線形微分方程式の解法
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一変数関数の一階の定数係数微分方程式の求積法による解法
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一階の定数係数微分方程式は一般の形は
\frac{dy(x)}{dx}+py(x)&= q(x) \tag{1}
と表す事ができます。 $p$ : 定数 $q(x)$ :関数
求積法
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求積法による解法はどういう仕組みで解を見つけているのかを最も追いやすい解法だと思います。
理解できたら、もう一次元の色々なニュートンの運動方程式が場当たり的でない方法で解く事ができると思います。
解説
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求積法は積分法と $e^{\int p dx}$ $&= e^{px}$ の性質のみを利用した簡単な方法です。
まず積分を簡単にするために $\tag{1}$ の左辺を $\frac{d}{dx}$ $F(x)$ $&=$ $\cdot\cdot\cdot$ という形に変形する事を考えます。
この時に僕たちは $e^{px}$ の微分が $pe^{px}$ となる性質を思い出す必要があります。
これともう一つの公式、積関数の微分における公式
\frac{d}{dx}f(x)g(x)&=\frac{df(x)}{dx}g(x)+f(x)\frac{dg(x)}{dx} \tag{2}
を利用したら都合よく $\frac{d}{dx}$ $y(x)$ $e^{\int p dx}$ $&=$ ( $\frac{dy(x)}{dx}$ $+$ $p$ $y(x)$ ) $e^{\int p dx}$ と目的の形を作る事ができます。
この方法は一般的に良く使うテクニックなので憶えていておいて損はないでしょう。
早速今説明した事を実践してみましょう。 $\tag{2}$ 式に $f(x)$ $&=y(x)$ , $g(x)$ $&=$ $e^{\int{p}dx}$ を代入して計算すると
\frac{d}{dx}y(x)e^{\int p dx} & = \frac{dy(x)}{dx}e^{\int p dx}+y(x)\frac{de^{\int p dx}}{dx} \\
& = \frac{dy(x)}{dx}e^{\int p dx}+y(x)pe^{\int p dx} \\
& = \left( \frac{dy(x)}{dx}+py(x) \right) e^{\int p dx} \tag{3}
となります。更に
(1)式の右辺を(3)式右辺中の $(\cdot)$ に代入すると
\frac{d}{dx}y(x)e^{\int p dx}=q(x)e^{\int p dx}
となります。常に右辺と左辺の式が等式で結ばれることを注意していなければなりません。常に式の形を簡単にできないかと考える
癖をつければ良いのかも知れません。こうしてやっと目的の積分しやすい形にすることができました。
両辺を変数 $x$ で積分で積分すると
\int \frac{d}{dx} y(x) e^{\int p dx} & = \int q(x) e^{\int p dx} dx + C \\
y(x) e^{\int p dx} & = \int q(x)e^{\int p dx} dx + C \\
y(x) & = e^{-\int p dx}( \int q(x) e^{\int p dx} + C)\\
_{\cdot}{^{\cdot}}_{\cdot}y(x) & = e^{-px} (\int q(x) e^{ px} + C)\tag{5}
という一般解が求まります。 $C$ :積分定数
さあ、これで速さに比例する放物線運動の運動方程式などが容易に解けるようになったはずです。
例題)速さに比例する抵抗が働くときの質点放物線運動の運動方程式の解
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ここのページは数学なのでなぜこの運動方程式が成り立つのかには触れません。
この時の運動方程式は
\frac{dv(x)}{dt}&=-kx+g
です。
この式の一般解は $\tag{5}$ 式に $p$ $&=$ $k$ , $q(x)$ $&=$ $g$ を代入したものです。
後はこれに初期条件として $t$ $&=$ $0$ ,初速度 $v_{0}$ を入れてやれば、定数 $C$ も確定します。
実際に計算して見ましょう。答えは力学の記事、〜で確認してみてください。
@@author: おこめ@@
@@accept: 2004-12-13@@