#rst2hooktail_source ================================ 真性・外因性半導体(上級編) ================================ 導入編、中級編では真性半導体、N形P形半導体の違いについて説明してきましたが、ここではそれらを特徴付ける最も重要なパラメータである「フェルミ準位」について説明します。 まずは金属の話から ------------------------------- 一度、半導体からはなれて、金属の話をすることにしましょう。 `導体・絶縁体・半導体`_ で見たとおり、金属では、あるバンドの中心付近で、電子の詰まった領域と、電子のからの領域が別れているのでしたよね? .. _導体・絶縁体・半導体: http://www12.plala.or.jp/ksp/solid/differenceOfResistance/ .. image:: shino-PNI-typeSemiconductor-upper-fig1.png しかし、ある有限の温度(例えば300K、室温)では、実際はきれいに二つの領域に別れているのではなく、グラデーションがかかったように、徐々に電子の密度が変わります。この、グラデーションの部分を拡大してみてみると・・・ .. image:: shino-PNI-typeSemiconductor-upper-fig2.png こんな感じの図になります。これをグラフにあらわしたのが右側の図です [*]_ 。こんな感じにグラデーションがかかっていることを、覚えて置いてください。 ここで、 $E_F$ という重要なパラメータが出てきます。 $E_F$ は、 *フェルミ準位(フェルミレベル、フェルミエネルギー)* と呼ばれるもので、 *「ちょうど電子が半分だけ詰まったところでのエネルギー」* を指します。 .. [*] この関数のことを、 *フェルミディラック分布関数* といいます。詳しくは、またの機会に勉強することにしましょう。 真性半導体 ------------------------------- 半導体は、基本的に絶縁体型バンド構造をしています( `導体・絶縁体・半導体`_ を見てください)。バンド構造が絶縁体型であるために、非常に純粋な半導体はとても高い抵抗率を持ちます。このように、非常に高純度で、不純物をほとんど含まない半導体を真性半導体といいます。 .. _導体・絶縁体・半導体: http://www12.plala.or.jp/ksp/solid/differenceOfResistance/ 外因性半導体 ------------------------------- 真性半導体に対して、格子欠陥や不純物が存在するために電子あるいは正孔のどちらかが多くなっている半導体を外因性半導体といいます。外因性半導体には、n形半導体とp形半導体の2種類あります。どちらも真性半導体に不純物原子を添加して作ります。 n形半導体 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ 電子が過剰に存在する半導体をn形半導体といいます。 p形半導体 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ 正孔が過剰に存在する半導体をp形半導体といいます。 @@author:篠原・トミー@@ @@accept:2005-10-27@@