インストールが無事終了したら,簡単なグラフを表示させてみましょう.C言語での例を紹介します. #contents * 描きたいグラフ [#k97ebe40] ここで描くのは中学数学でおなじみの #ref(eq1.png,nolink) という2次関数(y = x^2)のグラフです.できあがりは #ref(fig1.png,nolink) になります.では行ってみましょう. * グラフ描画の手順 [#cd7d137d] PGPLOTがグラフを描く手順はおおまかに + デバイスオープン + 大きさ,縦横比,座標軸の決定 + 線種,線色,線の太さの決定 + ペン初期位置の決定 + ペンから指定した座標まで線を描く + 手順4から5を繰り返す + デバイスクローズ です.PGPLOTライブラリの提供する関数名は cpg からはじまっています. c が付いているのはC言語用だからで,FORTRANでプログラムを書く場合は pg からはじまります.僕は FORTRAN をあまり使えないので,C言語で説明します. * インクルード文 [#yb71d567] ソースを書いて行きます.最初に書くのはインクルード文です. #include <math.h> #include "cpgplot.h" 数学関数を使うための <math.h> をインクルードし, PGPLOT を使うために "cpgplot.h" をインクルードします. cpgplot.h はダブルクォーテションで括ることに注意してください. * main文 [#y062c11f] プログラムの入口であるmain文を書きます. #include <math.h> #include "cpgplot.h" int main(void){ return 0; } 特に引数を与える必要はないので,main関数の引数は void としておきます.このままでは何もしないプログラムです. * デバイスオープン [#ff31bfa5] いよいよ PGPLOT の関数を使って行きます.最初にやるのはデバイスを開くことです. X Window System に出力するかPSファイルに出力するかなどを撰択できます.ここでは X Window System に,すなわち画面に直接表示させてみます.デバイスオープンの命令は cpgopen です.引数にデバイスの種類を指定します. X Window System に出力する場合は "/xserv" です. #include <math.h> #include "cpgplot.h" int main(void){ cpgopen("/xserv"); cpgclos(); return 0; } cpgclos は開いたデバイスを閉じる命令です.オープンしたら必ずクローズするようにします.ここでコンパイル,実行させると真っ黒で大きなウィンドウが表示されます. * 大きさ,縦横比,座標軸 [#k89c7fea] ウィンドウの大きさと縦横比を決める命令が cpgpap です.第1引数にウィンドウの大きさ,第2引数に縦横比を指定します. 座標軸を決める命令は cpgenv で,第1引数にx座標の最小値,第2引数にx座標の最大値,第3引数にy座標の最小値,第4引数にy座標の最大値,第5引数にz座標の最小値,第6引数にz座標の最大値を指定します.通常,第5,6引数はそれぞれ0,1と指定しておきます. #include <math.h> #include "cpgplot.h" int main(void){ cpgopen("/xserv"); cpgpap(5.0, 1.0); cpgenv(0, 5, 0, 5, 0, 1); cpgclos(); return 0; } ここでコンパイル,実行するとつぎのグラフになります. #ref(fig2.png,nolink) * ためしに線を引く [#w3a16416] PGPLOT で線を引く際「ペン」という概念があります.ペンをある座標に置き,その場所から指定した場所までペンを動かして線を描くというものです.ペンを置く命令が cpgmove,ペン位置からペンを動かして線を描く命令が cpgdraw です.どちらも第1引数にx座標,第2引数にy座標を指定します. 原点 (0, 0) から (1, 1) に線を引く場合,つぎのようにします. #include <math.h> #include "cpgplot.h" int main(void){ cpgopen("/xserv"); cpgpap(5.0, 1.0); cpgenv(0, 5, 0, 5, 0, 1); cpgmove(0, 0); cpgdraw(1, 1); cpgclos(); return 0; } ここでコンパイル,実行するとつぎのグラフになります. #ref(fig3.png,nolink) しかしこうやっていちいちペン位置を指定していたのでは大変ですね.関数を用意してfor文の中に入れることにします. * 関数 [#te3219f0] &ref(eq1.png); の関数を用意します.関数名は function とでもしておきましょう. #include <math.h> #include "cpgplot.h" double function(double x){ return pow(x,2); } int main(void){ cpgopen("/xserv"); cpgpap(5.0, 1.0); cpgenv(0, 5, 0, 5, 0, 1); cpgclos(); return 0; } 数学関数 pow を使うとこんな感じになります.さっき書いた cpgmove(0, 0); と cpgdraw(1, 1); は消しておきます. * 関数を描く [#fc29a539] 上で作った関数をfor文で呼び出し,0.1刻みで線を描きます. #include <math.h> #include "cpgplot.h" double function(double x){ return pow(x,2); } int main(void){ double x; cpgopen("/xserv"); cpgpap(5.0, 1.0); cpgenv(0, 5, 0, 5, 0, 1); cpgmove(0, function(0)); for (x=0.1; x<=5; x+=0.1) { cpgdraw(x, function(x)); } cpgclos(); return 0; } こんな感じです.まず cpgmove(0, function(0)); で原点にペンを置いておき, for文の中で cpgdraw をどんどん呼び出してペン位置を移動させて線を描いて行きます.コンパイル,実行すると #ref(fig4.png,nolink) というグラフができます.関数のグラフ自体はこれで完成です. * 軸にラベルを付ける [#yf34da31] グラフの横軸,縦軸には何を表すのかというラベルを付ける必要があります.その命令は cpglab です.第1引数にx軸(横軸)のラベル,第2引数にy軸(縦軸)のラベル,第2引数にグラフの上に付けるラベルを指定します. #include <math.h> #include "cpgplot.h" double function(double x){ return pow(x,2); } int main(void){ double x; cpgopen("/xserv"); cpgpap(5.0, 1.0); cpgenv(0, 5, 0, 5, 0, 1); cpglab("x","y","y=x*x"); cpgmove(0, function(0)); for (x=0.1; x<=5; x+=0.1) { cpgdraw(x, function(x)); } cpgclos(); return 0; } コンパイル,実行すると #ref(fig5.png,nolink) となり,ラベルが付きました. * 線の色の変更 [#e3fc6d2e] 線色を変更してみます.命令は cpgsci です.引数には1つの整数を指定します.デフォルトで1〜16まで色が割り当てられています.とりあえず 2 を指定すると赤になります. #include <math.h> #include "cpgplot.h" double function(double x){ return pow(x,2); } int main(void){ double x; cpgopen("/xserv"); cpgpap(5.0, 1.0); cpgenv(0, 5, 0, 5, 0, 1); cpglab("x","y","y=x*x"); cpgsci(2); cpgmove(0, function(0)); for (x=0.1; x<=5; x+=0.1) { cpgdraw(x, function(x)); } cpgclos(); return 0; } コンパイル,実行すると #ref(fig1.png,nolink) です.これで完成としておきましょう. - &ref(plot1.c) - &ref(Makefile) - &ref(plot1.c); - &ref(Makefile);