物理のかぎしっぽ 記事ソース/語源をかんがえる の変更点

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 語源をかんがえる
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 博打(ばくち)
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 意味:まず、一つ目は「花札やトランプなどを使って、金品をかけ勝負すること。」という意味である。
 賭博という言葉もこの一つ目と同じ意味になる。江戸時代に流行したもので、代表的な賭博に「丁半賭博」がある。
 これは、二つの賽(さい)を入れた壷を盆ござの上に振って、出た目の合計数で競うものになる。
 この丁半賭博は任侠映画や時代劇などで目にしたことがある方も多いのではないだろうか。
 また、博打やギャンブルを職業のようにしている人のことを「博打打ち」という。
 最近では、博打打ちと表現することは少なく、ギャンブラーと言ったりする。
 そして二つ目は「偶然の成功をねらい試みる危険な挑戦。」という意味になる。
 博打とは金品を賭けた勝負をすること。成功の可能性は薄いが、思い切ってすることと言われている。
 
 語源:博打は「ばくうち」と呼ばれていたものが変化し、「ばくち」となった。
 「博」は双六(すごろく)などサイコロを用いた遊びを意味し、金品を賭ける意味を含むことも多かった。
 「打」は古くから賭け事を行うことを意味する「うつ」である。また「博奕」と書くのは中国語からで、
 「ばくえき」「ばくよう」「博徒」(史記、漢書などにみられる古語)ともいわれる。
 同じ意味を持つ「博戯(はくぎ)」からの転とする説もあるが、
 このような音変化は他に類がないため定かな説ではない。
 またインドに25(pacis)という宝具を高いところから投げる遊戯があり、
 これをレプチャ人はpan-ciという。日本へ持ち込まれて訛ってバクチとなったという説もある。
 (「日本語の祖先」p137)続日本記の文武天皇2年7月に「禁博戯遊手之徒」とあるから、
 それ以前に中国から伝わったと考えるべきであろう。
 私は中国から伝来した説に賛成である。レプチャ人のものには壮大な夢があるが、
 レプチャ人と博打の関係性は調べようがなく、確証が掴めなかったのである。
 またばくちで裸一貫になることの意から、魚のカワハギのことを指すこともある。
 石川県輪島の方では「ばこち」と訛る。春雨物語や古今著聞集、史記抄などにも博打は登場する。
 
 酸漿(ほおずき)
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 意味:ほおずきとはナス科の多年草。夏に黄白色の花が咲く。
 その後、がくが大きくなって橙赤色に熟す。根は漢方で鎮咳薬や利尿薬とされる。
 
 文化史:佐渡では正月7日の七草粥のときにネブト(瘍・よう)ができないようにと祈ってこれを食べる習慣がある。
 またお盆には盆棚の飾りに吊り下げる。民間薬としては、長野県秋山郷では全草を採って干して、
 腹の冷え性に煎服するほか、神経痛、疝気には干したものを入れて入浴、
 腹痛には実の赤い皮を削いで、熱湯で飲む。木曽では夜尿症に熱した果実を食べる。
 遠山郷ではシモヤケに果実を瓶に入れて腐らせ、患部に塗る。佐渡では果実を生食すると回虫を駆除し、
 子供のカンを治す、茎葉の煎じ汁は風邪の解熱に効果があるとされている。
 また実や根を乾かして煎じて飲むと、咳止め、利尿、痛風、下痢によいとされている。
 ちなみに遊びとして実の中身を取り除き、袋状にしたものを口に入れて鳴らす遊びは、
 平安時代の『栄華物語』に記載されている。7月の浅草寺でのほおずき市は幕末から始まり、
 当時は子供のカンの虫封じの薬として売られていた。
 
 語源:ほおずきの歴史的仮名遣いは「ほほづき」で語源は以下の通り諸説ある。
 
 1.実が人の頬の紅色ににていることから「顔つき」や「目つき」などと同じような言い方で「頬つき」
 からとする説。
 2.果実から種子だけを取り除き、皮だけにしたものを口に入れて膨らまして鳴らす遊びがあることから
 「ほほつき(頬突き)」からとする説。
 3.「ホホ」というカメムシ類の虫がこの植物に集まってくることから、ホホがつく意味とする説。
 4.実が火のように赤いことから「ほほつき(火火着)」からとする説。
 5.ほおずきの方言は全国的に「ふづき」が多いことから、
 陰暦七月の「ふづき・ふみづき(文月)」が「ほおずき(ほほづき)」になったとする説。
 
 私は上記の説の中で人の顔に見立てたとする1の説が有力だと思う。
 その理由としてほおずきの別名には「ぬかづき(ぬかずき)」や「かがち・あぁがち(輝血)」があり、
 「ぬかづき」の「ぬか」は「額(ひたい)」のこと、「かがち・あかがち」を「輝血」と書くのは当て字で、
 「赤がち(「がちは病気がち」などと同じ意味)」を意味しており、
 顔に見立てている点や「つき」と「がち」の用い方が似ているためである。
 ほおずきの漢字には「酸漿」と「鬼灯」があり、「酸漿(さんしょう)」は漢方などに用いる漢字で
 「鬼灯」は実が赤く怪しげな「提灯」の印象からである。
 英名には「ground cherry」のほか「提灯」を意味する「chinese lantern」もあり、
 「鬼灯」の漢字に通じる命名である。
 
 ハヤシライス
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 語源:ハヤシライスの語源を大まかに分けると、
 
 1人名に由来する説、
 2英語「hashed(ハッシュド)」に由来する説、
 3「早い」に由来する説がある。
 人名に由来する説は、丸善の創業者である早矢仕有的が考案したことから
 「ハヤシライス」になったという説や、レストラン「上野精養軒」の林というコックが考案したことから
 「ハヤシライス」になったという説がある。英語「hashed(ハッシュド)」に由来する説は
 「hashed beef with rice(ハッシュドビーフ・ウィズ・ライス)」など「ハッシュドビーフ」を、
 基にした説でその略や「hashed(ハッシュド)」が訛って「ハヤシ」になったり、
 「ハヤシライス」になったといわれる。Hashed riceがハイシライスになり、ハヤシライスに転じたという説もある。
 (ジャパンナレッジ)「早い」に由来する説は、肉食が解禁されたばかりの時期で、
 まだ牛肉が受け入れられていなかったことからこの料理を食べると早死にするといわれ、
 「ハヤシライス」と呼ばれるようになったとする説や。注文してすぐに出るので、
 「早しライス」から「ハヤシライス」になったとする説である。
 ハヤシライスとハッシュドビーフは基本的に似た食べ物で、音も近いことから、最も有力とされるが、
 「ハッシュ(ハッシュド)」から「ハヤシ」への変化は考え難いものがある。
 次いで有力とされる丸善の「早矢仕ライス」の説はできすぎた話との見方が強いが、
 早矢仕が贔屓にしていた「三河屋」でハッシュドビーフが流行っており、
 これをごはんにかけたことから「ハヤシライス」になったとも言われ、
 全く関係がないとも言いきれない。事実、『あのメニューが生まれた店』(平凡社2013)にも
 ハヤシライスは丸善から生まれたと紹介されている。「ハッシュ」から「ハヤシ」への不自然な音変化は
 「ハッシュ」と「早矢仕」がかけられたものか、「ハッシュ」を日本人が聞きなれた「ハヤシ(林)」という音に
 近づけたものと考えれば不自然ではなく、「ハヤシライス」は複合要因で生まれた名前と考えるのが妥当であろう。
 私は丸善の「早矢仕ライス」に賛成である。これらの記述を知る前はハッシュドビーフライスだと信じ込んでいたが、
 早矢仕さんから生まれたメニューとする方が、レシピも現存するし、確証がある。
 国民食カレーに匹敵するまでになったハヤシライス。ぜひ丸善のレストランを訪れてみたい。
 
 @@reference: 菊地武顕,あのメニューが生まれた店,平凡社 ,2013,p1-p127,4582634869@@
 @@reference: 山中喪太,国語語源辞典{正},校倉書房 ,1976,p1-p637,4751709704@@
 @@author:きり@@
 @@accept:2019-12-10@@
 @@category:文学@@
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