野鳥(YaTeX) のバックアップ差分(No.1)


 LaTeXは便利ですがマークアップ言語のため,いろいろな命令を覚えておかなくてはなりませんし,入力するのも大変です.命令のスペルも間違えてしまうかもしれません.この繁雑な命令入力を手助けしてくれるのが, YaTeX(やてふ) です.
 
 YaTeXはEmacsのメジャーモードです.Linuxなら,最初から入っている可能性が高いです. Windowsでは xyzzy と KaTeX を使うことで Emacs + YaTeX とだいたい同じことができるようです. YaTeXを使うことで,TeX文書の作成が格段に楽に,素早く,確実に行えるようになります.ここでは,YaTeXの使いかたを簡単に紹介します.
 
 #contents
 
 
 * LaTeXコマンド [#yffb7c68]
 
 TeXで文書をつるく際,コンパイル,プレビュー,エラー箇所へのジャンプは頻繁に行います. YaTeXを使えば,操作をエディタから直接実行できます.便利なので,ぜひ覚えましょう. LaTeXコマンドは C-c t ではじまります. C-c とは,Ctrlキーを押しながらCキーを押すことです.つぎのコマンドが使えます.
 
 ** LaTeXコマンド一覧 [#r07b7925]
 
 |コマンド|できること|h
 |C-c t j|platex起動(コンパイル)|
 |C-c t r|領域を指定してコンパイル|
 |C-c t k|動作中のコンパイルを中止|
 |C-c t b|jbibtex起動|
 |C-c t p|プレビューア(xdvi)起動|
 |C-c t s|xdvi-remoteでのサーチ|
 |C-c '|エラー行へジャンプ|
 |C-c t l|lprコマンド起動(プリントアウト)|
 
 よく使うものについて,少し説明を加えます.
 
 コンパイル
 
 LaTeXソースを保存してコンソールに移り,platex foo.tex でコンパイルして… という作業は頻繁に行うので,これをエディタ(Emacs等)上で行えるとかなり楽になります.YaTeXでは,
 C-c t j
 
 と入力することで,エディタからコンパイルを行えます.この入力はCtrlキーを押しながらcキーを押して(Ctrlを離し),つぎにtキーを押して,最後にjキーを押すことを意味します.
 プレビュー
 
 コンパイルしたらプレビューア(LinuxではXdvi)を立ち上げて,作った文書を見ることになります. YaTeXではつぎのコマンドで,プレビューアの起動をエディタから行えます.
 C-c t p
 
 プレビューアは一度起動したら,あとはコンパイルの度に表示が自動更新されます.
 エラー行へジャンプ
 
 LaTeXで文書を書く際,スペルミスなどのエラーはつきものです.
 C-c + '
 
 とタイプ('は [Shift] キーを押しながら [7] キーを押します)することによってエラー行へジャンプし,エラー箇所をすぐに見つけることができます.
 begin型補完
 
 \begin{...}ではじまり\end{...}で終わる環境の補完はbegin型補完とよばれます.これらは C-c b ではじまります.
 即時補完の環境
 
 頻繁に使われる環境は C-c b の後に一字入力するだけで即時補完されます.標準で以下のものが使えます.
 begin型即時補完一覧 コマンド 	できること
 C-c b d 	document環境
 C-c b E 	equation環境
 C-c b c 	center環境
 C-c b i 	itemize環境
 C-c b e 	enumerate環境
 C-c b D 	desctiption環境
 C-c b l 	flushleft環境
 C-c b m 	minipage環境
 C-c b t 	tabbing環境
 C-c b T 	tabular環境
 C-c b ^T 	table環境
 C-c b p 	picture環境
 C-c b q 	quote環境
 C-c b Q 	quotation環境
 C-c b r 	flushright環境
 C-c b v 	verbatim環境
 C-c b V 	verse環境
 
 たとえば,Emacs上で
 C-c b E
 
 のように「Crtlキーを押しながらCキー,Bキー,Shiftキーを押しながらEキー」とリズミカルにタイプすると,カーソルのあった場所に
 
 \begin{equation}
 
 \end{equation}
 
 が一瞬で挿入されるわけです.
 即時補完でない環境
 
 即時補完に登録されていない環境でも, C-c + b + SPC の後に環境名を入力することで補完でき,登録もできます.登録した環境名は,環境の最初の文字をタイプしてTabを押すと補完されます.
 既に書いたテキスト
 
 今まで書いたテキストを,後から環境に入れたいなと思うこともあります.この場合,環境に入れたいテキストをマークし,上記の C-c b を C-c B に置き換えれば,マークした部分が環境で括られます.
 ギリシア文字補完,数学記号イメージ補完
 
 数式環境中($ $ や \begin{equation} \end{equation} の中)でのみ動作する補完がギリシア文字補完,数学記号イメージ補完です.数式環境中で ; や : をタイプしようとして,ちょっと特殊な動作になったことはありませんか.これは,; や : がこれらの補完を開始する合図だからです.
 ギリシア文字補完
 
 数式環境中で
 :a
 
 とタイプすると,そこに \alpha が入力されます. \beta を入力したいときは :b とタイプします.このように,:(コロン)の後にアルファベットを入力すると,それに対応したギリシア文字が補完されます.
 
 コロンそのものを入力するには,:: と2回続けてタイプします.
 数学記号イメージ文字補完
 
 数学記号の入力も大変ですよね.これらは,;(セミコロン)の後に,数学記号の形から連想できるものを入力することで補完できます.たとえば,偏微分記号 ∂ は数字の 6 に似ています.数式環境中で,
 ;6
 
 とタイプすれば,補完されて \partial が入力されます.つぎのようなものがあります.他にもたくさんあります.
 入力 	補完される命令
 ;6 	\partial
 ;h- 	\hbar
 ;t 	\dagger
 ;o 	\circ
 ;oo 	\infty
 ;-> 	\rightarrow
 ;--> 	\longrightarrow
 
 また,形からの連想ではなく,頭文字で補完してくれるものもあります.
 入力 	補完される命令
 ;f 	\frac
 ;s 	\sum
 ;r 	\sqrt
 ;i 	\int
 
 などです.セミコロンそのものを入力するには, ;; と2回続けてタイプします.
 関連項目
 
     * TeX > xyzzy + KaTeX
 
 参考外部リンク
 
 ここで紹介したコマンドはごく一部です. YaTeXの機能は多いので,少しずつ覚えていくと良いと思います.
 
     * YaTeXのマニュアル
 
 
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