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記事ソース/二次方程式

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記事ソースの内容

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二次方程式
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ガロアの定理を実際に使ってみましょう。まずは二次方程式の可解性を考えてみます。二次方程式に 解の公式_ が存在することは周知の通りですから、もう結果は分かっているわけで、ここでの目的は定理を実際に使って確認してみることです。要点は、 $F$ 上の二次方程式と、その最小分解体 $E$ を考えるとき、そのガロア群 $\cal G \it (E/F)$ が巡回群となり、 ラグランジェの方法_ によって方程式を解けるという点です。



二次方程式
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次の形の既約な二次方程式を考えてみましょう。

<tex>
f(x)=x^{2} - px + q = 0 	\tag{1}
</tex>


係数 $p,q$ は数体 $F$ の元であるとします。この方程式の最小分解体を $E$ とすると、 ${E:F}=2$ となるはずで( 拡大体_ 参照)、これより $|\cal G \it (E/F)|=2$ が分かりますが、このガロア群が巡回群であることを考えると(位数 $2$ の群が巡回群となるのは、当然ですよね)、 $\cal G \it (E/F) = \{ 1 , \phi \} $ と書けることが分かります。また、 $F$ は $1$ の二乗根である $\pm 1$ を含むことに注意しましょう。式 $(1)$ の解を $\alpha _{1},\alpha _{2}$ とすれば、解と係数の関係より $\alpha _{1} + \alpha _{2} = p, \ \alpha _{1}\alpha _{2}=q$ を得ますが、これを使って、ラグランジェのリゾルベントを考えてみましょう。ラグランジェのリゾルベントは、一般に $1$ の $n$ 乗根を $\zeta$ 、方程式の解を $\alpha$ として、次のように定義されるものです。 

<tex>
L (\zeta , \alpha _{i}) = \sum _{m=0}^{n-1} 
\zeta ^{km} (\phi ^{m} \alpha )	\tag{2}
</tex> 



<tex>
L(1, \alpha _{1}) &= \alpha _{1} + \phi \alpha _{1} \\ 
		&= \alpha _{1} + \alpha _{2} \\ 
		&= p 	\tag{3-1}
</tex>

<tex>
L(-1, \alpha _{1}) &= \alpha _{1} - \phi \alpha _{1} \\ 
		&= \alpha _{1} - \alpha _{2} \\ 
		&\equiv \xi \tag{3-2}
</tex>


<tex>
L(1, \alpha _{2}) &= \alpha _{2} + \phi \alpha _{2} \\ 
		&= \alpha _{2} + \alpha _{1} \\ 
		&= p 	\tag{3-3}
</tex>

<tex>
L(-1, \alpha _{2}) &= \alpha _{2} - \phi \alpha _{2} \\ 
		&= \alpha _{2} - \alpha _{1}  \\
		&\equiv -\xi 	\tag{3-4}
</tex>


式中、簡単のために、 $\xi = \alpha _{1} -\alpha _{2}$ と置きました。この結果を使うと、 $\alpha _{1},\alpha _{2}$ を $p$ と $\xi$ で表わすことが出来ます。


<tex>
\alpha _{1} = \frac{1}{2}( p + \xi) \tag{4-1}
</tex>


<tex>
\alpha _{2} = \frac{1}{2}( p - \xi) \tag{4-2}
</tex>



.. [*] この表現は、 累開冪拡大とガロア群の関係_ で、式 $(4)$ として紹介した、ラグランジェの方法による解の表現になっていることを確認して下さい。ラグランジェの方法が使えたのも、ガロア群が巡回群だからであり、それが方程式が可解だという意味なのです。

また、 $\xi$ の二乗も考えてみましょう。

<tex>
\xi ^{2} &= \alpha _{1}^{2} - 2\alpha _{1}\alpha _{2} + \alpha _{2}^{2} \\ 
&= (\alpha _{1} + \alpha _{2}) ^{2} -4 \alpha _{1}\alpha _{2} \\ 
&= p^{2} - 4q	\tag{5}
</tex>

これより、 $\xi = \sqrt{p^{2} -q} $ が分かりますので、式 $(4-1)(4-2)$ に代入して次式を得ます。

<tex>
\alpha _{1} = \frac{p + \sqrt{p^{2}-q}}{2} 
</tex>

<tex>
\alpha _{2} = \frac{p - \sqrt{p^{2}-q}}{2} 
</tex>


無事に、解の公式を得ることが出来ました。ガロア群が巡回群であることと、ラグランジェのリゾルベントが $f(x)$ の最小分解体に含まれるというあたりがポイントですが、二次方程式では簡単すぎて、かえって全景が見えにくいかも知れません。(中間体も出てきませんでしたし。)引き続き、三次方程式や四次方程式も考えていきますので、少しづつ馴れていきましょう。



.. _ラグランジェの方法:  http://www12.plala.or.jp/ksp/algebra/SuccessiveExtensionGalois/
.. _累開冪拡大とガロア群の関係:  http://www12.plala.or.jp/ksp/algebra/SuccessiveExtensionGalois/
.. _拡大体: http://www12.plala.or.jp/ksp/algebra/ExtensionField/
.. _解の公式: http://www12.plala.or.jp/ksp/algebra/kainokoshiki/

@@author:Joh@@
@@accept: 2007-03-03@@
@@category: 代数学@@
@@id: QuadraicEq@@
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