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運動方程式
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力学,いえ物理学全体の要となる方程式,それがニュートンの運動方程式です.
運動方程式とはなにか
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運動方程式(ニュートンの第二法則)を現代風に書くと
ある物体が,力 $F$ (と呼ばれるもの)を受けるとき,
その物体には受けた力に比例した加速度 $a$ が生じる
となります.これをつぎのように定式化したものが,
今日ニュートンの運動方程式と呼ばれているものです.
m\bm{a}=\bm{F}
結果=原因
比例定数 $m$ は物体に依存する量であり,力を受けた物体の動きやすさ(慣性)を示す指標です.
これを質量(もしくは慣性質量)と言います.
慣性質量
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「そんなの,秤にかけるればいいじゃないですか」と思ってしまいますね.
実際,それが一番簡単です.
質量の単位は,パリにある「キログラム原器」の質量を $1\,\mathrm{[kg]}$ として定義しています.
この原器と,ある別の物体に同じ力を加えた時に生じる加速度の比が分かれば,
運動方程式より,任意の物体の慣性質量が分かります.
力
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力というものの明確な定義は難しい.式(1) は経験的に導かれた法則でありますが,
これを法則と呼ぶということは,力 $\bm{F}$ というものの概念およぶ定量化の方法が,
なんらかの形で確立された後に発見された式であることを意味する.
しかし,この式の見方を変えると力というものの定義を与えていると考えることができ,
実はそのほうが力というものを明らかにする上で好都合である.
ニュートン以前では,物体が地面に落ちているのは物体自信が持つ性質であると考えられていました.
ニュートンは力という概念を確立し,物体が等速度運動を行わないときには
必ず力というものが働いていると考えたわけです.
このことは万有引力の発見と必然的に結びつきます.
ニュートンの運動方程式によると,ある物体に加速度が生じているとき,
その物体には外力が働いていると考える.
そして力の向きは物体に働く加速度の向きと同じであり,
力の大きさは物体の「質量」と「加速度」の積により表されると定義する.
したがって力の単位は質量,距離,時間の定量的原器によって定められることになる.
ニュートンの運動方程式は単なる等式ではなく,右辺は運動の原因が,
左辺はその結果が記述されており,一種の因果関係が示されている.
このように数式では,しばしば右辺に原因,左辺に結果を書く.
さて,運動方程式の両辺を $m$ で割ると
\bm{a}=\frac{\bm{F}}{m}
となり,物体の加速度の大きさは,物体に働く力に比例するが,
質量に反比例することと,加速度の向きは力の向きと同じであることが分かる.
ニュートンの表現
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現在,運動方程式は $ma=F$ のように書かれますが,
本来ニュートンが表現したものとは少々違っています.
ニュートンはその著書プリンキピアの中で
運動の変化は加えられた起動力に比例し,かつ
その力が働いている直線の方向に沿って行われる.
と言い,運動の量について
運動の量とは,速度と物質の量との積で計られるものである.
と述べています.ですのでニュートンによる表現を忠実に定式化すれば
\frac{d}{dt}(m\bm{v})=\bm{F}
となります.ここで $m\bm{v}$ が運動量と呼ばれる量です.
運動量についてはまた後ほど.
あとがき
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さて,運動方程式についていろいろと書きましたが,
これを読んだからってどうなるわけでもないのですよね(いまさら…).
運動方程式 $ma=F$ とは,その形
@@author:崎間@@
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