left(\frac{1}{1-kv} + \frac{1}{1+kv}\right) dv = g dt
両辺を積分します。
\int \left( \frac{1}{1-kv} + \frac{1}{1+kv} \right) dv = 2g \int dt
- \frac{1}{k} \ln (1-kv) + \frac{1}{k} \ln (1+kv) = 2g k t + \ln C. \tag{#def(eq03)}
ここで $\ln C \ \ (C > 0)$ は積分定数です。なぜ $\ln C$ などという形で書いたのかは次の式を見ればわかります。
これはよく使われるテクニックです。
\ln \left(\frac{1+kv}{1-kv} \right) & = 2gkt + \ln C\\
\frac{1+kv}{1-kv} & = e^{2gkt + \ln C}\\
\frac{1+kv}{1-kv} & = C e^{2gkt} \tag{#def(eq04)}
さて、これを $v$ について整理すれば、目的としている速度の時間変化が得られます。
計算練習だと思って手を動かしてみましょう。
v(t) & = \frac{1}{k} \ \frac{Ce^{2gkt} - 1}{1+Ce^{2gkt}} \\
& = \frac{1}{k} \ \frac{Ce^{gkt} - e^{-gkt}}{Ce^{gkt} + e^{-gkt}} \tag{#def(eq05)}
定数 $k = \sqrt{\frac{\kappa}{mg}}$ を元に戻してやると、
v(t) = \sqrt{\frac{mg}{\kappa}}
\frac{Ce^{\sqrt{\frac{g\kappa}{m}} t} - e^{-\sqrt{\frac{g\kappa}{m}} t}}{Ce^{\sqrt{\frac{g\kappa}{m}} t} + e^{-\sqrt{\frac{g\kappa}{m}} t}}
\tag{#def(eq06)}
となります。
式を見やすくするために $\sqrt{\frac{mg}{\kappa}} \equiv v_{\infty}$ 、 $\sqrt{\frac{m}{g\kappa}} \equiv \tau$ と置くことにします。
(#ref(eq06))式を書き直すと、
v(t) = v_{\infty}
\frac{Ce^{\frac{t}{\tau}} - e^{-\frac{t}{\tau}}}{Ce^{\frac{t}{\tau}} + e^{-\frac{t}{\tau}}} \tag{#def(eq07)}
こうして $v(t)$ の時間変化を得ることができました。
初期条件として $v(t=0) = 0$ をとってやることにしましょう。
(#ref(eq04)) で $t=0$ 、 $v=0$ としてやると、 $C=1$ が得られます。
したがって、 $v(t=0) = 0$ を初期条件にとったとき、
v(t) & = v_{\infty}
\frac{e^{\frac{t}{\tau}} - e^{-\frac{t}{\tau}}}
{e^{\frac{t}{\tau}} + e^{-\frac{t}{\tau}}}\\
& = v_{\infty}
\frac{\sinh \left( \frac{t}{\tau} \right)}{\cosh \left( \frac{t}{\tau} \right)}\\
& = v_{\infty}
\tanh \left( \frac{t}{\tau} \right) \tag{#def(eq08)}
となります。
このときの速度の変化をグラフに書くと次のようになります。
.. figure:: co_vsquare_fig02.png
速度は時間が経過すると $v_{\infty}$ へと漸近していく様子がわかります。
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鉛直投げ上げ
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おまけとして鉛直投げ上げをした場合の運動について考えてみます。
運動方程式は次のようになります。
m\frac{dv}{dt} = mg + \kappa v^2 \ \ (\kappa > 0) \tag{#def(eq09)}
(#ref(eq01))との違いは、抵抗力につく符号だけです。
(#ref(eq01))と同様にして解いていくことにしましょう。
\frac{dv}{dt} = g( 1 + kv^2) \\
\frac{1}{1+kv^2} dv = g dt
積分しましょう。
\int \frac{1}{1+kv^2} dv = g \int dt
左辺の積分について考えましょう。
$kv = \tan \theta$ と置換すると $dv = \frac{1}{k}\frac{1}{\cos^2 \theta} d\theta$ となりますので、
\frac{1}{k} \ \int \frac{1}{1+\tan^2 \theta} \frac{1}{\cos^2 \theta} d\theta = g \int dt
\int \cos^2 \theta \frac{1}{\cos^2 \theta} d\theta = gk \int dt
\int d\theta = gk \int dt.
積分を実行すると、
\theta = gkt + C
\tan^{-1} \left( kv \right) = gkt + C
v(t) = \frac{1}{k} \tan \left( gkt + C \right).
$C$ は積分定数です。
先ほど定義した $v_{\infty}$ と $\tau$ を用いて書くと、
v(t) & = v_{\infty} \tan \left( \frac{t}{\tau} + C \right) \tag{#def(eq10)}
となります。
初期条件として、 $v(t=0) / v_{\infty} = -1$ をとってみましょう。
$C = -\frac{\pi}{4}$ となりますので、(#ref(eq10))は
v(t) & = v_{\infty} \tan \left( \frac{t}{\tau} - \frac{\pi}{4} \right) \tag{#def(eq11)}
となります。
$\frac{t}{\tau} = \frac{\pi}{4}$ で速度が $0$ となり、あとは上で考えた落下運動へと移行します。
この様子をグラフにすると、次のようになります。赤線が速度変化を表しています。
.. figure:: co_vsquare_fig03.png
@@author: CO@@
@@accept: 執筆中@@
@@category: 力学@@
@@id: vsquare@@