物理のかぎしっぽ 記事ソース/微小量の積

記事ソース/微小量の積

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記事ソースの内容

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微小量の積
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面積分や体積分には、 $dxdy$ や $dxdydz$ といった量がたくさん出てきます。ここで、少し考えてみましょう。微積分では、いままで微小量 $dx$ の高次の項、例えば $dx^{2}$ や $dx^{3}$ を無視してきました。少し正確に言えば、 $dx \rightarrow 0$ とした極限では、その影響を無視できると考えて来たわけです。ところが、面積分や体積分には $dxdy$ , $dxdydz$ といった形の微小量が出てきました。ここで『あれ、これは二次以上の微小量なんじゃないの?』と引っ掛かった人がいるかも知れません。


この事情は、直観的には次のように理解できます。図で考えれば、 $dx^{2}$ は線素である $dx$ を二乗したのに過ぎないのに対し、 $dxdy$ は微小な面積を表わしているという違いが分かると思います。


.. image:: Joh-DDD01.gif 


体積素についても同様です。『微小量の高次項は落とす』という、微積分学で使っていた近似は有効で、 $dS^{2}$ や $dV^{2}$ が式の中に出てきたら落としてしまって構いません。しかし、線素 $dx$ 、面積素 $dS$ 、体積素 $dV$ は、一口に微小量と言っても *次元が違う微小量* なのです。


.. important:: 

	 $dx^{2}$ は線素という微小量の二次の微小量ですが、 $dS=dxdy$ は面積素という微小量の一次の微小量です。



だいたいの直観的理解は上の図から得られると思いますが、正確な議論は解析学によらなければなりません。



微分形式による表現
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微分形式による表現では、線素、面積素、体積素はそれぞれ一次微分形式、二次微分形式、三次微分形式の基底として表現されました。



<tex>
dx,\ dy, \ dz
</tex>

<tex>
dy \land dz,\ dz \land dz, \ dx \land dy
</tex>

<tex>
dx \land dy \land dv
</tex>


前セクションで、『線素 $dx$ 、面積素 $dS$ 、体積素 $dV$ は、一口に微小量と言っても次元が違う微小量なのです』と書きましたが、微分形式で書けば、これらは全て異なるベクトル空間の元なのですから、違いはより明快です。


また、『同じ種類の微小量の高次項は落とす』というルールと、微分形式の『同じ元のウェッジ積は $0$ になる』という演算則は綺麗に対応しています。(式中、例として $dS=dxdy$ とします。)


<tex>
dx^{2} =0     \ \ \rightarrow  \ \ dx \land dx =0
</tex>

<tex>
dS^{2} =0     \ \ \rightarrow  \ \ (dx \land dy ) \land (dx \land dy) =0
</tex>

<tex>
dV^{2} =0     \ \ \rightarrow  \ \ (dx \land dy \land dz) \land (dx \land dy \land dz)  =0
</tex>


もう一度、強調しておきますが、微分形式の理論は、外積代数の枠組みで、基底を $x,y,z$ などの代わりに $dx,dy,dz$ としてみただけのものでした。そして、外積代数の演算規則そのものは、テンソル代数から導かれたもので、あまり微積分学とは関係なさそうに思えました。ところが、微分形式を、線素、面積素、体積素などと対応させて考えてみると、 *微積分の演算法則と外積代数の演算則が、驚くほど整合する* ことに気がつくと思います。これは、なぜなんでしょうか?著者も浅学なため、深遠な理由は分かりませんが、とにかく微分形式の表現の美しさには感嘆させられるばかりです。



.. figure:: Joh-Monalisa.png

	数学は美しい。驚くほど美しい。美術館に飾れないのが残念だ。






@@author:Joh@@
@@accept: 2006-11-13@@
@@category: 微分形式@@
@@id: InfinitesimallySmallSmall@@
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