物理のかぎしっぽ 記事ソース/ボイル-シャルルの法則の導出 の変更点

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 ボイル-シャルルの法則の導出
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 ここでは、ボイルの法則とシャルルの法則からボイル-シャルルの法則を導く方法を、具体的に説明し
 たいと思います。
 
 
 大まかな方法
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 最初に、導出方法をおおまかにお話します。次の図をご覧ください。
 
 .. image:: tomi-boylecharle-fig2.png
    :align: center
 
 ボイル-シャルルの法則を導く際、図中の三状態、 A、B、C間の移動を考えます。つまり、まず **圧力を一定に保ったまま** AからBへ移動し、次に **温度を一定に保ったまま** BからCへ移動する、という手法をとるのです。勘の良い方ならもうお分かりですね! 
 気体の三法則_ の中でお話ししたように、「圧力を一定に保った時」成立するのは *シャルルの法則* 、「温度を一定に保った時」成立す
 るのは *ボイルの法則* です。ということは、これらの法則を順に適用していけば、ボイル-シャルルの法則を導くことができるわけです!
 
 .. _気体の三法則: http://www12.plala.or.jp/ksp/thermo/threelawsofvapor/
 
 
 シャルルの法則の適用
 `````````````````````
 
 では実際に導出していきましょう。上図の状態Aの時の気体の体積と温度をそれぞれ $V_{A},T_{A}$ 、状態Bの時の気体の体積と温度をそれ
 ぞれ $V_{B},T_{B}$ とします。ここで $T_{i}(i=A,B)$ は 絶対温度_ です。気体の状態が圧力を一定に保ったままAからBに移動するので、
 シャルルの法則より
 
 <tex>
 \frac{V_{A}}{T_{A}}=\frac{V_{B}}{T_{B}}
 </tex>
 
 すなわち
 
 <tex>
 V_{B}=V_{A}\frac{T_{B}}{T_{A}} \tag{1}
 </tex>
 
 が成り立ちます。
 
 
 .. _絶対温度: http://hooktail.maxwell.jp/kagi/af9401e933f52baf82fb7815f3dfa2b1.html
 
 
 ボイルの法則の適用
 `````````````````````
 
 次に、状態Bの時の気体の圧力を $P_{B}$ 、状態Cの時の気体の圧力と体積をそれぞれ $P_{C},V_{C}$ とします。気体の温度を一定に保っ
 たままBからCに移動するので、ボイルの法則より
 
 <tex>
 P_{B}V_{B}=P_{C}V_{C} \tag{2}
 </tex>
 
 が成り立ちます。
 
 
 ボイル-シャルルの法則へ
 ````````````````````````````````
 
 いよいよボイル-シャルルの法則を導出します。式(1)を式(2)に代入してみましょう。すると、
 
 <tex>
 P_{B}V_{A}\frac{T_{B}}{T_{A}}=P_{C}V_{C}
 </tex>
 
 となります。これを整理すると、
 
 <tex>
 \frac{P_{B}V_{A}}{T_{A}}=\frac{P_{C}V_{C}}{T_{B}} \tag{3}
 </tex>
 
 となります。状態AからBへの移動では、圧力が一定なので $P_{A}=P_{B}$ 、状態BからCへの移動では、温度が一定なので $T_{B}=T_{C}$ 
 です。これらを式(3)に代入すると、
 
 <tex>
 \frac{P_{A}V_{A}}{T_{A}}=\frac{P_{C}V_{C}}{T_{C}} \tag{4}
 </tex>
 
 が得られます。状態Aも状態Cも共に状態のある一点なので、 $P_{i},V_{i},T_{i}(i=A,C)$ はそれぞれ、ある特定の値であることがお分か
 りいただけると思います。ゆえに式(4)は
 
 <tex>
 \frac{P_{A}V_{A}}{T_{A}}=\frac{P_{C}V_{C}}{T_{C}}=Const. \tag{5}
 </tex>
 
 となります。(ここで $Const.$ とは定数(constant)を表します)。この定数を $R$ とおくと [*]_ 式(5)は
 
 <tex>
 \frac{P_{A}V_{A}}{T_{A}}=\frac{P_{C}V_{C}}{T_{C}}=Const.=R \tag{6}
 </tex>
 
 となり、式(6)は任意の状態の圧力 $P$ 、体積 $V$ 、(絶対)温度 $T$ について
 
 <tex>
 \frac{PV}{T}=Const.=R \tag{7}
 </tex>
 
 が成り立っていることを表します。式(7)より、
 
 <tex>
 PV=RT \tag{8}
 </tex>
 
 とすることができます。式(8)は、ボイル-シャルルの法則、そのものですね!これで無事、導出が完了したことがわか
 ります。
 
 .. [*] この $R$ は、 *気体定数* と呼ばれるものです。気体定数の値を定める時、扱う気体の量は *1モル* であることが決まっています。詳しくは、関連記事 気体定数_ をご覧ください。
 
 .. _気体定数: http://hooktail.maxwell.jp/kagi/6a3c21817209c18ae1b9b96fd7d8d133.html
 
 @@author:トミー@@
 @@accept:2006-03-28@@
 @@category: 熱力学@@
 @@reference: 戸田盛和・市村純, 物理入門コース/演習4 例解 熱・統計力学, 岩波書店, 1991, 6-7, 4000077945@@
 @@id:boylecharle@@
 @@reference: 戸田盛和・市村純, 物理入門コース/演習4 例解 熱・統計力学, 岩波書店, 1991, 6-7, 4000077945@@
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