物理のかぎしっぽ 欲しい記事/50 のバックアップソース(No.18)
* 水泳の脚運動で,「カルマン渦の放出による推力」が発生するか? [#vbeccbdb]
-ページ: [[欲しい記事]]
-投稿者: mNeji
-状態: 終了
-担当者: ---
-カテゴリー: 流体力学
-投稿日: 2006-06-11 (日) 18:53:47

** メッセージ [#a481bf40]
私はリハビリテーションで水泳に取り付かれた老人です.平泳ぎの脚の動きを観察していると,足の裏で水を押しのけた後,左右の脚が伸びながら閉じる時に推進力を感じます.これは良く知られた現象のようです.他方,クロールでも,脚に捻じりを加えながら脚を伸ばすと,左右の脚が合わさる時に推力を感じます.

平泳ぎでは「脚が閉じる時に水を押し出す」からだと言う説明が在りますが,私の感触では,カルマン渦の放出による反作用のようだと思います.

この問題は非定常な流体現象で難しそうですが,お若い方の馬力でブレーク願えませんか?

** 返答 [#w69a2f9a]
- mNejiさん、書き込みどうもありがとうございます。確かに水泳中の抵抗は渦の発生による誘導抵抗が大きいとは思いますが、非定常問題であることと恐らく乱流であること、水面(境界条件)が一様ではないことなどにより、かなり理想化しても計算は非常に困難だと思いますし、抵抗はカルマン渦よりも複雑な渦によるものだと思います。水はナヴィア・ストークス方程式に支配されるとしても、一次の非線形解を得るだけでも無理だと思われます。カルマン渦だけの抵抗は古典的問題ですが、カルマンの論文は数十ページに及ぶ計算だらけのものですので、計算方針自体はストレートですが、記事にするのは困難です。否定的なことばかり書きまして申し訳ございませんが、流体力学の記事さえ整っていませんので、いきなり水泳モデルの計算は難しいというのが私見です。もう少し簡単なモデルから始めるか、純粋に流体力学の問題としてカルマン渦だけを考えることなら可能かも知れません。 -- [[Joh]] &new{2006-06-13 (火) 22:59:09};

** 返答 [#nb4b5a92]
Johさん,論議を戴き感謝いたします.こちらに質問をした後,いろいろな解説を拝見しました.自分も,遠い昔,物理を専攻していたのですが,幾つかの解説に触れていて,懐かしいものの,大部分が忘却の彼方です(泣).でも,数学など別の世界の話と思っていましたが,楽しく見せて戴きました. -- [[mNeji]] &new{2006-06-14 (水) 02:27:38};

当然,流体力学も,一般物理の教科書のレベルしか知りませんでした.ところが水泳の解説が理解できなくて,簡単なモデル計算などを始めました.面白い事に,水泳の「伏し浮き」のバランスは,Johさんの「オートジャイロの静的安定性」と類似の話であるようです.

-http://www.as-ia.co.jp/mNeji/swim/ykwk/wiki.cgi?%bf%e5%b1%cb%2f%b2%f2%c0%e2%a4%ce%bc%ef%2f%a1%d6%b6%da%a1%a6%b9%fc%b3%ca%a1%d7%a4%c8%a1%d6%bf%c8%a4%ce%a4%b3%a4%ca%a4%b7%a1%ca%bd%cf%a4%b7%a1%cb%a1%d7%2f%c9%fa%a4%b7%c9%e2%a4%ad%a4%ce%b9%cd%a4%a8%ca%fd

他方,最近は,工学部系の研究室が水泳の解析をされていますが,あまりにも計算がブラック・ボックス化されており,水泳をする側として,どのように考えて,体を動かせば良いのか理解できないという問題があいます.

+東大
+防衛大
+東工大

他方,体育系の研究室では,実測により

+体全体の抗力係数
+手の部分の抗力係数・揚力係数

などがえられているようです.

同じスポーツの世界でも,ボート系の分野では,オールの動きと抗力・揚力の関係を検討されています.ところが,水泳では,Johさんのご指摘のように,

+体が運動に伴い,水上と水中を行き来する
+造波抵抗すらあり
+非定常・非線形
+クロールではローリングが大きな回転角で発生する

と,悩みが深いわけですね.この際;

+難しい数値計算に付いては,工学系の研究論文をステップ・バイ・ステップで勉強しながら
+実測値について,流体力学的な解釈を明確にし,
+渦放出過程を,大雑把な足の運動モデルでシミュレートできないか?

といった展開がありえないか,と思うのです.


他方,自分の脚動作を見ていると,脚が伸びきる寸前に,「足の甲」の面が回転するのです.その時に「渦が発生する」と感じています.

>ひょっとすると和船の「櫓(ろ)」の動きに近いのかもしれません....

と,如何にも見たように申し上げているのは,先日テレビで「巨大な蛾の飛行」をシミュレートしたり実働モデルを作って実測したりする番組を拝見したのです.たしか千葉大・理研の話だったと思います.

その映像では,羽根が一回振り下ろす時に,羽根の根元から渦巻きが羽根の先端に成長しながら移動し,振り上げる時に羽から放出するようにみえました.

自分の足でも類似の現象が起きないか....と推測するわけです.例えば,足の断面を二等辺三角形としてその,並進・回転によって渦を生成し,放出できるかを算出してみる.当面は2次元近似で,十分水中とする.

飛行機の翼の計算では,複素関数の写像を使って翼形状を出すとおもいますが,渦のベクトル・ポテンシャルについて複素関数などを使えないでしょうかね.

いずれにしろ,定性的な話で申し訳ありません.気長な話なので,時間がとれたら遊んでみてくだされば,ありがたいです.

-自分のWiki(YukiWikiベースに変更)との違いに混乱してしまいました.
-もし宜しければ,見苦しいところを整形くだされば,幸いです.
- mNejiさん、ご提案・ご意見ありがとうございます。かなり物理にお詳しいお方と推察致しました。物理のかぎしっぽプロジェクトの記事にするには、困難もしくは時期早尚なトピックだと思いますが、個人的には興味深い話です。私の専門は、飛行力学ですが、特に回転翼の誘起速度分布解析をやっています。翼型で複素ポテンシャルと等角写像を使えるのは古典的な二次元問題だけになりますので、三次元問題はやはり渦糸の分布とヘルムホルツの定理によって誘起速度を考え、定常速度場を解析するしか方法はないようです。水の場合は粘性が強いですから、渦糸は後流に長くは残らないと思いますが、mNejiさんの御指摘通り、体が半分水面に出ている状態では造波抵抗が大きいと思います。昆虫の飛行についてはまだ分かっていないことが多いのですが、レイノルズ数が小さいため飛行機とは振る舞いが大きく異なり、同じ飛行理論を適用できません。特に他の昆虫と、蝶や蛾の飛び方は大きく異なります。水泳のモデルに利用するのは難しそうです。大雑把な計算ならば、幾つかのパラメータで入力ベクトルと出力ベクトルを作り、偏導関数を逐一実験データから決めていくのが一番簡単だと思います。また、成果が出たら教えて下さい。今後ともご教授・ご鞭撻のほど宜しくお願い致します。 -- [[Joh]] &new{2006-06-14 (水) 03:32:57};
- 早速のご説明ありがとうございます.「回転翼・誘起速度」で検索したところ,神戸大学よりヘリコプターの事例が2つありました.当面,この文献から知見を広げてみたいと思います.「水の場合は粘性が強いですから、渦糸は後流に長くは残らないと思います」といった定性的なご説明も素人にとってはとても興味あることです.「大雑把な計算ならば、幾つかのパラメータで入力ベクトルと出力ベクトルを作り、偏導関数を逐一実験データから決めていくのが一番簡単だと思います。」は面白そうですが,参考事例はありますか?お時間があるときにご回答くだされば幸いです. -- [[mNeji]] &new{2006-06-14 (水) 11:23:58};
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- 何気なく「カルマン渦」と書いてしまいましたが,カルマン渦は左右二系統の渦が交代に発生することを意味するようですね.従って,自分の質問の名称には適切でないようです.他方,johさんのご解説から幾つか検索して見ましたが,板状の物体が非定常にスナップ運動するような計算はとてもあり得ないことは理解しました.

-水泳では,スカリングという掌運動があります.要は掌を翼とみなして水の中を平行移動して,揚力を利用します.仰角を45°程度にして動かしますと,手の甲側に1つの渦が発生します.これは定常的な渦とおもいます.この渦は,手の進行方向の裏側になります.カルマン渦も同様に川下に渦が出来て,流れ去ります.

-水泳の脚運動に焼き直すと,足の甲で水を押し出している時,渦の出来るのは「足の裏側」になると思います.従って,水泳の観点からすると出来た渦を後方に放出するには,「足の裏側に生じている渦を後方に押し出す」運動になるでしょう.当面,風呂とプールで遊んでみます.並行して,流体力学は不得意ですが,電磁気のベクトル・ポテンシャルのような処方箋があるように推測されるのでゆっくりと勉強してみます. -- [[mNeji]] &new{2006-06-15 (木) 02:38:00};
- また分かったことがあれば御報告ください。 -- [[Joh]] &new{2006-06-16 (金) 10:37:41};
- ナヴィエ・ストークスの式をおさらいしました.粘性はせん断力からの寄与があるのを今更ながらに理解しました.空気に比べて水は粘性が高いから渦が出来易い代わりに,出来た渦は廻りの水からズレの力を受けるので,渦は消失しやすいのですね. さて,今回の提案は,名称も適切ではなく,実験的事実確認もされていません.その意味では「欲しい記事」に該当しないと思います.ついては,「提案の取り下げ」が相当とおもわれます.宜しくお願いします.なお,Johさんのコメントに触発されて,流体力学に正面から取り組む元気がでたことを感謝いたします.研究と解説と両面のご活躍を! -- [[mNeji]] &new{2006-06-17 (土) 01:12:14};
- もしよろしければ、メンバーになって勉強の成果を発表していただくと心強いです。この活動は趣味ですので、研究を頑張ります!!ありがとうございます。 -- [[Joh]] &new{2006-06-17 (土) 03:41:00};
- 先日,Johさんのオートジャイロの記事を拝見し,コメントしようとしたのですが,パスワードで跳ねられました.そこで,崎間さんにメイルはお出ししているところです.なお,現在,風呂場実験で「渦の感触」を観察しながらアプローチ法を想像している段階です.どちらかというと水泳の論議が主です.粘性の効果をある程度,パラメータに押し込んで説明できるようになると素敵かもしれません.掌を動かすとき,初動に力が結構掛かるのも,粘性の為なのでしょうかね. -- [[mNeji]] &new{2006-06-17 (土) 13:02:26};
- だいぶ,横道それていますが,イメージと概略な考え方は判りました.一応,質問は終了させていただきます. -- [[mNeji]] &new{2006-09-12 (火) 14:35:01};

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