物理のかぎしっぽ 記事ソース/高階のテンソル

記事ソース/高階のテンソル

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記事ソースの内容

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高階のテンソル
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テンソルは座標変換の直交変換の際の変換式によって定義しました。例えば二階のテンソルと三階のテンソルの変換則は次のように定義されました。


<tex>
A'_{ij} = {\alpha}_{ijkl} A^{kl}={\alpha}_{ik}{\alpha}_{jl} A^{kl} \tag{1-1}
</tex>


<tex>
A'_{ijk} = {\alpha}_{ijklmn} A^{lmn} = {\alpha}_{il}{\alpha}_{jm}{\alpha}_{kn}	A^{lmn} \tag{1-2}
</tex>


一方、 ベクトルからテンソルを作る_ で考えたように、テンソルはベクトルからテンソル積を考えることで構成することができました。ベクトルは一階のテンソルで $A'_{i} = {\alpha}_{ij} A^{j} $ という変換則に従いましたから、二階のテンソルと三階のテンソルはベクトルの積として次のように表現することもできます。


<tex>
A'_{i}A'_{j}= {\alpha}_{ik}{\alpha}_{jl} A^{k}A^{l} \tag{2-1}
</tex>


<tex>
A'_{i}A'_{j}A_{k}= {\alpha}_{il}{\alpha}_{jm}{\alpha}_{kn}	A^{l}A^{m}A^{n}  \tag{2-2}
</tex>

式 $(1-1)(1-2)$ と 式 $(2-1)(2-2)$ を見比べて、 ${\alpha}_{ijkl}={\alpha}_{ik}{\alpha}_{jl}, \ \ {\alpha}_{ijklmn}={\alpha}_{il}{\alpha}_{jm}{\alpha}_{kn}$ が分かります。

.. [*] 既に テンソルの概念_ でこの関係式は使っていましたが、説明はしていませんでした。高階のテンソルを二階のテンソルの積に分解できる理由はこのようなものです。


このようにして、一般に $n$ 階のテンソルを、次の変換則に従う量として定義できます。添字は、 $i_{1},...,i_{n}$ とします。


<tex>
A'_{i_{1}i_{2}.....i_{n}} &= {\alpha}_{i'_{1}i'_{2}.....i'_{n}k_{1}k_{2}.....k_{n}}  A^{k_{1}k_{2}.....k_{n}}\\
&= {\alpha}_{i'_{1}k_{1}}{\alpha}_{i'_{2}k_{2}}\cdot \cdot \cdot {\alpha}_{i'_{n}k_{n}}  A'^{k_{1}k_{2}.....k_{n}}
</tex>


n次形式
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多項式の話になりますが、 $n$ 個の変数 $x_{1},x_{2},...,x_{n}$ があったとき、次式の表現を *線形形式* もしくは *一次形式* と呼びます。変数の次数が全て同じであることを明示的にするために *斉次* を付け加えて言う場合もあります。

<tex>
c_{i}x_{i} = c_{1}x_{1}+c_{2}x_{2}+...+c_{n}x_{n}
</tex>

各項の係数 $c_{i}$ は一階のテンソル、つまりベクトルです。もっとも、変数 $x_{i}$ もベクトルと考えられますから、線形形式はベクトル $(c_{1},c_{2},...,c_{n})$ とベクトル $(x_{1},x_{2},...,x_{n})$ の内積だと見ることもできます。

<tex>
(c_{1},c_{2},...,c_{n})
  \left(
    \begin{array}{c}
    x_{1}  \\
    x_{2}  \\
    \vdots \\
    x_{n}  \\
    \end{array}
    \right) =  c_{1}x_{1}+c_{2}x_{2}+...+c_{n}x_{n}
</tex>


同様に次の形の表現を *二次形式* と呼びます。線形代数を勉強したことのある人は、どこかで勉強したと思います。


<tex>
c_{ij}x_{i}x_{j} = c_{11}x_{1}^2+c_{12}x_{1}x_{2}+...+c_{nn}x_{n}^2
</tex>


二次曲線や二次曲面を表現する方程式は全て二次形式だと言えるでしょう。 二次曲線の係数_ で、既に二次曲線を表わす係数は二階のテンソルであることを紹介しましたが、これは一般に、二次形式の係数全てに言えることです。


二階のテンソルは行列の形で表現することが出来ますので、二次形式を次のように行列とベクトルの形で表現することもできます。

<tex>
(x_{1},x_{2},...,x_{n})
\left(
    \begin{array}{cccc}
c_{11} & c_{12}  &\ldots  & c_{1n} \\
c_{21} & \ddots  & 	  & \vdots \\
\vdots &         & \ddots & \vdots \\
c_{n1} & \ldots  & \ldots & c_{nn} \\
    \end{array}
  \right)
  \left(
    \begin{array}{c}
    x_{1}  \\
    x_{2}  \\
    \vdots \\
    x_{n}  \\
    \end{array}
    \right) =  c_{11}x_{1}^2+c_{12}x_{1}x_{2}+...+c_{nn}x_{n}^2
</tex>


三次形式以上の高次の多項式も同様に $n$ 階のテンソルを係数として $c_{i_{1}i_{2}\cdot \cdot \cdot i_{n}}x_{i_{1}}x_{i_{2}}\cdot \cdot \cdot x_{i_{n}}$ と書けます。



.. _ベクトルからテンソルを作る: http://www12.plala.or.jp/ksp/vectoranalysis/TensorFromVector/
.. _二次曲線の係数: http://www12.plala.or.jp/ksp/vectoranalysis/QuadricCoeff/
.. _テンソルの概念: http://www12.plala.or.jp/ksp/vectoranalysis/TensorConcept/

@@author:Joh@@
@@accept: 2006-08-25@@
@@category: ベクトル解析@@
@@id: HigherRankTensor@@
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