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春琴抄
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愛のかたち
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春琴抄は盲目の三味線師匠春琴と春琴に仕える佐助との献身的であり歪曲された愛の物語です。
何不自由なく育った春琴は驕慢で周囲の人々の反感も買い、
美貌と天賦の才に恵まれた春琴はますます増長し弟子にも峻烈に加虐的な態度をとり続けます。
しかしそんな春琴も佐助がいないと生きてはゆけず、
かと言って二人は婚姻して誰からも夫婦として認められる生活を望んだかといえば異なるのです。
春琴はとある事故で大火傷を負い美貌を失います。
災難が起きてからの春琴は悲壮感漂い、増上慢の春琴ではなくなるため、
佐助はそんな春琴を見るに耐えきれず自らの目も突いて暗黒の世界に入るのですが、
そこまでをして師弟の愛を貫き通し、春琴に寄り添ってゆく佐助の姿と、
災難が起きて初めて艱難に遭遇した春琴の奥深い人生はまるで菩薩のような清らかな美しさを感じさせます。
春琴を聖者のように慮る佐助の崇高な愛にはこんな愛の姿もあるのかと畏敬の念さえ抱きました。
二人は心の目を通して愛し合っていたのだと思います。
佐助にだけは醜い顔を見られたくないと、
また佐助が目を潰した時の春琴の余白の間が切ないほど愛おしく感じられました。
これほどの愛を貫いてみたいものです。
@@reference: 谷崎潤一郎,春琴抄,新潮社,1951,p1-p144,4101005044@@
@@author:きり@@
@@accept:2019-11-29@@
@@accept:2019-12-09@@
@@category:文学@@
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