練習問題2. ^^^^^^^^^^^ 座標1と3で、次の関係式を満たしている事を代入する事によって確かめてください。 \bm{v} = \bm{\omega} \times \bm{x} + \dot{r} \frac{\bm{x}}{r} \tag{16} この関係式は速度と角速度を結ぶ一般的な関係式です。 練習問題3. ^^^^^^^^^^^ 前問で確かめた式 $\tag{16}$ を ベクトルの回転_ の無限小回転を参考に成り立つ事を示してください。これではあまりにも不親切なので、ヒントも書いておきます。 (ヒント) 「ベクトルの回転」の"無限小回転"の $\tag{3}$ の法線ベクトル $\bm{n}$ は、今回の場合、常に角速度ベクトルと同じ向きを向く単位ベクトル に等しくなります。つまり次のように書くことができるということです。 \bm{n} = \frac{\bm{\omega}}{|\bm{\omega}|} \tag{17} すると位置ベクトルが動径方向に移動しないとし、 $\bm{n}$ を回転軸とする回転角を $\psi$ と書くとします。 すると"無限小回転"の $\tag{3}$ より、位置の微小変位は次のように書けます。 d \bm{x} = (\bm{\omega} \times \bm{x}) \frac{d \psi }{|\bm{\omega}|} \tag{18} 更に動径方向へも移動する一般の場合を考えます。すると位置の微小変化は動径方向への微小変位も加わり、次のようになります。 d \bm{x} &= (\bm{\omega} \times \bm{x}) \frac{d \psi}{|\bm{\omega}|} + dr \frac{\bm{x}}{r} \tag{19} 次にこれが微小時間 $dt$ の間に運動がなされたとしますと \dot{\bm{x}} = (\bm{\omega} \times \bm{x}) \frac{\dot{\psi}}{|\bm{\omega}|} + \dot{r} \frac{\bm{x}}{r} \tag{20} が成り立つことを示されます。最後に $\tag{20}$ 中の ${\dot{\psi}}$ が角速度の大きさ ${|\bm{\omega}|}$ に等しいことを示してください。 つまり次の式を示せばいいのです。 |\bm{\omega}| = \dot{\psi} \tag{21} これは本文中の角速度 $\bm{\omega}$ の定義と ${\psi}$ の定義を比較することによって説明する事ができると思います。数式を使う必要はありません。 ここまでできますと、 $\tag{20}$ に $\tag{21}$ を代入することによって $\tag{16}$ 式が成り立つ事が示されます。以上の手順に従って計算をすれば、 この問題は解けると思います。 .. _ベクトルの回転 : http://hooktail.org/wiki/index.php?%BA%BA%C6%C9%2F%A5%D9%A5%AF%A5%C8%A5%EB%A4%CE%B2%F3%C5%BE%28Joh%C3%F8%29 練習問題4. ^^^^^^^^^^^^ 座標3上での位置ベクトル、速度ベクトルをベクトル解析の方法で求めてください。実はこの方法の方が実践的です。 ここで、極座標 ${r, \theta , \phi}$ の単位ベクトルを与えておきます(この式の導出方法を忘れた方は後で確認しておく事を勧めます)。 &\bm{e}_{r} = \sin \theta \cos \theta \bm{e}_{x_{1}} + \sin \theta \sin \phi \bm{e}_{y_{1}} + cos \theta \bm{e}_{z_{1}} \tag{22}\\ &\bm{e}_{\theta} = \cos \theta \cos \theta \bm{e}_{x_{1}} + \cos \theta \sin \phi \bm{e}_{y_{1}} + cos \theta \bm{e}_{z_{1}} \tag{23}\\ &\bm{e}_{\phi} = = - \sin \theta \bm{e}_{x_{1}} + \cos \phi \bm{e}_{y_{1}} \tag{24} ここで戸惑っている方もいるかもしれないので補足しておきますと、実は座標3は極座標(球面座標)と本質的には同じものです。 この問題はそれを確認するためのものです。最後に結果がセクション2.の `A.`_ での説明、つまり行列による計算の方法と一致する事を確かめておいてください。 練習問題5. ^^^^^^^^^^^ 角速度をベクトル解析の方法で求めてください。これがいわゆる角速度ベクトルの定義式にあたるものです。これだけでは、不親切なので またまたヒントを書いておきます。 (ヒント) この問題は $\tag{16}$ とベクトルの公式を使えば求まります。具体的には $\bm{x}$ と $\tag{16}$ の両辺の外積を取ります。実際に計算してみると 次のようになります。 \bm{x} \times \bm{v} &= \bm{x} \times (\bm{\omega} \times \bm{x} + \dot{r} \frac{\bm{x}}{r})\\ &= \bm{x} \times (\bm{\omega} \times \bm{x}) + \frac{\dot{r}}{r} {\bm{x} \times \bm{x}}\\ &= \bm{\omega}(\bm{x} \cdot \bm{x}) - \bm{x} (\bm{x} \cdot \bm{\omega})\\ &= \bm{\omega} r^2 上の計算の3段目で、 $\bm{\omega}$ と $\bm{x}$ が垂直である事を用いています。このことはセクション1の説明を見れば、分かると思います。 すると結局、答えは次のとおりになります。 \bm{\omega} = \frac{\bm{x} \times \bm{v}}{r^2} \tag{25} 以上の手順をたどって答えを自分で求めてみてください。余談ですが、 $\tag{25}$ の両辺に慣性モーメント ${mr^{2}}$ をかけることによって角運動量が得られます。 慣性モーメントについては、また別の機会に説明をしたいと思います。少し長かったですがここまでたどりつけば、角速度についての一通りの理解は得られたと言えると思います。 お疲れ様でした。 @@author: ???@@ @@accept: ???@@