原子が一個の場合のところ †
メッセージ †
『電子は原子核の周りを回っています.原子核に近い,小さい半径の軌道を回っている電子は,エネルギーが低く,大きな軌道を回っている電子はエネルギーが高い状態です.
また,量子力学によると,「電子が取りうるエネルギーの値はとびとびである」という結果が得られます.つまり,電子は半径がとびとびの軌道を回っていることになります.』
のところですが、電子がとりうるエネルギーがとびとびであるというところまでは、良いのですが、半径がとびとびであるというのは間違いだと思います。電子の状態はあくまで存在確率の分布として与えられるので、半径は基本的に定義できません。”量子力学によると”と書くのであれば電子が回っているというのもなんとなく違和感を感じてしまいます。
エネルギー準位の絵ですが、原子一個の場合のシュレディンガー方程式を解くとエネルギー準位の間隔は主量子数nが大きくなるにつれて小さくなっていくので、そのように書く方が良いような気がします。
返答 †
- ご指摘ありがとうございます。確かに仰るとおりです。しかし、今、量子力学の細かい話に立ち入りたくなかったために、古典論的表現を使いました。(つまり、電子は原子の周りを粒子として回っているモデルを。)古典論的解法では、ボーアの量子条件を用い、原子核との引力が円運動においての中心力相当する円軌道を回る、とびとびの軌道半径を得ることが出来ます。もちろん、実際には電子雲として確率的に分布しているため、この軌道半径に意味はありませんが、初めての方にイメージしやすいよう、分かりやすいよう、あえてそのことには言及していません。もちろん、量子力学を学んだ方にとっては突っ込みどころが満載で、違和感を感じるかもしれませんが、あくまでも、「予備知識を持ってない方へ、イメージしやすいよう」に書いたためです。量子力学に深入りしたくないのですが、いかがでしょう? -- 篠原
- エネルギー準位について、確かに主量子数nが大きくなるにしたがって、エネルギーの間隔は狭くなっていきますが、実際にはエネルギーは方位量子数lにも依存しますよね?軌道を順に1s,2s,2p,3s,3p,3d、と並べた場合、必ずしもエネルギーの高いほうが間隔が狭くはならないと思うのですが、いかがでしょうか?? -- 篠原
- 「古典論的解法」という言葉は、あまり一般的ではないですね。「古典的解法」です。 -- 篠原
- 古典的解法の補則:もしかしたら、半導体の分野のみで使われている手法かもしれませんので、補則致します。電子の運動は本来、シュレーディンガー方程式を用いて記述されるものです。しかし、やはり電子の粒子性、波動性などを考えながら、各々の問題について一からシュレーディンガー方程式を用いて解を求めることは、非常に数学的腕力が要り、またイメージしにくいものでもあります。そこで、「有効質量」の概念を用いて、シュレーディンガー方程式をニュートンの運動方程式に帰着させ、完全に粒子性のみを考えて問題を解く方法を古典的解法といいます。これを用いてトンネル効果などの説明をすることはやはり不可能ですが、物質内を移動する電子や正孔を考える上では、ある程度精度よく、かつイメージしやすく、簡単に問題を解くことができ、非常に有効な方法です。また、「有効質量」は完全に量子力学に沿った方法で求めることができ、理にかなった方法であると言えます。この方法を用いて、電子の軌道を円運動で記述し、得られた結果は、やはりある程度の誤差を含みますが、直感的にイメージしやすく、初めての方にもイメージしやすいと考え、「とびとびの軌道」という表現を使いました。このような方法、半導体の分野のみでしょうかね??NOBUさん、「有効質量」とか、耳にしたことありませんか??? -- 篠原
- ん〜、「前期量子論では…」とか書いてあれば良いのですが、「量子力学によると」と書いてあるのでどうも気になります。 -- NOBU
- エネルギー準位に関してはたしかにそうですね。今ので良いと思います。 -- NOBU
- 有効質量はシュレディンガー方程式をニュートンの運動方程式に帰着させるわけではなく、電子同士の反発の効果(ポテンシャル)をその中に押し込んで解く方法だと認識しています。 -- NOBU