物理のかぎしっぽ 執筆中/光学式エンコーダ(崎間著)/記事ソース の変更点

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 光学式エンコーダ
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 この記事では,「光の干渉」の応用例として,光学式エンコーダを取り上げます.
 エンコーダ [*]_ とは一般にアナログ信号をデジタル信号に変換する装置です.
 
 実験で測定できる物理量は,基本的に連続的なアナログ信号です.
 一方,コンピュータが処理できるのはデジタル信号なので,
 なんらかのデータ処理を施したい場合は,
 取得したアナログ信号をどこかでデジタル信号に変換してやらないといけません.
 その変換を行う装置の一つがエンコーダです.
 
 エンコーダには光学式,磁気式,電磁誘導式,静電容量式などがありますが,
 ここではレーザ光の干渉を利用した光学式エンコーダについて解説します.
 
 .. [*]
   エンコード(encode)とは,「コード化(code)するもの(en)」という意味の言葉です.
   ですから,エンコーダ(encoder)はコード化素子という意味合いになります.
 
 
 光学式エンコーダの概要
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 光学式エンコーダが検出する量は,「変位」です.
 変位というのは,「何ミリ動いた」だとか「何度回転した」などの情報です.
 
 .. image:: opticalEncoder-fig0.png
 
 え,そんなもの,ものさしや分度器で測定すればいいだろう? 
 もちろんそれほど精度が要求されない場合は,ものさしなどでも問題ありません.
 しかし, $10\ [\mathrm{nm}]$ (10ナノメートル = 0.0000001メートル)の精度で測定したい! 
 なんて場合には,ものさしや分度器を使って読み取るのはちょっと無謀ですね.
 そんな微小変位測定に,光学式エンコーダが活躍します.
 
 検出のタイプ
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 検出する変位の種類は,直線上の変位を測るものと,回転角度を測るものの2タイプに別れます.
 直線上の変位を検出するものは「リニアエンコーダ」,
 回転角度の変位を検出するものは「ロータリーエンコーダ」と呼ばれることもあります.
 この記事では,より構造が簡単なリニアエンコーダについて書きます.
 
 検出方式
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 光学式エンコーダは,ダイオードやレーザダイオードから発した光を利用して,
 変位を検出し測定するのですが,その検出原理にはつぎのようなものがあります.
 
 - 光シャッタ方式
 - 格子干渉方式
 - トルボット干渉方式
 
 「光の干渉」の応用という観点から,ここでは格子干渉方式に限定して説明します.
 
 
 変位検出の原理
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 格子干渉方式は,
 
 - 周期格子によって生じた回折光の位相は,格子の移動に伴って変化する
 
 という,原理に基づいて変位の検出を行います.
 格子の干渉についての基礎知識は, `いろいろな干渉1`_ の
 「回折格子による干渉」というセクションをご覧ください.
 
 
 検出器の構成
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 光学式リニアエンコーダの基本的構造は,下図のようになっています.
 
 .. image:: opticalEncoder-fig1.png
 
 レーザーを入射し,回折格子によって回折されて帰ってきた光の位相を検出することで,変位を測定します.
 回折格子とは,
 
 .. image:: opticalEncoder-fig1.png
 
 のようなものでした.これに
 
 .. image:: opticalEncoder-fig2.png
 
 となります.回折格子は「グレーティング」とも呼ばます.
 格子間隔 $d$ のことは,ピッチと呼びます.
 グレーティングにレーザー光を入射させると,反射による回折が起きます.
 回折角 $\theta$ と波長 $\lambda$ の関係は
 <tex>
 P\sin\theta=m\lambda 
 </tex>
 となるのはよろしいでしょうか.
 
 .. image:: opticalEncoder-fig3.png
 
 
 少し変形して
 <tex>
  P\sin\theta = m\lambda
 </tex>
 となります.ここで $m$ は回折の次数です.
 
 
 回折光の位相変化
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 グレーティングが, $x$ 軸の正方向に $\frac{1}{4}d$ だけ移動したとしましょう.
 すると,1次回折光は下の図の実線のようになります.
 
 .. image:: opticalEncoder-fig3.png
 
 移動前の1次回折光と比べ,移動後の回折光は位相がずれることになります.
 どれくらいずれるかというと
 
 より,
 
 センサからの出力 $I(x)$ は
 <tex>
  I(x)
  &=
   \left[
   \exp \left\{i\left(\phi_0 - \frac{2\pi x}{d}\right)\right\}
   + \exp \left\{i\left(\phi_0 + \frac{2\pi x}{d}\right)\right\}
   \right]^2
  \\
  &=
   2\left(1+\cos\frac{4\pi x}{d}\right)
 </tex>
 
 
 
 <tex>
  I(x) &=
  \exp \left\{i\left(\phi_0-\frac{2\pi x}{P}\right)\rigth\}
  + \exp \left\{i\left(\phi_0+\frac{2\pi x}{P}\right)\right\}
 </tex>
 
 &= 2\left(1+\cos\frac{4\pi x}{P}\right)
 と表せます.ここで $\phi_0$ は初期位相.
 
 
 
 ロータリーエンコーダの場合
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 <tex>
 I(\theta) = 2\{1+\cos(2N\theta)\}
 <\tex>
 
 
 
 構造
 ------------------------------
 
 - グレーティングを刻んだ板
 - レーザを用いたセンサ
 
 
 
 .. _`いろいろな干渉1`: http://www12.plala.or.jp/ksp/wave/interferences1/
 
 @@reference: 河西 敏雄, 超精密生産技術大系 (第3巻), フジ・テクノシステム, 1995, 187-195, 4938555476@@
 @@reference: www.shimadzu.co.jp/opt/guide/index.html, 回折格子(グレーティング)/島津製作所@@
 
 @@author: 崎間@@
 @@accept: 査読中@@
 @@category: 波と振動@@
 
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