物理のかぎしっぽ 記事ソース/心理学過去問 のバックアップソース(No.2)
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心理学過去問
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■忘却の要因
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長期記憶の忘却の要因については、減衰説、干渉説、検索失敗説が提唱されている。

■記憶の減衰説
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心理学者のバートレットは、実験参加者に物語を記憶させた後、一定の保持期間の後に再生テストを繰り返す反復再生法の実験を行っている。この実験結果によると、物語の再生量は保持期間が長くなるほど減少することが明らかになっており、これは記憶の減衰説と呼ばれる。バートレットはさらにその実験から、再生内容の変化に下記のような特徴があることを明らかにし、これらはスキーマの働きによるものであると考えた。物語の細部や、馴染みの薄い事柄などは省略される。つじつまの合わない事柄は、情報が加えられ合理的な説明がされる。物語のある部分が強調されて、中心的な位置を占めるようになる。馴染みの薄い言葉は、馴染みのある言葉に変えられる。出来事の順序が、辻褄が合うように入れ替えられる。物語への実験参加者の態度や情動が、再生に影響する。

■記憶の干渉説
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ジェンキンスとダレンバックは、実験参加者に意味のない10個の単語を完全に記憶させ、一定の時間睡眠をとった場合と睡眠をとらない場合の忘却の程度を比較する実験を行っている。その結果、睡眠をとらない場合のほうが睡眠をとった場合よりも忘却の進行が早いことがわかった。この結果から、覚醒時の方が睡眠時よりも多くの情報を取り入れるため、より多くの干渉が生じたのだと彼らは考えた。つまり、忘却は時間経過によって減衰するのではなく、他の情報との干渉によって忘却が進んでいくと考えたのである。これが干渉説である。干渉には2種類あり、ある事柄についての記憶が、それ以前に経験した記憶によって干渉を受けることを順向抑制と呼び、その後に経験した記憶によって干渉を受けることを逆向抑制と呼ぶ。

■検索失敗説
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日常生活の中で、あるきっかけによって記憶が思い出されることがある。この事実から、忘却とは記憶が消去されるという単純な現象ではないのではないかと、心理学者たちは考え、様々な実験を行っている。単語を記憶させるときに、その単語のカテゴリーに属する単語を記銘材料とし、そのカテゴリー名を手がかりとして与えた場合と与えない場合での、単語の再生を比較する実験が行われている。この実験の結果、手がかりが与えられていない場合には再生できなかった単語でも、手がかりが与えられると再生できる場合があることが判明し、再生できないことが忘却ではないことが示されている。他の実験では、記銘時と再生時の実験参加者の情動状態や環境的文脈が異なる場合よりも、同じ場合のほうが再生成績は良くなることが明らかにされており、これは記憶の状態依存性と呼ばれている。

■ポルトマンの生理的早産
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馬の赤ちゃんは、生まれたその日から走ることができるし、猿の赤ちゃんは、生まれてすぐママにしがみつくことができる。一方で、人間の赤ちゃんは、生まれたての頃はとても未熟な状態で生まれてくる。立ったりしがみついたりすることはもちろん、手足を自由に動かすこともままならず、授乳やおむつ交換といった生活上の基本的なことも、全てパパやママにお世話してもらわないと生きていくことができない。スイスの生物学者アドルフ・ポルトマン(Adolf Portmann)は、人間の赤ちゃんが未熟な状態で生まれてくることを「生理的早産の状態で生まれてくるように思う。」と表現している。生理的早産とは、人間の赤ちゃんが自立した生活ができない未熟な状態で生まれてくることを表す概念である。人間は生まれてすぐ一定程度の自立した生活を送る能力を備えるには約21ヶ月間の胎内生活が必要なところ、実際は約10ヶ月という短い期間で生まれてくることを、生理的早産と言う。ポルトマンが、「人間はどこまで動物か」という著書において生理的早産という言葉を使ったのが始まりである。ポルトマンは、生物学的な視点から見て、「人間は、頼りない、無能な生理的早産の状態で生まれてくる。」、「人間は、生後1歳になってようやく、他の哺乳類が出生後すぐに実現している発育状態にたどり着く。」と述べており、乳児期を「子宮外胎児期」と表現している。また、人間の赤ちゃんは、「未熟な状態で生まれてくるが故に、成熟しなければならない部分を多く残した可能性に富んだ存在。」と説明している。人間が生理的早産で生まれる理由としては、(1)二足歩行によって骨盤が狭くなったことと、(2)大きな脳を持つようになったことが挙げられる。

■知覚の恒常性とはどのような現象かを説明せよ
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私たちは遠くのものが網膜に小さく映っても対象の大きさが見える。これを知覚の恒常現象という。
2本のハシを2倍の距離にはなしておけば、網膜上には遠いほうのハシは半分に映っているはずなのにそう見えない。これを大きさの恒常という。また違った色の光線で照らされたものを見ても、表面の色はもとの色と同じに見える。これを色の恒常という。知覚は行為のための情報であるから、対象世界の常に変わらない姿(恒常性)を反映するのである。

@@author:きり@@
@@accept:2019-12-06@@
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