===================================== 経路積分とシュレーディンガー方程式 ====================================== 初期の課程では、量子力学で系の振る舞いがシュレーディンガー方程式からどのように計算されるかを習ってきたかと思います。 シュレーディンガー方程式は、2階の微分方程式であるとともに、物質を見出す可能性を示す適切な境界条件も記述しています。 例えば、ポテンシャルが ${\frac{\alpha}{r}}$ でシュレーディンガー方程式が記述されるときの、 原子核のクーロン場の中での電子の運動です。 これは境界条件が「波動関数は ${\frac{1}{R}}$ よりも早くゼロに近づく」としたときは、 水素原子で観測される束縛状態だと、解法としてよく知っていると思います。 また境界条件として散乱に一致する( ${\frac{1}{R}}$ として振舞う)ようなときは、 シュレーディンガー方程式からラザフォードの散乱断面積の公式を導き出す事ができます。 原理として経路積分というものはありませんが、これはシュレーディンガー方程式の解法の1つです。 経路積分による方法は特定の問題においては伝統的な方法よりも、すぐれています。 そして散乱問題がその種の問題に含まれています。 ただし、束縛状態の問題に関しては経路積分の方法は向きません。エネルギー準位の計算はおそろしいほど に骨が折れます。したがって、これから扱う問題は散乱問題に限ることにします。 1次元のシュレーディンガー方程式 --------------------------------- 今、ポテンシャル ${V(x)}$ の1次元シュレーディンガー方程式について考えていきます。